8-6
「武田さん、獄門処へ行くのなら曇神社へ寄らないと」
「ああ、わかってる」
警官二人と雨の中、湖に浮かぶ監獄を見つめるのは犲メンバーの武田
日本最大の監獄"獄門処"
その橋渡しを国に認められているのは曇家だけ
武田は、自分より年下である空丸と宙太郎も橋渡しをしているという事実に負けてられないと闘争心を燃やしていた
俺にだって追いかける背中があるんだ
空丸が天華と天火の背中を追いかけているように、武田もまた犲の隊員でありながらも蒼世達の背中を追い続けている
空丸と自分はどこか似ていると思ったからこそ、負けたくないと武田は腰にある刀の鞘を強く握りしめた
「なぜ犲が此処にいる」
「いや、謹慎ついでに獄門処を視察して来いって鷹峯さんが一一・・・ん?」
突如聞こえた声に反射的に答えた武田だが、後ろを振り返っても警官二人は違うというように首を横に振る
じゃあ今の声は誰だと武田が上を向くと、木の上で頬杖をしている白子がいた
「こんにちは犲君。良い所に来てくれて嬉しいよ」
闇が動き始めるまで
あと少し
end
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