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犯人は下り電車を降りた後、木々が生い茂った山にある階段をのぼりはじめた。
「残ったのは我ら5人でござるな」
「そうかな」
「三郎丸さん!」
三郎丸さんとは、自称IQ180で自称東大生の三郎丸さんです。
三郎丸さんはキュウに呼ばれ、木の影から出てきて失礼なことを言った。それがキンタさんの勘にさわったらしく、三郎丸さんの胸ぐらを勢いよく掴んで持ち上げた。
「うぁー!」
「すごい…」
『力持ちー』
持ち上げられた三郎丸さんは地面に投げられてるし、すごい痛がってるしで、なんか可哀想だった。
「俺をバカにすると、こいつが許さねぇ!」
そう言ってキンタさんは肩を出した。その肩には刺青。
てかケンカしないでよ。リュウも呆れてるみたいで、階段をのぼりはじめた。あたしもその後をついていく。
「…なに?」
『リュウともっと仲良くなりたいなぁ、って思って!』
「…」
『…あれ?』
「…僕は仲良くする気ないよ」
『え…』
仲良くする気ない、言われた瞬間に周りの音が、声が、聞こえなくなった気がした。何でこんな事で傷ついちゃってるんだろう。…バカだな…あたし。
「君も、しゃべりすぎだな」
「…しゃべりすぎ!?」
「俺達ライバルなんだぞ?」
「そうだけど…」
リュウはひとにらみしてまた進んでいった。
リュウにはきっと、絶対に探偵にならなきゃいけない理由がある。あたしみたいに。だからああ言う風に言うんだ。
『リュウ!』
少し大きめの声でリュウを呼ぶと、歩いていた足を止めゆっくりと振り返った。
『あたし、諦めないから!』
リュウに話しかけたのに、リュウだけではなく他の人も皆があたしを見ていた。当たり前か、大きな声出したし。
「…勝手にしたら?…」
そう言ったリュウの顔が、少し笑ったような気がした。
『勝手にする!』
( 絶対仲良くなってみせる )
( 待ってろ、リュウ! )