サッカー部は毎日のように朝練がある。それは今日10月31日でも変わらない。
折角のイベントなのでお菓子でもつくってみようかなと思って、どうにか成功したマドレーヌを持ってきた。一応いろんな人に渡せるように多めに作ってきたし、倉間にあげるついでにサッカー部でお菓子ねだろう。神童は高級お菓子持ってそうだし!それがいい、皆朝からお疲れだもん。甘いもの食べて一日頑張ってねってことで。
名案だと浮かれていた私の耳におかしな声が聞こえた。


「あぶねえっ!」


風を切る音がして、肩に衝撃を感じた。
肩から下げていた鞄が大きくぶっとびジャンプし、仲に入っていた教科書やらが飛び散った。


「わ、悪い!大丈夫か?」


斜面を駆け上がってくる水色は倉間で、目の前に転がるボールは倉間が蹴ったものが飛んできたのだと分かった。


「怪我は…してなさそうだな」
「だ、だいじょ………」


大丈夫と言おうとした私の目はとんでもないものを見つけてしまった。
道端に転がる黄色いマドレーヌだ。


「ま、マドレエエヌゥウ!!」
「はあ?あ、ああ…」


倉間もその惨劇を見たらしい。
シがっくりと膝をついて項垂れる。
ショックだ。
まだ誰にも食べられずに砂だらけになってしまった。こんなものをあげることなんかできないし、食べたいとも思わない。


「倉間に食べてもらおうと思ったんだけどな…」
「オレ?」


ごめんよ倉間。味には自信があったんだよ。信じてくれないだろうし、確認してもらうこともできないけど。


「あー、まあ、まずくはねえ」


まずくない?
はっと顔をあげてみれば、落ちていたはずのマドレーヌを口に運ぶ倉間。


「何だよ」
「ええっ、ちょっと!そんなの食べなくっていいよ!」
「…オレが食いたいと思ったから食ってんだよ。……ほんとにゴメン」


こんな申し訳なさそうにしてる倉間なんて見たことなくて、逆に私が悪いことをした気持ち。


「い、いいってば」
「でも…」
「…じゃあ、いたずらしてもいい?」


返事を聞く前に行動に移してやった。
初めてにしては上出来だと思うんだよね。勢い余って歯が痛いけど。




の味マドレーヌ




はっぴーはろういん!
111031.朔弥.



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