▼あかいち
12/27(03:07)

 キスしたい時の合図とは人それぞれだと思う。例えば、目を閉じてみたり、唇を突き出してみたり。付き合っている者にしかわからない仕様があったりすると、してやる側も燃えるものだ。
 どちらが言い出したとかではなくどういう流れだったかは忘れてしまったが、自分達の場合手袋を脱いだ方の手で相手の手をするりと撫でる行為がそれに当てはまる。普段隠されているあの血色のいい肌がそういう意味の時に晒されるのは正直ぐっときた。こすこす指先で触っているのにする気配が見られなければ、甲側の穴から指を入れられ直接肌が触れる。表情も期待に染まった顔から待てばかりを命じられる犬のように萎んでいくのが面白い。
 笑っては駄目なのに堪えられず吹き出してしまった。これが切っ掛けでからかわれていると気付いた彼が真っ赤になっていく様はまるで、いや、こうからかわれるのは嫌いなのだろうけど。
「ありゃりゃ、苺によう似てますなぁ」
「…明石殿!!」
 敢えて踏んで行くのが二人らしいと、響く怒号に笑みを携えながら優男のわりにしっかり筋肉のついた身体を抱き締め距離を縮める。
「ちゃーんとしますんで怒らんといてくれます?」
 説教嫌いなもんで、とゼロ距離になった今、彼がどんな顔をしているのか見えないのは唯一残念だ。



関西わかりません


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