※あまりカップリング色は無いです。若干高←また描写あり。








先輩は眩しいの。自分で発光してるみたいにキラキラ輝いてるの。本当にそう見えるの。

日頃から少女漫画ばりに夢見がちなことを言う幼馴染みではあったが今回ばかりは流石に馬鹿じゃねーの、と言いたくなった。けれど幼馴染みの隣でうんうん、とこれまた顔を輝かせて相槌を打つ姉が居る手前こちらとしては何も言えない。これが乙女心というやつなのか。そう思いながら誰にも気付かれないように溜息を一つ吐く。テーブルの上に置いてあるリモコンを取ってテレビを付ければこれまた恋愛ドラマをやっていて胸焼けを覚えてすぐ電源を消した。リモコンを置こうと正面を向くと彼女は達は目を輝かせて総ちゃんはそういうのないの、と口を揃えた。流石に呆れて無いです、とかしこまった口調で答えた後自室に篭った。電気も付けずにベッドにダイブする。扉の向こうでははしゃぐ高い声が聞こえてきて、足元に落ちていたヘッドホンで音楽を聴くことにした。

昨日はそのまま寝てしまっていたようで総ちゃん!と叫ぶ声に目を覚ますとそこにあったのは眩しいくらいの金髪だった。眩しいとか発光してるっていうのはこういうことなのか。寝ぼけたまま昨日のことをぼんやり思い出していると遅刻するっス!と肩を大きく揺さぶられた。なんだかんだ時間ギリギリに準備が終わりいつも通り学校への道を二人で歩く。どことなく隣を歩く幼馴染みはそわそわと落ち着きが無い。どうしたのかと聞こうと口を開けた瞬間あ!という大きな声に思わず肩が跳ねる。幼馴染みはあの人、と大きな声で遠くに居る男子高校生を指している。人を指差すな、とその腕を制しながら目を凝らすとそれはよく見慣れた奴だった。高杉ぃ?という素っ頓狂な声は向こうにも届いたようで少し怪訝な表情をした後片手を上げて高杉は近付いてくる。幼馴染みはというと総ちゃん、と慌てふためいてこちらの腕をバシバシ叩いている。痛てぇよ、とその手を剥がしながら近付いてきた高杉に珍しいな、と声を掛けるとあぁ、と短い返事が返ってくる。間に挟まれた幼馴染みはすっかり口を噤んで小さくなっている。こいつ幼馴染みの来島また子、と紹介すれば幼馴染みは真っ赤な顔で高杉を見上げる。どーも、という高杉をこちらは高杉晋助くん、と紹介すれば幼馴染みもまたどうも、と小さな声で挨拶をした。

あ、俺急ぐんだったわ、と言って足早に去って行った高杉の背が見えなくなったのを見てお前の言ってた先輩って高杉かよ、と笑うと幼馴染みは総ちゃんの知り合いだったなんて、と未だに慌てふためいていてまた笑った。どうして笑うの、と不服そうにしている幼馴染みに高杉は眩しくねーよ、とまた笑えば総ちゃんにはまだ早いから分かんないんだよ、と反論された。俺の方が一つ年上だよという突っ込みはこの際心の中に留めておいた。校門までの道のりを幼馴染みはひたすら赤く火照った頬を自分の掌で冷やすことに専念していたらしく林檎のようだった頬はようやくいつも通りの白さを取り戻していた。あと少しで校門というところで立ち止まった足音に遅刻するぞ、と振り返ると今度は眉を下げて瞳を潤ませた幼馴染みがいて忙しない奴だと思いながら先行くぞ、と正面を向いた。そこには先に行ったはずの高杉とおそらく上級生であろう女子が仲睦まじく腕を組んで話している光景が繰り広げられていた。仲睦まじくというのは少し語弊があったかもしれない。上級生女子は朝早く来なかったことを咎めているようで、高杉はというと悪いな、と今まで見たことないような穏やかな表情で宥めている。それはどう見ても恋仲というやつで遅刻魔の高杉が定刻通りに登校して先に行った理由全てに繋がった。

こちらもなんだかいたたまれなくなって恐る恐る後ろを振り向くと幼馴染みは瞳一杯に涙を溜めていて溢れないように瞬きをせずじっと前を向いている。昔からの意地っ張りな癖だ。慌てて駆け寄りもう見るな、と視界を手で塞ぐ。幼馴染みの手を取り先程まで歩いてきた道を戻る。後ろから銀八のおーい、と間延びした声にこいつ具合悪いみたいだから送っていきやす、と答えると銀八はそれ以上詮索せず手を振っていた。そのやり取りに気付いたのか高杉もこちらを振り返っていた気がするがこの際気にしないことにする。幼馴染みは手を強く繋いだままうーうーと唸っている。家帰ろうな。帰ったらココア飲もうな。子どもをあやすような声色で言えばマシュマロ乗っけてね、とこれまた子どもみたいなわがままが返ってくる。それは姉ちゃんに言え、と笑えば空いた手で涙を拭って人生で一番早い失恋だったと幼馴染みもまた笑った。キラキラ眩しいというのが恋愛となるのかは疑問であったがそうかい、と頭をぽんぽんと撫でた。次の日いつもと変わらぬ調子で起こしに来た時幼馴染みの金髪はやっぱりキラキラ眩しくて発光してるなんていうのは案外適当なもんじゃねーのか、と言いたくなった。

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