※現パロ青春


 学年末に行われるテスト。全クラスが5、6時間眼を使い一斉に行われる。科目は算数と国語。国語は主に漢字と文法、そして少ない論文か小説。小学生ながらも、中学以上の定期テストを意識させるための『試験』であり、平均点未満は追試もある。

 今回は、その学年末テストでかなりの好成績を残せた。両方満点に近く、合計点は学年トップだと担任に言われた。

「柱間ァ!お前はテストどうだったんだ?」

 学年トップと言われて、真っ先に思い付いたのが柱間に自慢することだった。

 奴とは最近公園で出会ってから、会うたびにスポーツで競い合っている。冬の寒い日だろうと、気にせずボールを奪い合い、投げつけあったりする仲だ。バレンタインのチョコの数でも争った……柱間は気にしてなかったが…。ダッセェ髪型と服装のくせに結構モテていたが…。チクショウ。

 家は互いに近所だというのに、生憎、通学班もクラス違い学校関連では顔を会わせることがなかった。しかし、このテストは違う。全クラス共通のモノだ。それでオレは学年トップ。言いたいことはわかるだろう。

 下校途中、いつもの公園でブランコ領を征服している柱間が視界に入り、家に一旦戻って荷物を置くこともせず柱間の元へ駆け寄った。つうか柱間の通学班、帰宅するの早いな……。


「なんのテストだ?」
「学年末の奴だよ。つい先週やっただろ。まだ返ってきてねェのか?」
「あぁ!理科は95点だったぞ!」
「ちげェーよ!算数と国語の学年末だっつーの」

 背負っているランドセルから丁寧に仕舞われた好成績のテストを取り出す。テスト内容は同じのはずだから、さすがにこれを見れば馬鹿な柱間でも思い出すはずだった。そうオレは思っていた。

「なんぞ?こんなテスト、全く記憶にないぞ」
「覚えてねェーのかよ!まさかテストの存在そのものを忘れる奴が居たとはな……」
「オレのクラスだけまだやってない奴か?どうしようマダラの物をカンニングしてしまった……」
「全クラス一斉のはずだが……」

 不正行為をしてしまったと落ち込む柱間と、会話が噛み合わず腹が立ってきたオレに、遠くの方から声が響いた。


「ちょっとマダラ!通学班抜けて勝手に公園行かないでよ!イズナくん怒ってたよ!」

 出たな、算数壊滅女。

 合計点ではオレが学年トップだというのに国語のテストはオレの負けだった。なんと、この女は国語で満点を叩き出したのだ。作者の気持ちがわかる系女子だ!
 名前の通り、算数は平均点未満で追試決定で奴の昼放課は潰れることが約束されたらしい。追試頑張れ。

「いや、国語のテストさ、記述問題は評論じゃなくて小説だったから。作者の気持ちとか問われなかったからね」
「A子の気持ちは問われていただろ!」
「わかってあげてよA子の気持ち……」

 柱間に突き付けるように手にしていた解答用紙を眺める、算数壊滅女、ナマエ。オレが男女混合ドッジボールで男女平等投球をしたら女子勢に批難されたのを庇ってくれた正義の味方であり、以後腐れ縁が続く友人でもある。

 正義の味方は、オレの算数の解答用紙を奪い、己の平均点以下用紙に答えを書き写していた。ブランコの上では書きにくく、先生の赤ペンとは違う桃色っぽい赤ペンが汚い数字を描く。
 公園で復習すんなよ。

「ナマエ、こんな所でテスト広げて復習しないでくれ……」
「いいじゃん。柱間関係ないでしょ」
「いや、オレのクラスまだそれやってないんだ…不正行為ぞ…カンニングぞ……!」
「え?」

 柱間は、まだ両の手にで目を覆い落ち込んでいた。さすが真面目な柱間だ。お前の弟だったら気にせず解答を暗記していただろうに。いいや、扉間はそこまで卑劣ではないか。イズナの影響で些か脳内扉間を改悪してしまったな。

 それはそうと、ナマエは全クラス一斉であるはずのテストを柱間には関係ないと言った。

「だって柱間は西小でしょう。学年末テストなんてないじゃない」
「えっ…」
「柱間……」

 あまりにも互いの家がこの公園に近かったから、クラスが違うだけだと思っていた。
 自己紹介では、クラスと名前しか言わなかった。
 来年は同じクラスになれるといいな、だなんて言ったりもした。
 柱間の家は、どう考えてもオレ達の通う東小のほうが近いはずだった。

「あの国道で学区が別れるからね」

 ナマエが指す方向は、オレ達が通学路として使っている人通りの多い、歩道が完備された道路だった。その言葉に全てに裏切られた気分がした。

「嘘だろ…本当かよそれ」
「寧ろなんで気がつかなかったのよ。学校で会ったことないじゃん」
「マダラ達、東小だったのか?遠くないか、あの学校……」
「西小のが遠いだろうが柱間ァ!」
「そんなことないぞ!お前達の学校のほうが……」

「柱間、東小はあのコンビニのある細い道路を右に曲がると校舎の時計が見えるほど近いのよ。通学路じゃないから国道通って遠回りさせられてるけど」

「……ナマエ、知らなかったぞ」
「知らないのに遠いと思ってたのかよ」
「じゃあオレは遠い方の学校に通わされていたのか!?」
「そうだよ」

 カンニング行為だの落ち込んでいたとき以上に柱間は落ち込んだ。落ち込みたいのはオレだっつーの。

「ちなみに、中学もあの国道で学区が別れるからね」
「「えっ……」」


 オレと柱間は心疎かになり、今日は何も遊ばず帰宅した。何と別れの挨拶をしたのかも覚えておらず、とぼとぼとナマエと歩いていた。ナマエはブランコ上で写しきれなかった算数の答え下敷きを台にして歩きながら書き進めていた。なかなか器用な奴だな……。

「もういいぜ……貸すよそのテスト。明日追試なんだろ」
「うーん。もうちょっとで写し終わるからいいよ」
「そうかよ……」

 軒先で算数のテストを返してもらい、玄関を開けるとイズナが通学班を抜け遊びに行ったことに怒ってた。すまない…イズナ…。


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