TFネタ





 今日はやたらとにこにこしている。何かあいつにいい事でもあったのか。それが気に食わなくてブルーノとは目を合わせようとはしなかった。なのにずっと見つめてくるので居心地が悪くなり、ついつい見返してしまう。
「…用があるなら聞いてやらんこともないが」
「あ、うん」
 輝かしい効果音がつきそうなほど綺麗に三日月を浮かべたブルーノに貧乏揺すりをしながらプラシドは舌打ちをした。
「で、何だ」
「えっとねー。今日、噴水広場の方で面白いもの見ちゃったんだ。君にも教えてあげよっかなーって。でもどうしようか、プラシドは言ってほしいかい?」
「…ハッキリしない物言いは嫌いだ、とだけ告げておく」
「じゃあ言ってあげるね」
 ここまで勿体ぶっておいて詰まらん話だったらぶった斬ってやる。そう思って腰に携えていた剣を握ったのはいいが、次にブルーノから発される一言にプラシドはプログラムがショートするような体感を得ることとなる。

「加藤由紀さん…だっけ」

 まるでそこだけの時が止まったかのように固まるプラシドを見てまたもやブルーノはにこりと笑った。いい事? 違った、奴はこれ以上ないと言っていいほど腸わたが煮えくり返っていたのだ。もしプラシドが人間だったなら滝のような汗を流し、顔色は死人と間違えても可笑しくないぐらいに真っ白だったろう。きゅいーんきゅいーんと内部で音を立てる機械達が物凄く熱い。
「女の人を口説くならもっと巧くやらなきゃね?」
 青筋を浮かせて内ポケットから出したであろうペンチを机に突き刺しながら真顔に変わったブルーノには流石の三皇帝の一人でも恐怖を抱かずにはいられなかった。せめて分解だけは免れたいのだが、果たして。





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アポリアと出逢ったことだけの記憶を抹消されただけで、もし先生を口説いてる記憶はあったなら。
闇のカードを渡そうとしてたことよりも昔の恋人に似ていようが似ていまいが異性と浮気するのを許さないブルーノちゃん


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