※暴力表現、R-18(無理矢理系)表現あります。





高杉の一言を適当にあしらえぬ自己顕示や高杉と来島のアイコンタクトを見た時の自分の嫉妬深さに辟易する。それでも毎日2人と顔を合わせなくてはならなくて、心の底にある醜い感情は瞬く間に大きくなり、小さな良心すらも飲み込んで、俺を食い尽くそうとしている。いよいよ毎日行われるソレを黙って見過ごす傍観者では居られなくなった。

その日はチャンスだった。ちょうど高杉が登校していない昼休み、来島は1人だった。他の奴等に断りを入れ、来島に声を掛ける。
「来島さん、お昼一緒にどう?」
来島の返答は無視して、手を引き廊下に出る。俺自身焦っていた。高杉の目を盗んで来島を手に入れるには今日しかないと思った。
「どうせなら空き教室とかいいよね?」
と言って着いたのはあの日と同じ理科室だった。来島は眉を顰め立ち止まったままだったので、ドアを開け、無理矢理押し入れる。その衝撃で来島の弁当箱は地面に落ちて、中身が散らばった。
「…あんた何がしたいんスか?」
怒気の含んだ声、睨みつける眼差し、そんな強気な態度は逆に俺の加虐心をそそる。

もうどうにでもなってしまえ、と思った。一瞬の内でさよなら出来る。そう、俺はボタンを押したのだ。今まで理性で抑え付けていた醜い感情は溢れ返る。そして加速する。あっという間に俺を食い尽くし乗っ取る。

あの日高杉が拾い上げていった真っ赤なリボンを引きちぎる。来島は悲鳴を上げ、咳き込む。来島を押し倒し、馬乗りになって何度も拳を振り下ろす。来島は掠れた声でやめて、やめて、と身じろぐ。顎を掴んで顔を近付ける。
「今俺とキスしたら、もう大好きな高杉とはキス出来ねーよ、きっと。」
そう言って来島の唇を甘噛みする。来島は何度も口を拭った。わずかに残っていた良心がチクリと痛んだが、すぐにあの日の映像が蘇った。上書きしようと来島を押さえ付ける。時に拳を振り下ろしながらも行為は進んでいく。

全ての行為が終わった後、来島は泣きながら散らばった弁当の中身を拾い集め、弁当箱ごとゴミ箱に捨て教室を出て行った。俺はその姿を黙って見届けた後、学校を早退した。

次の日登校すると、珍しく高杉がもう教室に居た。俺を見つけると、有無を言わさず腕を引っ張り歩き出した。着いたのはやっぱり理科室だった。理科室に入るとすぐに拳が降ってきた。来島も痛かっただろうな、とか来島が高杉に言ったんだろうか、とか拭った手についた血の色がリボンの色に似てるな、とかぼんやり色んなことを思った。その間も容赦無く拳は振り下ろされる。抵抗はしなかった。高杉が俺を責める声は聞こえたけど内容までは届かなかった。ただ、やっぱり来島は俺のものにはならなかったんだと思うと、悔しくて哀しくて憎くて堪らなかった。

「なァ高杉、俺はやっぱりどうでもいいとは思えねーんだよ。」
そう言うと高杉の殴る手は止まった。何も言わず理科室を出て行ったので、俺も教室に戻る。今日はそこに来島は居なかった。

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