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「馬鹿ですか」
「うっせーな」
じゃき、と布を切る音がする。それは今私が獄寺の胸部から腹部に掛けて巻いた包帯を切った音。この人は、なんだっけ、『嵐』のリングを手に入れる為にドンパチやって、負けたんだそうで。私はこの人のことをよく知らない。ただ私は綱吉の従姉妹で、ただ私は綱吉に用があったから沢田家に行ってみたら居なかったから捜しに行って、綱吉の通ってる並盛中に行ってみたらなんか獄寺がボロッボロになってて、や、そんな獄寺大変じゃん、みたいな。手当てしなきゃ、みたいな。今日はもうドンパチ終わりだから各々解散らしくて、私の家は並盛中から近いから無理矢理連れて来て只今包帯巻き巻き中。コイツあれだろ。馬鹿だろ。なにしてんのなに傷だらけになってんの。綱吉の為?まふぃあ?知るかそんなもん私はごく一般的な女の子なんです。だったら口出すな、だぁ?
「口出すよ、出させてもらうからね私は綱吉の従姉妹なの、わかる?従姉妹ナメんな血縁関係者ナメんなわかる?(結婚出来ちゃうけどね従姉妹って)(んなことは関係ない)綱吉がなんたらのボスならそのボスの従姉妹、わかる?ちょっとは権限あるんじゃないのかしら。」
「だったらなんだよ」
「……ボスの従姉妹からの命令だ」
私は頭を垂れて、獄寺のジーンズの裾をギュッと握った。
「自分を大切にして、くださいよ」
もっと、もっと自分をたいせつにしろと云う。
((十代目と似たことをいうコイツは))
((やっぱり従姉妹なんだと感じた))
終。
綱吉くんへの用事はなんだったのかは不明。
(08.2.11)