「ナマエちゃんが可愛い過ぎて目に入れても痛くないっス!」

 と高らかに宣うトビ。芸術制作を邪魔され堪忍袋に触れたらしいデイダラさんが、文字通り仮面の穴目掛けて起爆粘土を放ったらしい。デイダラさんの起爆粘土は可愛くないので痛そうだとトビが笑った。避けたのかな。
 よく生きてるね…トビって本当はかなりの実力者なのか?実力のない暁のメンバーなんて誰一人としていないからそうなんだろうけど。

「ナマエちゃんがいるじゃないっスか!」
「えっ、わたし暁だったの?」

 勝手に暁のメンバーにされていたらしい。あの暁の衣も指輪も貰ってないので、ただの友人か知り合いの関係だと思っていたのに。

 っていうかわたしが実力ないって失礼だ。暁の皆様と比べたらそりゃあ数段は劣るけれど、実力ない、訳じゃないんだから。まだ若いし伸びる可能性だってある。
 ムカついたから軽くお腹をパンチした。グハァ!とオーバーリアクションするトビがうざい。

「イテテ…もう照れちゃって!ナマエちゃんはボクの可愛い部下じゃないの!」
「照れてなっ…って、そうだったの?部下、トビの?」
「…アララ、自覚なかったんだ…」

 ショック!とこれまた大げさなリアクションで落ち込んだ。仮面を被ったままめそめそと泣き真似までし出す。わたし、このトビの部下だったんだ。こんな怪しい仮面の男の部下。マジか…えっ、嘘…。

「わたしもちょっとショック…」
「そんなこと言わないでくださいよー!ちゃあんと可愛がってあげますから。ねっ!」
「でもさすがに目に入れたら痛いよ」
「ナマエちゃんなら余裕っス!」

 何処からそんな自信がくるのだろうか。しかも本気で「試しちゃう?」と、目に入れようとしてるし。あの仮面の穴が赤く光った気もする。
 トビって面白いのか、不気味なのか、怖いのか、よくわからない。そんなよくわからない男の部下とかショックというより嫌かもしれない。

「そこまで言うなら試していいよ」

 勝手に部下に認定されて、かもしれないじゃなくて嫌だ。絶対に嫌過ぎる。
 トビなんて、わたしを目に入れて失明しちゃえばいい。眼に入れるなら。

「なんすか…その構え…」
「さらにもう一発」
「やめてくれ」

 やっぱり、眼に入れると痛いよね。


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