わたしは今、木の葉の忍なのだろうか。千手扉間さんの部下ならば、そうなのだろう。と、いうことは木の葉の労働基準法が適応されるはず。さっそく火影殿に直訴しなくては。あなたの弟さんの研究室はブラック企業ですよ。

「休みが…休みが欲しい!木の葉の温泉に入って休まないと身も心もズタズタで死んじゃいます!」
「黙れ。貴様は既に死んでおる。早く作業を終わらせろ」
「チッ……この鬼畜上司が……」

 すっ、と先程からわたしが製作している起爆札を取り出す鬼畜上司扉間さん。感知が得意らしい彼は小言も感知できるのだろうか、さすがである。この地獄耳が!

「ああぁすみませんお願いだから爆発やめてえお肌ぼろぼろになっちゃうのヤダァ」
「無駄口叩く暇あるなら作業をしろ」

 はいはい、わかりましたよコンチクショウ。里に騙されて木の葉の千手扉間さんに殺されたわたしは穢土転生で蘇り、彼の部下になりました。現在、チャクラを気にしなくていい死体なので扉間さんに命令されて起爆札製作をしています。命令無視は出来ません。怖いし強いし、この穢土転生という術によって拘束されています。仕方なく札に口寄せの術を仕込み爆発するようにチャクラを込めるだけの簡単な作業を続ける。大量に、無限に、永遠に。
 この先の見えない作業は結構精神的に来る。皆さんは想像してほしい。たんたんと起爆札製作の内職をしている最中、隣でなにやら術の研究をしている扉間さんがいらっしゃり、その扉間さんは生身なので「食事を取ってくる」等の整理現象で時折席をはずす。そしてわたしはたんたんと起爆札製作。酷いときには時間がないからとわたしの隣で食事したり仮眠したりするのだ。気が狂いそうです。

「ねえねえ何かお話しましょうよ」
「口より手を動かせ」
「この作業いい加減飽きたので他のことしたいです!」
「飽きるな!」
「うわああ飽きた!飽きました!もう机返ししてやります!………うっ」
「まったく、貴様はガキか」

 扉間さんは呆れたようにため息をつき術によって身体を拘束する。か、からだか動かない!とやられそうな負け台詞をはいて気合いで起爆札をバッサーとぶちまけようとするが無理だった。数分の格闘の末、しぶしぶと大人しく作業に戻る。うう、これでは部下じゃなくて奴隷ですよ。労働基準法無視しまくったからくり機械になった気分がした。
 そもそも、何故こんなに起爆札が必要なのだろうか。扉間さんは一瞬でわたしを殺すぐらい強いのだから、こんな大量に要らないでしょうに。

「なんでこんなに起爆札作るの?」
「敬語を使え、貴様は部下だ」
「じゃあ貴様って呼ぶのやめてナマエちゃまって呼んでくださ……なんでもないです」
「くだらないこと考える暇などない。明後日には術を試したいからな、早くしろ」
「た、他里の忍だったからって厳しすぎます!明後日までこの量終わらせるには寝ずにやらないと」
「穢土転生は死体だ。睡眠の必要はない」
「うわああ」

 休日どころか睡眠時間までないときました!これはもう火影に直訴待ったなしです。まあ、一介の奴隷のわたしが火影殿に会える機会など皆無でしょうが、お兄さんが弟の様子見でこの研究室にやってくることを祈っている。切実に。

「うう、せめて最初の質問には答えてくださいよ。理由なしに製作するより使用法知っていた方がモチベーションも上がる気がします」
「……貴様には言い難い」
「ナマエですってば。余計に知りたくなりました!」
「ハァ、後悔するぞ」
「ポジティブの塊なめないでください」
「馬鹿の塊の間違いだ……まあいい」

 扉間さんは丁寧に札の使用法だけでなく穢土転生の使い方まで教えて下さいました。聞かなきゃよかった。なんて卑劣な術だ……。


一日二十四時間労働



 

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