「覇王とキスしたい」
「は?」
 決闘中のあまりにも突然すぎる言葉に十代は目を点にさせた。その間もヨハンの手は休むことなく裏側守備表示だったカードを反転させサファイア・ペガサスを召喚した。反転召喚に成功したため効果を発動し、自分の手札からトパーズ・タイガーを魔法・罠ゾーンへ移動させ永続魔法カード扱いにする。前のターンから発動していた宝玉の樹にはジェムカウンターが一つ乗った。隣には既にアメジスト・キャットがいたためこれで二つ目だ。それを墓地へ送り二体の宝玉獣をデッキから魔法・罠ゾーンへセットされたのを見て、あちゃあと十代はこの先の展開を予想して呟く。その通りヨハンは宝玉の導きを手札から発動させルビーを守備表示で特殊召喚しその効果で魔法・罠ゾーンからその二体を同じように守備表示で特殊召喚。墓地にも今まで破壊してきた宝玉獣がいるので十代にとっては厳しい状況になってきた。
「これでターンエンドだぜ」
「んー、どうすっかなぁ…」
 キーのカードが来なかったのか肩を竦めて渡されたこのターンは重要だ。もしもの保険にフィールド魔法カードか若しくはハネクリボーを引けたら幸いなんだけどと思いながらドローすると残念ながらバーストレディが引けた。何か打つ手はないかと手札やフィールドに出ているカードを確認していると十代は先程のヨハンから言われたことをつい思い出してしまい首を捻る。待機している彼からはそんなことがなかったかのように飄々としているが、まさか聞き間違いではあるまい。念の為、此方から聞くことにしてみる。
「なあヨハン。さっき覇王と何かしたいって言った?」
「言ったよ。覇王とキスがしたいんだ」
 あっさりとした返事にああそうなんだなんて答えてしまいそうになるが頭の中で考えれば考えるほどそれは爆弾発言だ。あの十代が決闘なんてしてられないほど動揺してしまうぐらいには凄みがある。

 覇王とキスがしたい。喩え親友が同性愛者であろうが二人の友情に皹が入るなんてことはないのでそういうのに偏見はない。だが相手が覇王であるのが問題なのだ。それはある意味十代がヨハンとすることになるわけであり、当事者になるなんて将来的にもないと思っていた。
「十代、手札丸見え」
「え…わわわっ!」
 いつの間にか膝に降りていた手はヨハンからもばっちり見えてしまっている。これではもう決闘にならなかった。





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詰まった
ヨ覇なのに覇王様空気説
というより決闘シーンはこれで成立してるのだろうか


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