「話は分かった。好きな女が出来たんだろ、気持ち悪」

「そうは言ってねえよ。たくましかったって言ったんだよ」

「好きだったって?」

「過去形?」

ぶっ倒れた後、自宅まで運んでもらったとこまでは覚えていたが、気がつけばベッドの上だった。起き上がって周りを見回しても当然女はいなくてテーブルの上に書き置きだけがあった。

「鍵、開けっ放しですけど大丈夫でしたか?お大事に」

丸っこい、女独特の字で書かれたそれを冷蔵庫にマグネットで貼り付けて、しばし眺める。

「やべ、学校」



(遅刻の理由それ?)
(おう)



まえ