▼ 脊髄が軋むセックス

※唐突に現パロ
※ドフラミンゴの体格が人間に許される程度のサイズ




 自動ドアが開いて誰かが入店してきたことを無機質な電子音で伝えてきた。読んでいた雑誌から視線を微かに上げると、どことなくオタクっぽい中肉中背の男が商品棚を物色している。視線が合うと大体客は居心地悪そうにするから、私はさっさと自分の世界に引っ込むことにした。また紙面の文字に目を落とす。
 まぁそりゃあね、そうでしょうよ。何せ私女子高生だからね。制服の上にエプロンつけてるし。ついでにここは正々堂々のアダルトショップだしね。
 普通高校生を働かせちゃ拙いと思うんだけど、私は色々事情があってここで放課後から数時間店番に勤しんでいる。うらぶれたところにあるから大して客入りはないし、ついでに時給が2000円という破格の待遇。お蔭でお財布はとても助かっている。の、だけど。

「…あ、あの」
「あぁ、はいはい3134円でーす」

 ちょっと古い型のレジでバーコードをスキャンしてお会計をする。ほう、団地人妻ものですか。この女優さん最近人気上がってきてるよなぁ。
 なんて思いつつAVを不透明の袋に突っ込もうとしたところで、手首を男に掴まれた。うえ、何か汗ばんでて気持ち悪い。あと業務妨害は止めて欲しいな、とか。うん。
 視線を向けると、男は何かアレな表情をしている。うわぁ。たまにいるけどこういう客。面倒臭いんだよなぁ。

「えっと、離してもらえません?」
「君…ずっとここでバイトしてるよね…?」
「そうですけど、」

 そんなことより離せって、言って、るでしょうが!
 と私がブチ切れそうになったその時、男の空いている方の手が背後から捻り上げられた。そこに立っているのは──よく見慣れた姿だ。
 暑い季節だってのにトレードマークのピンクのド派手なもふもふコートを纏った大きな体躯、色素の薄めな金髪に特徴的なサングラス。またタイミングよく現れるなぁ、なんて。私はその顔を仰ぎ見る。

「うちの可愛い従業員に何してんだ、あァ?」

 ドスを効かせた低い声にひぃいと情けない悲鳴が上がる。私の手から商品をひったくると、男は足音も荒く店を出ていった。お会計終わっててよかった。私の給料からさっ引かれるところだったわ。
 ほっと息を吐いていると、レジ台の上に出ていたままの手を掬い上げられた。

「…ドフィ」
「※※※、まァたお前は変なのに絡まれやがって」
「何よ、私のせいじゃないでしょ」

 ふいっと顔を逸らすと、彼はフッフといつもの笑い声を漏らしながらレジ台を乗り越えてきた。あ、お行儀悪い。
 この見た目明らかにチンピラですっていう感じのオッさんはドンキホーテ・ドフラミンゴと言う。実のところはチンピラではなくてその上のヤのつく自由業的な人なんですけどもね。ついでに私をこのバイトに採用した張本人でもあったりする。
 レジ台に腰掛けて、それでも随分上の方からドフラミンゴは私を見下ろしてくる。と言っても視線は濃いサングラスのレンズに隠されて明確には感じられないのだけど。

「誘ってる目でもしてたんじゃねェのか?」
「失礼なっ! そんなのしてませんー」

 ひょいと首の辺りに伸ばしてきたドフラミンゴの手を叩き落す。でもそんなことでめげるような質じゃないから、また伸ばされた指先が私の制服のブラウスに掛けられた。
 うちの学校の夏制服は結構胸元が緩めになっているから、第一ボタンを外されると割と大きく開いてしまう。そこからするりとごく自然に入り込んできた手がブラジャーの上から胸をなぞった。思わずびくりと肩が跳ねる。

「ちょ、っ、ドフィ…っ」
「※※※ちゃん、乳首勃ってる」
「そ、れは…ひゃん!」

 胸をがっと掴まれて口から変な声が飛び出した。何でこんな堂々と胸を揉んでくるのこの馬鹿はっ。
 と思いはするけど、私は既に逃れられる状態にない。店内に誰もいないからいいものを、ドフラミンゴはごく自然に私を抱き上げて椅子の位置を取って代わっている。ブラウスを半脱ぎにさせながら片方の手がスカートの中に無遠慮に入り込んできて腰が捩れた。
 何をするんだと声を荒げることも出来ない。今口を開いても正面に何か言える気がしなかった。だってそこ、は。

