脛に鈍い衝撃がはしる。コンクリートや岩で擦ったような痛みだ。

「ナマエすまない」

 またオビトに蹴られた。

 オビトと食事をするとき高確率で足蹴りされる。本人に悪気は無く、脚を組み直したりすると前のわたしに当たるのだ。ソファ席を譲ったり、割り勘でいいと言っているのに奢ったり多く支払ったりしてくれる……だから今まで強く怒ることもできなかった。オビトは全く悪気は無いのだから。

「痛い…」
「悪かったって。此所はオレが持つから許してくれナマエ、な?」

 個室の仕切りがあるので、人目を気にせず前屈みになり蹴られた部分を見る。行儀が悪くても怪我の確認が先よ。オビトがまだ何か謝罪をしているようだが、聞いても苛立ちが増すだけだ。何度目だと思ってんのよ。脚が長いことを自慢しているんじゃないかってぐらい足蹴りを食らわされている。

 痛みが強い部分に触れたら肌がひりひりした。穴が開いて、薄皮が捲れたらしい。普段より質のいいナチュラルベージュのストッキングを撫でれば肌の部分が少し続いている。伝線しにくいのが売りのストッキングだったのに……どんな強さで蹴っ飛ばしたのよオビト。

「ストッキングが伝線した」
「すまない…弁償する」
「いいよ、こういうの消耗品だし」

 本気で落ち込みそうなオビトを宥めようにも、いい言葉が思い付かない。気にしないで…ってのはまた足蹴りするのを容認しそうで言いたくない。オビトには脚が長かろうと向かい側に気を使って伸ばさないようにしてほしい。でも強く言って、行儀宜しく脚を閉じたり正座するオビトもなんだか嫌だし……どうしたものかな。

「ねえオビト、マダラ様ならどうすると思う」
「は?マダラ?」
「うん、マダラ様が食事中に足蹴られたら」

 このように迷ったら人生の先輩を見習おう。マダラ様ならどうするか、わたしは詳しく彼のこと知らないけれどオビトは一緒に生活していたしよく知っているのだろう。

 オビトは顔色が悪くなって神妙な表情で考え出した。えーっと…マダラ様ってオビトの親御様や師のような人じゃなかったっけ?仲悪いのかな。

「そうだな……骨にヒビが入るぐらいの力でやり返すかもな」

 なるほどやり返すのね。相手も痛みを知れば二度と同じことを繰り返すこと無く平和な食事ができる。オビトは蹴られる痛みを知るべきだ。
 ああ、ガイに木ノ葉旋風教えてもらわないと。でも弟子入りは嫌だな。あのダサいタイツ着たくない。

「まあ、あんな大人の真似するなよ。性根が腐る」
「マダラ様ってそんな人なの?」
「アイツに様なんていらない。もうマダラの話は止めろ、飯が不味くなる」

 苦い顔で料理を口に運んだ。仲がたいそうお悪いみたいだ。オビトの足は踏み返しても、その地雷踏まないようにしよう。

「なんかごめんね…」
「今はオレと居るんだ。他の奴の話なんてするな」

 挑発的に軽くわたしの足を踏んだ。あの不慮の足蹴りと比べると可愛いやきもちなんだろうけど、オビトが今現在踏んでいるわたしの靴はエナメルでも革でもない淡い色の布製のお気に入りの靴で雨の日には絶対に履かないと決めているのに汚れたらどう落とし前つけてくれるんだオビトよ。ええ?

 こんなところが互いに合わなくて苛つくんだと感じた。わたし達の相性はとてもいい、わけではないようだ。少し悲しい。

 一先ず、ヒールの尖った部分でオビトの靴を踏んづけて攻撃する。けど、やっぱり木ノ葉旋風を会得しようと思う。

「ナマエ、痛い」
「痛みを知れオビト」
「…オレの居ないところでペインと会ったのか?」

 むぎゅ、また軽く踏まれた。やきもちかな、嫉妬かな。ペインさんピアスだらけだけれどかっこいいものね。でもオビトのほうが好きなので安心してほしい。
 しかしお気に入りの靴を踏まれた怒りは晴らさせてもらうぞ!とりあえずわたしもオビトの足踏んづけてやり返す。ヒール部分を使い何度か踏み攻撃、どっちが行儀悪いのかわかったもんじゃない。

「小南さんと一緒だったからいいじゃない」
「駄目だ、オレの見えない所でアイツらと関わるな。ろくな考えを持たない…まだガイのがマシだ」

 じゃあガイに弟子入りして、木ノ葉旋風を会得しよう。


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