上司から逃げて、お仕事をサボって最近里にできた甘味処で糖分摂取しようとしたら先客の柱間様がいらっしゃった。その身分ゆえ看板娘から結構な接待を受けて近寄りがたい雰囲気なのに気にせず話しかける。こうなれば火影も道連れにしてやんよ。
 しかし、人当たりのよいお方なので、わたしの存在に気づくと席を勧めてわたしのぶんの茶と団子を頼んでくれた。申し訳ないなと思いながらも「気にすることないぞナマエ」と明るくおっしゃるので団子を手に取り話題を探す。あんこが甘すぎず絶妙だ。そして話の内容はやはり我が上司であり柱間様の弟君の扉間さんである。

「ああ、どおりで扉間さんが追ってこなかったんだ……」
「今頃はオレを必死で捜しているぞ、ハハッ」
「どんまいです火影様。でも息抜きは必要ですもんねー」
「うむ、扉間にもそう訴えたのだが…二時間仕事したら五分休憩をやろうと言われての。逃げてきたぞ!」
「見つかったら大変ですね」
「だからこうして、いつもの所ではなく新しくできた甘味処に…」

「あっ、先に言っておかないと。
 ごめんなさい火影様、実はわたしの服に飛雷神のマーキングがあるんです。」

「えッ…」

 柱間様が何かを言いかける前に見馴れた姿が一瞬で現れる。戦場では毎度毎度頼もしいと感じていた姿が、今は死神が降臨したかのように感じていた。柱間様もわたしも、絶望といった顔をしているだろう。

「やはりナマエを先に連れ戻そうとしたのは正解だったな…まさか一緒に居るとは」
「と、扉間……」
「兄者、仕事を木遁分身にさせるのはどうかと思うぞ。夕方には会合もあるのだ、それまでに終わらせねばならんとあれほど」
「ナマエ!騙されたぞ!」
「騙してない、騙してないです!ところで扉間さん、火影奪還任務の手伝いの報酬として仕事量減らしてもらえませんか?」
「貴様は何もしとらんだろ。却下だ」
「チッ……」
「酷いぞナマエ!」

 こうしてわたしは半ば引きずられるように仕事場に連れ戻されたのだ。柱間様だけ威厳に関わるとかで丁重に連行されるとか懐に落ちない。「女性を丁重に扱わないと一生独身ですよ」と助言したら首を絞められ仕事量倍にされたとか理不尽。いつもは助けてくれる柱間様もその仕事量に落ち込むだけで助けてくれなかった。


 また日中ぶらぶらと年々発展する里を練り歩いていたら柱間様と出会った。

「あッ…火影様」
「ナマエか!」
「わっ!逃げないでくださいよう、心細いじゃないですか」
「しかしだの…」
「今回は大丈夫です」

 今回は、仕事を放り出したのではなく、丁寧にも『わたしがやるより他人にやらせたほうが効率がいい』データをまとめ倫理的に説明した書類と共に扉間さんの机に置いたからセーフである、たぶん。ちなみにその書類製作に三日もかかり仕事もそのぶん放置したのは言うまでもない。
 誇らしげに語るとげんなりした柱間様が、また落ち込まれていた。安心してくださいな、対策はこれだけではないのですよ。

「それは大丈夫と言わぬぞ……」
「どうせまた木遁分身で変わり身の火影様よりましですって」
「グッ…痛いところを!」
「それに飛雷神マーキングつきの上着をうちはの敷地内に捨て置いたので」

 そう。さらにわたしは扉間さんがうちはマダラとばったり会って時間稼ぎ出来るように、飛雷神マーキングつき上着をかの屋敷に捨てたのだ。二人の仲は良くないと聞く。ふふふ……これで今日一日遊んでいられる!

「おお!マダラには申し訳ないが、いいぞナマエ!」
「ふふふ、未来の火影と呼んでもいいですよ」
「よッ!百代目火影ぞ!」
「そこまで長生きできるかなーあはは」

「そういうことだったのかナマエ…」
「よォ……柱間ァ…」

 いつの間にか少し服が焦げた扉間さんと、髪が少し濡れているうちはマダラがいらっしゃった。死神一人と魔王が一人。あらら、ちと見つかるの早すぎませぬか。さすが感知と写輪眼の合わせ技。若干既にやりあった形跡があり仲の悪さと我々への苛立ちがとても感じられる。怖い。
 戦闘力の差はわたしのせいで此方が断然不利である。ちらりと頼みの柱間様を見ると地球滅亡の危機のような顔をしていた。互いに視線が合い数秒間も経っていないのにフッ…と諦めた表情をする。

 皆さん、こういうときは素直に謝りましょう。「「すみませんでした」」と。


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