「あーあ、とろっとろになってんなァ」
「、だって、っ…ドフィが、ッ」

 ぐちゅ、と生々しい水音が上がる。下着の上からなぞられても分かってしまうくらいに、そこは蜜を溢れさせている。
 本当は雑誌の文なんて全然頭に入っていなかった。気を紛らわせようと思ってずっと文面を追おうと努力していただけで。私はひたすら中に入れられたモノの感覚を紛らわせようと必死だったのだ。
 朝、登校中にたまたまドフラミンゴに会ったのがそもそもの始まりだった。っていうか絶対たまたまなんかじゃないんだけど、最寄駅の改札を抜けようかとしていたところで軽く拉致された私は、馬鹿高い外車の中で爽やかな朝っぱらからエロっちいことをされる羽目になったのだ。学校まで送ってもらえたから遅刻はしなかったけど、お蔭で一日中殆ど授業に集中出来なかった。
 その原因が中に入れられた、所謂なんていうか、その…ローターである。
 全く、頭どうにかしてるんじゃないのかと思う。だってごく微振動にスイッチ固定して、出したら駄目とかさ、何考えてんのほんとに。安手のAVじゃあるまいし。
 あとついでにこの展開もAVっぽいから実に止めて欲しい。このオッさんめ。変態。最低。

「やぁっ、あ、だめ…ッ、ぁあん…!」

 下着をずらして指がゆっくり中に入り込んでくる。ブラウスはもう殆ど脱がされきっていて、ブラジャーも擦り上げられてしまっている。思っていた以上に手が早くてもう私は感心するしか出来ない。
 首筋にべろぉっと舌を這わされる。微かに歯を立てるのはドフラミンゴの癖みたいなものだ。噛み付きたそうに吐息が漏らされるのにぞくりとする。本当にそうし兼ねない雰囲気があるから余計にそんな反応になるんだと思う。
 でもそんなにキツく噛まれたことはない。精々ちょっと血が滲むくらい、って、それは結構傷が深いような? あれ、私大分ドフラミンゴに毒されてない?
 ぐりぐり中を弄られるのが嫌で体を捩ると、腰をドフラミンゴの股間に押し付けてしまう。そこはガッチガチに勃起していた。熱い体温にびくりとすると、耳元で笑声が零される。

「フフフッ、欲しくて堪らねェのか?」
「ちがっ、押し付けな、…、ひぅっ?!」

 ぐっと中の指がローターを押し込んできて裏返った声が出た。チャックを下ろす音が聞こえて、尻の狭間に熱が触れる。ぬるりと滑る感触が何によるものなのかは余り考えないことにした。その方が幸せだと思う。多分。
 ゆっくりと指が抜けていって、それからその代わりと言わんばかりにもっと大きな、もの、が。

「え、あっやだ、ローター抜い…ッひゃああん!」

 う、そ。信じられない。まだローター入ってるのに。っていうか生、だし。
 腰を掴まれて勃起したペニスを突き入れられて息が跳ねている。まだ先っぽの方しか入っていないのに、凄く圧迫感を感じる。
 っていうのも、ドフラミンゴのが丸っきり凶器サイズだからなんだけど。そりゃあ身長2メートル強あるし、それ相応の大きさはあるんだろうけど。それにしたって絶対規格外な訳で。先っぽだけだから、とか全然全く救いにならない。
 じたばた暴れるとんー?とか呑気な声を上げながらドフラミンゴがずるずる繋がりを深くしてくる。膣が無理矢理に押し開かれるのに喉が仰け反った。

「だ、から…抜いてって、ばっ」
「んん? 何を?」
「中の…、っ、もう…分かってる癖に…っ」
「フッフ、しょうがねぇなァ」

 甘い声でそう言ったかと思うと、ドフラミンゴの手が徐に何かを操作して。操作し、て?
 俄かにローターの振動が強くなった。ぞわぞわと快楽の波が背筋を駆け上がって、私は堪らず悲鳴じみた声を上げる。拍子に力が抜けたのをいいことに、ペニスがより深くに入ってくる。
 またこの、オッさん、はっ。全然私の言うことなんて聞く気ないんだから。何となくそんな気もしたてけど、何もこんな時にそういう予感は当たらなくていいと思う。心底から。

「あっ…あッ、あ、あぁ、ダメ、ドフィ…ふか、!」
「あー、堪んね、※※※…」

 もう正面にドフラミンゴの膝の上に座っていることも出来なくて、私は上半身をレジ台に預けているような状態だ。こっちのことなんて全然考えてないみたいな乱暴な突き上げに息を吐く余裕もない。
 だからやだった、のに。っていうか店は絶賛開店中な訳だから客来たらどうするのよこれ。笑えないんですけど。入口は磨りガラスになってるけど、開けたらレジは割と真正面なレイアウトなの分かってるのかこの人は。
 とか考えているのは、完全に現実逃避だ。だってそうでもしなきゃおかしくなりそうなんだもん。開いた口から勝手に喘ぎ声が転がり出していく。こんな半ばレイプみたいな状態でこんなにも感じるなんて、私も大概どうにかしている。

