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天華と天火がこの場を離れた後、空丸は思いつめていた
そんな空丸の様子を見ていた白子はそっと近づき、肩にぽんっと手をおく

「兄貴はいつもそうだ」

「あいつは、大事な事は全部一人でやるから」

昔は違った気がする
いつからだ

親父とお袋が死んでからか
もう覚えてねぇや


「足手まといはいらねぇ」


「子供扱いしやがって」

「天火にとったらまだ子供だよ」

どうしたって歳の差は縮まることはない
そして、天火が長男であり、空丸が次男であることも変えられない事実

それは、彼らの姉である天華も同じこと


「悔しいです、兄貴に勝てない事が。兄貴と姉貴に頼ってもらえない事が」

何でもいい、二人から頼られる存在になりたい
二人の助けをしたい


「羨ましいです、兄貴から頼ってもらえる姉貴が」

兄貴はいつも笑っているけど、姉貴と居る時の笑顔は本当に幸せそうな顔をしている
二人はお互いを頼り頼られ、助け合っている


宙太郎が物心ついた頃から、俺達は姉貴と兄貴に育てられてきた

「分かってるんです、この仕事には危険が多い。兄貴が突き放すような云い方するのは、まだ俺等が守られているからだ」

「空丸…」


空丸は、自身の武器でもある刀をギュッと握りしめる
思い出すのは、この刀を天火と天華から譲り受けた日のこと


「認められた気がしたんだけどな」






































天火と手分けして罪人を探すことになった天華は酷い頭痛と息苦しさから一本の木に寄り掛かり、呼吸を整えていた



『はぁ、はぁ…っ!』


はやく、静まってっ

こんな所を天火に見られるわけにはいかない

不安にさせてはいけない

奴に隙を見せてはいけない


『くっ…、はぁ、はぁ…』


胸元を力強く押さえていた手から力が抜ける
どうやらおさまったようだ


『…本当に…っ、厄介な体になったものね…』






























「天華とお前等が何より大事だった」





「皆悪いな!一足先に退場する俺を許してくれ」





「笑え!」









『大丈夫、あれは夢…、夢なんだから…』


そうでしょ?

天火……





いつも見る悪夢

その後にもう一つ見た夢は

傷ついた天華の心をさらに傷つけ

胸が引き裂かれてしまうほどに

悲しくて、辛いものだった




















  







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