□続・雨宿りで
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・・どうしよう、どうしよう。


気まずい。




前回嫌という程感じた息苦しさが蘇る。

なんでさっき「高杉さん今頃何やってんだろ」とか呟いちゃったの私、

高杉さんだって意外と忙しくなかったりするんだよ、
そこら辺普通に歩いてたりするんだよテロリストなのに。


ぐるぐると私の頭の中を色んな言葉が駆け巡る、
高杉さんの存在感が改めて自分を圧迫するものだと感じた瞬間だった。


そんな緊張している私の気を知ってか知らずかゆっくりと話しだした高杉さん。





「お嬢さんよく会うなァ」


はい、全くですよ。

なんて言うと不味いのは見え見えなので、
とりあえず前回学習したあの技を使うとする。



「はい、」

危なッ!!

また「そうですね」って続ける所だったよ!




「・・・今日もまた傘忘れたのかィ」

「はい」


「ククッ・・・
お前ェさんは天気予報とか見ないタチか」

「はい」



沈黙。







逆にヤバくないかコレ、

さっきから「はい」しか言ってないから相手さすがに不審に思わないか。



ギギギと重たい頭を横に動かす、

どうかこっち見てませんように。







「・・・」




バッと後ろを振り返る。



スゴい威圧ある顔でこっち見てたよ、

なにあの眼力、
目で人殺せちゃうでしょ。


てか今おもいっきし目反らしちゃったんだけど、
死亡フラグたったよね絶対。



もう振り向くことすら怖くて一人顔を青くする、

雨やんでくれよ

いや、やんでもこの状況を振り抜けるのは無理に近いけども。







「・・・翠蓮・・・」

「・・!」




バッと条件反射で顔を高杉さんに向けてしまった私。

やってしまったと思ってももう遅く高杉さんの顔しか恐怖で見られなくなってしまった。




「ククッ・・・
そんな怯えなくてもとってくいやしねェよ」


喉をならし先程よりは和らいだ表情で言う高杉さん。



「は・・・はい」

結局私の返事は「はい」である。


次になにか小話程度でもいいから話題をふろうと少し回転し始めた頭で話題を探り始めた私だが、
それより早く高杉さんから話を振ってきた。



「そういやお嬢さん銀時と知り合いらしいなァ」



予想もしなかった話題が出てきて一瞬戸惑う。



ぎ・・銀時って誰だっけ、

どっかで聞いたことあるような・・。


必死に過去を思い出すように目を下にする。


『俺の名前は銀時だって・・・』



「・・・・あ」



さっき会った銀髪天パのことか、

てっきり本当にあの名前が冗談だと思ってたからすぐ思い出せなかった。


「し・・・知り合いというか、




・・知り合いです」




知り合いという言葉でまとめていいのかわからなかったが
あんま変わりないことが確認して判明し何をいってるのか分からない返答をしてしまった。


「な・・・んでその事を・・」

というか銀時さんと知り合い?


と聞こうとしたが
祭りで見た二人のやり取りを見てしまった以上その質問はしない方がいいなと何となく感じて
質問するのを止めておいた。





「・・前の祭りの時にな、

丁度銀時のヤツをお前ェがやってた綿菓子屋で見かけたんだが
やたら翠蓮翠蓮うるさく言っててよォ・・

お前の顔を見てどうだか思った次第だ」




・・・あぁ、なるほど、

だから高杉さんは私の名前を知っているのか。




意外とどうでもいい理由で知られてたので私は一気に緊張が和らいだ。

もし私がなんかやっちゃって命狙われてるみたいなことだったらどうしようと思ってた。



「そう・・・ですか」


私は緊張も緩めることができ、
高杉さんから目を離しながら返事をする、

未だに存在感はあるものの少しすれば慣れるもので自然と私の呼吸は正常にできるようになっていた。






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