□○○戦隊シンセンジャー
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「え、何これ。何この格好」


土方が呟く。
その表情はヘルメットのようなもので覆われているため、伺い知ることはできないが、彼の声音から眉間に皺を寄せて怪訝な表情を浮かべていることは間違いない。

しかし、それも無理からぬことであった。

今、土方は黄色の全身タイツを身に纏い、同じく黄色のヘルメットを被っているのだから。


「何って、見りゃあわかるでしょう」


土方に向かって告げる声。
土方同様ヘルメットのようなものを被っていて、顔はわからないが、その声は間違いなく沖田のものだ。


「いや、わかんねーよ。つか、総悟。なんだ、その青い全身タイツ」

「シンセンブルーと呼びなせェ。イエロー」

「いや、呼ばねェよ。イエローって俺のことか。俺のことなのか、オイ」

「全身タイツとヘルメットは、戦隊ヒーローの定番の衣装でしょう」

「いや、二人組の戦隊ヒーローなんて見たことも聞いたこともねぇよ。少なくとも管理人的には」

「何言ってんですかィ。周りをよく見なせェ。ちゃんとみんないるじゃありやせんか」


その言葉に、土方は周りをぐるっと見回す。
すると、そこには赤と緑とピンクがいた。もちろん、全身タイツ&ヘルメットで。

顔がわからない以上、どれが誰だか土方にはさっぱりだったが、彼はとりあえずピンクの方に視線を投げた。彼の身近にいる女性はひとりしかいないからだ。


「えーと……紅月、か?」

「……」


ピンクは答えなかった。


「ちょっと副長。それ、私じゃないですよ」

「え?」


その聞き慣れた声に振り返ると、声の発信源はまさかの赤だった。


「お前がレッドォォォ!?」

「当然です。私の苗字を見てください。ちゃんと『紅』という字が入っているでしょう?」

「お前の名字の紅って、そういう意味なの!?つか、お前がレッドなら、このピンクって一体誰だよ!?」

「トシ……」

「近藤さん(アンタ)かよォォォ!!よくよく見たら、メッチャごついわ、このピンク!クソ、管理人の奴、駄文でも小説を書く身なら、全員の体格の特徴くらい書けよ!!絵がないからわかんなかっただろうが!大体、なんでアンタも普通にピンク着ちゃってんの!?立場と性格的にレッドだろ!?」


それに答えたのは近藤ではなく、奏だった。


「いくら私が女だからって、そんな全身ピンクな衣装を着られるわけないじゃないですか。狂気の沙汰ですよ。だから、本来局長が着るはずだった赤と交換してもらったんです」

「絶対、同意の上での交換じゃないよね?だって近藤さん、なんか落ち込んでるもの!今にも死にそうなオーラを醸し出してるもの!」


そう言って、土方は自分の着ている黄色の全身タイツに視線を落とし、胸元の布を摘まむ。


「大体、なんで俺がイエロー?自分で言うのもなんだが……俺が知性派のブルーじゃね?普通に考えて」

「古ィこと言ってんじゃありやせんよ。イエローは今や、女でさえ着れる色なんですぜ?レッドは熱血、ブルーは知性派、イエローは黄色い食べ物(カレー)好き、ピンクは紅一点。そんな昔の定番設定じゃ、やっていけねェってことなんでさァ。――というわけで、土方さんの設定は『マヨ好きイエロー』でいきやしょう」

「思いっきりド定番じゃねェかァァァ!!」

「師匠は『紅一点レッド』。俺は『冷徹なるドSブルー』。土方さんが『マヨ好きイエロー』。近藤さんが『変態さがタイツにまで滲み出るピンク』でさァ」

「意味わかんねェよ!何、冷徹なるドSブルーって!?冷徹を色で表現したつもりなの?なんで近藤さんの設定だけ完全に文章になってんの!?」


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