!現代学パロ
天使というのはいつだって突然やって来るのだ。
どこかの誰かさんがお前は惚れっぽい奴だと呆れながら言う。しかしそれは大きな間違いだ。オレは惚れっぽいのではなく、美しい人を見つけるのが得意なだけだった。勿論見た目だけではなく心が清らかならそいつも天使だ。
きっと今日も何処かで天使を見つけるだろう。これはただの勘ではなく、予言のような、強いて言うならば運命的な出逢いをするとテレビの占いでも告げていたから見つかると決まっていた。
「アリト! 紹介するぜ、こいつ真月零ってんだ!」
「初めましてアリト君。よかれと思ってご挨拶をしに来ました!」
放課後、遊馬に呼び止められそわそわしていたら、これだ。だがこの時、アリトは既に心奪われていた。
太陽のように眩かしい笑顔、曇りのないアメジストの水晶をそのまま埋めたような瞳、背は高くも肌白い華奢な身体。オレのクラスに転校してきたんだぜ、と鼻を擦りながら何故か自慢気な遊馬の言葉はもう耳に入っていない。零を紹介される迄は天使だと崇めていた彼を振り払って、アリトはスクールバックの紐を握っていた手を己の手で包み込んだ。
「お前がオレの天使だったのか…!」
「は?」
きらきら表情を輝かせて手を握り締めながら意味不明な事を言う相手に付いていけない零は思わず素で返してしまったが、それにも構わずアリトは迫力をつけたまま互いの顔を近づける。あまりの近さに仰け反ってもそれでも近づこうとしてくる。そんな攻防が続いた中で、見ていられなくなった遊馬はとうとう間に割って入ってそのやり取りを中断させた。
「お、おいアリト! 真月が困ってんだろ!?」
「…っと、わりぃわりぃ。真月が可愛くて、ついやっちまった」
いやぁー参った、とアリトが悪びれのない笑顔を浮かべると零は許しをするも多少警戒してきたのか、遊馬の少し後ろに回って不安そうにする。
「驚かせてごめんな、真月。あれあいつの癖みたいなものだから、あんまし気にしないでやってくれないか? 悪い奴ではないからさ」
「はあ…遊馬君がそう言うのなら」
すかさずフォローしてきた遊馬の言うことに無理矢理納得して頷いた真月に対し、アリトは小動物みたいだと片隅で考えながらも仕切り直しで握手を交わした。どうしてか、触れ合った掌から緊張の汗が滲む。抑えられない熱い気持ちに比例するかのように高鳴る胸の鼓動を黙らせる術をアリトは知らなかった。
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真月君botとアリトbotのせいでTL盛り上がってたからゆま零前提のアリ零書くわ!!!!!って宣言したので意気込んで書いたら、ゆま零要素見当たらないことに気づいた
多分背中に隠れたり遊馬の言葉を信じようとしちゃう辺りがゆま零だわ(適当)