強くなるには同等の実力の相手と修行し高め合うべし。戦場での連携も上手くなるし。一族の絆も深まり、その、先にーー。

「ハッ……ブザマなツラしてんなお前」

弟が戦場で怪我をして機嫌が悪かったのだろう。一族の合同稽古で、その日、マダラは同年代の子供らに容赦なかった。後から聞いたがご兄弟を戦で亡くしたばかりで気が立っていたらしい。
当時からその辺の大人より強いマダラとわたしとでは実力差がかなりあったが、それだけでなく女であるこの身でも傷心していたマダラはわたしに容赦しなかった。タジマ様が止めに入らなければ骨の一本や二本折れていたかもしれない。

地に伏すわたしを見るあの侮蔑に満ちた眼差しに、瞳の奥がカッと熱くなった。



「で、皆に写輪眼のこと指摘されて気づきました」

扉間に写輪眼がどのように開眼したのか教えてくれと頼まれたので断った。蹴られ踏まれて「今すぐ吐け雌豚」と罵られので床に這いつくばり素直に答えた。
日に日にわたしの扱いを学んでいく千手め…全く忌々しい。人の弱味を握りやがって。ありがとうございます。

「…忌々しい眼だ」
「そうでしょうか」
「憎しみで力が増す瞳術などまともではない」

生まれてからこの眼を持つ一族と戦い続けてきた。殺し、殺され続け、かつて兄だった自分も弟を喪い兄ではなくなった。敵を知るいい機会とナマエから情報を探ってみたが、やはりうちは一族の異質さを認識させられる。

「憎しみ恨みだけではありませんよ。愛によって目覚める力です」
「先ほどの話でそんな要素なかったぞ…」

その異質な一族の中でさらにイカれた忍者が彼女、うちはナマエ。人に虐げられてたり罵倒されることに性的興奮を感じる異常者である。床を舐めながら話されてもこの異常な性癖の目覚めを教えられただけに感じた。

「忍者は、愛するもののために忍び堪える者だと教わりました」
「忍が愛を語るか」
「大切なものを守るとき忍に限らず人は強くなるんです。きっと貴方もそうでしょう」

彼女が言うと意味合いが違ってる気がする。しかしナマエの話も一理あり、戦場を思い返せば怨み辛みに限らず覚悟によって瞳術の力が増した者もいた。忍としてはどうかと思うが、良い言い方をするなら感情豊かな一族なのだろう。千手よりよっぽど愛の一族らしい。

「ところで…貴様はいつまで床に這いつくばってるのだ」
「耐えることが忍の本質なのです」
「愛するものはどこへ消えた」


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