わたしは正座し、目の前で扉間は腕組みして座っている。親に怒られている気分だ。相手は夫だけれど。

「だって、寂しくて……でも、本当に愛してるのはあなただから」

 まるで浮気がバレたときのテンプレな言い訳。しかし浮気相手は扉間の分身さん。日々里のために働き忙し過ぎてまったく構ってもらえないのを愚痴ったら影分身という術で二人に増えた扉間の片方を家に置いてくれた。家族が増えたよやったねナマエちゃん!でもその分身が戻るとき記憶も戻るだなんて聞いていなかった。知らなかった。

「ねえ、本当だからね。好きなのは扉間だから、その…ごめんなさい?」
「ナマエは謝る必要はない。構ってやれないオレが悪い」

 ならその威圧感をやめてください。
 忍術に詳しくないわたしは分身扉間をいただき、どうせ消えてしまうのなら普段出来ないことをしよう!と相当甘えまくった。日中ずっとイチャイチャチュッチュキャピキャピラブラブ以下略状態で膝枕とかお姫様抱っことか…さすがにあはんな展開はお仕事中の扉間に申し訳ないので回避したけれど。
 はい、すごく楽しかったです。わたしは楽しかったが、どうやら分身さんの疲労も本体にカムバックするらしく、扉間はただ疲れただけなのだろう。本当に申し訳ない。正座の体勢から頭を床につける。額から伝わる床の冷たさがいっそうわたしの思考を冷凍させる。土下座したところで罪悪感は消えない。

「おい、頭をあげろ。ナマエは謝る必要はないと言っただろ」
「でも、お仕事頑張ってる扉間に申し訳なくて……。分身さんに疲れるようなことさせてごめんなさい」
「別にその程度のことで疲れたりせん」
「えっ、そうなの。でも嫌だったよね……」
「オレは忍だ。一日中ナマエを横抱きするぐらいの体力はある」

 それに、嫌ではない。

 先程からの威圧感が消えいつもの真顔でさらりと言った。わかりにくいけれど。つまり、その。自惚れるなら扉間は分身に嫉妬した。自惚れないのなら恥ずかしい嫁に後悔している。後者だったときの絶望感がはんぱない。

 少しだけ頭を上げていた体勢からがばりと上半身を上げる。やっとまともに視線が合わさって扉間の顔を凝視する。いつもの顔なんだけれど、ちょっと照れくさいご様子。

「い、嫌じゃないんだよね」
「……ああ」
「抱きついていいですか。なーんて」

 扉間は少しだけ視線をそらして組んでいた腕を開く。ダイブしやすそうなその胸に飛び込んだら、背中をぎゅっと抱きしめてくれた。自惚れいいですか。抱きついているせいで扉間の顔が拝見できないけれどもすごく幸せな気分になった。本物のそっくりの分身もいいけれど、やはり本物の扉間がいい。



 ちなみに火影様はミト様とイチャイチャパラダイスしたくて仕事場に木遁分身を置いていったとか。


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