□第1回人気投票篇的なもの@
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まだ日も明けきらない早朝、奏はいつものように目を覚ました。むくりと身を起こし、外を眺める。

明かりが付いてないせいで部屋の中は真っ暗だったが、彼女は夜目が利くため、だいたいの物は見えていた。そして、視界の端をふと掠めた物にすぐ気付く。

それは黒い何か。

寝癖がついたかと思い、手櫛で髪を整える。しかし、それは彼女の視界の端でぴょこんと跳ね続けていた。
随分と強力な寝癖だなと思いつつ、仕方なく部屋に置いている鏡の前に座ってそれを覗き込む。そして、彼女は呆然とした。


「何、コレ」


彼女の頭にぴょこんと跳ねた黒い物体。それは、奏の頭を差し示す矢印と1位という文字だった。試しにそれをちょいっとつついてみると、矢印と文字は一瞬だけ頭から離れる。が、すぐに頭上に戻ってきた。仕方がないので、今度はそれをガシッと握って引っ張ってみる。


「いたた」


髪の毛には一切触れていないというのに、何故か頭皮を引っ張られた。これは無理やり引きちぎったら、絵的にかなりグロイことになる。そう思い、諦めと共に溜め息を吐く。


「意味わかんない……」


結局、頭に生えたそれをどうにかすることは出来ず、奏は掃除をするためにそのまま部屋を出た。




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