「ひぁッ! あ、やらっごりゅごりゅ、て、したらぁ…!」
「気持ちイイんだろ…トンじまいそうか?」
「だめ、ァあ、それやめっ…来ちゃ、イっちゃうぅ!」

 ぶんぶん首を振ると目尻から涙が零れおちていく。必死で上面に縋り付くと、上に投げ出していた雑誌のページがくしゃりと捩れた。よく見たらそれよりも前に何か体液っぽいものでぐちゃぐちゃになってた訳なんだけど、もう読めないことに変わりはなさそうだ。
 強く腰を打ち付けられて快楽がどうしようもなく体を支配する。本当にもうこれ以上は駄目。快楽で神経が焼き切れそう。

「はっ…すげェ締め付け」
「うぁあ、っや…どふぃ、中やだ、出しちゃ…っ」

 そもそもゴムなしではしないでって毎回言ってるのに。孕んだらどうするのか問い質してやりたい。責任取る気とか絶対ない癖して避妊もしないとかどれだけ駄目なの、このオッさん。
 そもそも自分より2回りくらい下の私に白昼堂々手出すなっての。そうでなくても最近頓にこのバイトのやけに高い時給って、この半分くらい援交みたいな関係のせいじゃないのって思えてきてるのに。
 そんな思考とは裏腹に、私はきゅうと胎内のペニスをキツく締め付けてしまう。ぶわりと一際大きな快感が私を襲った。ドフラミンゴが背後で熱い吐息を零して、嫌がらせかと言いたくなるくらいに腰を抱き込んでくる。
 あ、と吐息とも喘ぎともつかない音が唇から零れた時には既に、不随意に身悶える体の深くにその精を注ぎ込まれていた。



 比喩でも何でもなく本当にぐったりと、私は体を投げ出している。因みに場所は変わらずレジのすぐ横である。
 イッて満足したのか意外と素直にローターを抜いてくれた、のはいいんだけど、私は激しいセックスの余韻からまだ抜け出せていなかった。吐く息が熱い。鼓動がまだどくどく早鐘を打っている。
 朝から好き勝手し放題の季節感がまるで読めない馬鹿、もとい私の雇用主のオッさんことドフラミンゴは、そんな私の制服を整えたりと甲斐甲斐しく世話を焼いてくれていたりする。そんなことされても今更騙されないんだから。ご機嫌を取ろうったってそうは問屋が卸さない。
 だから手をはたいてやろうと思ったりするんだけど、どうにも怠くて体を動かす気になれない。その代わりにせめて睨み付けてやるくらいで精一杯だ。

「そんな可愛い顔すんなよ※※※ちゃん、誘ってんのか?」
「あんたは超弩級の馬鹿なの?!」

 あれだけされた後で誰が誘うか!
 うがあっと私が吠えるのと、無機質な入店音が響くのはほぼ同時だった。げ、と顔を上げると、そこに立っていたのは──。

「ドフィ……、…取り込み中か、失礼した」
「ヴェルゴさん変な時にだけ空気読まなくてもいいよ?! この人持って帰って!早く!」

 ドフラミンゴの側近のヴェルゴさんだった。いつも頬っぺたに何かくっついているんだけど今回は車のキーだったから、多分気儘にふらふらしてるドフラミンゴのお迎えなんだろう。
 毎回すっとぼけた感じのやり取りをする割に、何かこういう時だけごく普通の対応されると恥ずかしさが鰻登りだ。ヴェルゴさんは数少ない私とドフラミンゴの関係を知っている人の一人で、目撃されること自体は別に何も問題ない。ないけど恥ずかしいものは恥ずかしい。今朝の車を運転してたのもやっぱりいつも通りヴェルゴさんだったことを何故か思い出してしまって体温が3度くらい上昇するのを感じた。

「何だよ可愛がってやってんのによォ」
「時と場所を選ぶ気はない訳…」
「選んでんだろ十分」
「あぁはいそうですかそうですね…」

 もう正面な感覚を期待するのを諦めて、私は大きな溜め息を吐き出した。私を膝に乗せたドフラミンゴはフッフといつもの特徴的な笑みを漏らして実にご満悦そうだった。



 因みにこの後、レジ周りの様子が見えるように設置された防犯カメラにばっちりアレやコレやが映っていたのをベラミー店長に見られてしまって一騒動程あったのだが、私は最終的に某夢と魔法に溢れたテーマパーク全奢りの約束を取り付けるに至ったので、そっと溜飲を下げたのだった。



13.9.28





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