※無理矢理で不道徳な表現、暴力表現ありますのでご注意ください。









きっと今のわたしはとてつもなく惨めな格好をしているんだと思う。惨めというよりは厭らしいというべきか。下品な格好だと思う。机に突っ伏して背後にいる男に向けて尻を突き出している。背後にいる男はというと表情は伺えないが突き出された尻をゆっくり撫で回したり、ぺたぺたと短く触ってみたりとごつごつと骨ばった手で弄ぶばかりだ。まもなく感じた違和感に低い呻き声が出る。奥まで性器が詰まった膣は今にも裂けそうなほど痛い。性器を擦り合わせる度に出る声を喘ぎ声と勘違いしているのか男は机に突っ伏したままのわたしの上に覆い被さり耳元で気持ちいいの、と囁いた。違うんだって。痛みで声が出ただけだって。勘違いしてんじゃねーよ。そんなことを言えたら良いのに途切れ途切れの呼吸ではどんな言葉も発することが出来ず、頷くことも首を振ることもなく黙って突っ伏したままでいた。そうするとそれを肯定としたのか男は背後からぎゅう、ときつくわたしを抱き締めた。こういう時こういった些細な行動が愛情からなるものなんじゃないか、なんて勘違いしそうになるから余計惨めになる。どうせなら孕めばいいのに、なんて言いながら先程より激しくなった摩擦に上がる声も高くなる。これじゃまるで本当に気持ちいいみたいだ。

太ももに伝う体液がどちらのものかは分からないが嫌悪感にいたたまれなくなってゆるゆると地べたに座り込んだ後近くに雑に置かれたかばんからティッシュを探す。何枚かまとめたティッシュで股の辺りを拭いた後足首に絡まったままのパンツを履いて振り返ると男は既に後始末を終えていたようでまじまじとこちらの様子を観察していたようだった。悪趣味、と思った言葉は口に出ていたようで男は何、と笑顔で問いかけてきたがなんでもない、と目を伏せた。だいぶ時間が経っていたようで真っ赤な夕日が教室に差している。男の銀髪は赤に照らされキラキラと輝いているようにも見えるし、轟々と燃えているようにも見える。暫く見つめ合っていたようで扉の開く音に肩が大きく跳ねる。扉の方を向けば見慣れた赤茶けた髪が夕日でより赤く靡いている。乱雑になった机の配置、少し着崩れた制服を着た男女二人、足元に落ちているティッシュの山。それらで全てを察したようで鋭い軽蔑の眼差しがこちらに向けられた気がする。静まり返った教室に自分の息を呑む音がやけに響く。晋助先輩、掠れた声で呼びかけるとその名の主はゆっくりとこちらに歩みを進め床に落ちた赤いリボンを拾い上げた。晋助先輩はわたしの近くに腰をおろし腕を伸ばす。伸ばされた手に反射的に身構えてしまう。けれどリボンを結んだ後その腕はあっさりと離れていった。それどころか既に晋助先輩の視線は銀髪の男に向いていて先帰るわ、という低い声を残してあっという間に教室から居なくなってしまった。廊下を歩く足音がどんどん遠のいていく。自分の中で同時に血の気が引いていくような気がした。

この小さな閉塞された空間で虐めぬように虐められぬように、誰にも迷惑かけぬように、踏み外さぬように生きてきたのに。ただ待ち人を待っていて。そこに待ち人の友人が現れて。少し話が盛り上がって。気付いたら殴られて。そして犯されました。そんな話誰も信じてくれるはずなんて無くて。些細な憧れですら抱いてはいけないんだろうか。そう思ったら哀しくて悔しくて涙が溢れそうになった。ぼやけた視界で自分の両手はスカートの裾を力強く掴んで震えている。いつの間にか近くに腰を下ろしていたであろう男の手は殴られた際流れたままだった鼻血を優しく拭ってこれを見れば俺が悪いって分かるよ、と諦めにも似た声色で呟いた。だとしたらあの軽蔑の眼差しは何だって言うんだ、と責め立ててやりたかったけれど項垂れた頭を見ると何も言えなかった。だって晋助先輩は軽蔑してたし。どうせわたしがあんたとどうこうなろうが俺には関係ないことだって言われるだろうし。多分ね。その先は言えなかった。子どもみたいな嗚咽を上げて泣いてしまって。やっぱりわたしは惨めだなぁと思う。





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