ベッドに腰を掛けて床に足をぺたり。そこはとても冷ややかで、火照っていた身体の芯から熱を吸いとられてしまう気がして咄嗟に膝を抱え込んだ。せっかく彼から貰った体温を奪われたくない。そう思ってたらどんどん忌まわしくなって床を睨み付けていたら暗転、背中に回された男の腕がブルーノをベッドの中へ逆戻りさせた。
「…さむい」
 ほぼ寝ぼけた呂律のあまり動いていない声に困ったやら嬉しいやらで眉を下げ、布団の純白と同化しそうになっている麗しい銀髪に唇を寄せる。身じろぎをしてベストポジションを発見したらしい彼は動くことをやめてブルーノに抱き着いたまま再び眠りに堕ちていった。こんな甘えたが次に目覚めた時は覚えていないなんてことがざらだから、また自分は怒られてしまうのだろう。抱きつくな、ってそっちから来たくせに。喧嘩は嫌いだから此方からは言い返さずに一言謝って擦り寄って許しを請うのがパターン。それでも、
(幸せ、なんだよな…)
 敵だと判っていてもこの甘ったるい関係を止められないのだから自嘲するしか出来ることがなかった。遊星を守るのが使命なんだと何度も何度も何度も警報を鳴らして、その遊星を倒そうと果敢になる彼から逃げようとする。それなのに蜘蛛の巣にかかった蝶のようにがんじがらめのまんま、じわじわ食い荒らされていく自分の不甲斐なさには泣きたいぐらいだ。
 次に目が覚めても彼との夢からは醒めることなく過ごせますように。脳の何処かで友人によく似た誰かがノイズのように一瞬だけ走ったのを深くは気に止めず、終わりが来ませんようにとだけ双瞼を閉じた。


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