■冷たくて甘いA

「冷たくて甘い」のつづき設定です。が、これだけでも不都合ない程度の繋がり方です)


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夕方、俺と真琴はトレーニングのために二人でランニングに行った。
その後、今夜は、真琴の家で晩御飯をご馳走になる予定だった。

でもその前にシャワー…
だいぶ汗もかいていたし、何より少し頭を冷したい気分だった…

一旦家へ帰って、玄関先で真琴を見送る。

「…真琴…俺シャワーしてから…お前ん家いく…」

「うん。じゃ俺、家で待ってるからね」

「ん…」

なんとなく目を合わせずらくて、真琴を見ない様に話していたら、俺の様子に気づいたのか、真琴が顔を覗き込んできた。

「ハル…、どうかした?」

「…いや、別に…何も…」

適当な言葉で場を取り繕おうとして、真琴と目が合ってしまう。垂れた穏やかな瞳でオレを見つめてから、真琴はにっこり微笑んで、ちゅっと頬にキスをした。

トクンと胸が鳴る。

真琴が玄関の扉に手をかけ、広い背中を半分くらい見せたところで、さっきよりも胸が強く脈打つのを感じた。

「ま…真琴……!」

「?
どうしたの?ハル…?」

急に大きな声で呼び止めたことに驚いた様子で、真琴がくるりと振りかえってこちらを見る。

ー…何で呼び止めたんだろう、俺は…ー

「………」

言葉が…何も出てこない…

ただひたすら真琴の瞳を見つめることしかできずにいた。

そんな俺の様子から気持ちを察したのか、真琴がふっと口元を緩ませた。

「ハル…どーしたの?」

そう言いながらスッと伸ばされた真琴の太くてがっしりとした腕に引き寄せられて、胸の中にぼすっと抱き寄せられた。

「…ハルちゃん…」

抱きしめられながら、汗でじっとりと湿った髪を大きな手でくしゃくしゃと撫でられる。
真琴の吐く息が首筋にあたって、くすぐったい…
けれど、それが心地よくてなんとも言えないぬくもりを感じて安心する自分がここにいる…

真琴が頭に顔を押し付ける様に埋めてきたので、とっさに真琴を手で押し返しながら言った。

「真琴…俺汗かいて…だからやめろって…」

「…大丈夫。ハルの匂いだから……いい匂い…」

頭のてっぺんの方で真琴が犬の様にスンスンと鼻を鳴らす。

「…ね…ハル…一緒にシャワーしようか?」

「…」

真琴の腕の中で、俺は無言でコクンとうなずいた。



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ザーザーザー…


シャワーの音とたちこめる白い湯気、その中に俺と真琴。

ぬるめのお湯が耳の裏から首筋を通って流れ落ちていく。その流れを辿る様に真琴の指先が背中に触れて、それから俺は引き寄せられるように後ろから抱きしめられた。

真琴はお湯の滴る首筋に甘噛みを繰り返し、その度に自ずと体がピクンと震える。
うなじにキスされながら、両方の手で乳首を触られ絞られると、堪えきれずに声をあげてしまう。

「まこ…とっ、…っ……んっ……あっ」

両方の乳首の先端はあっという間に固く尖り、濃い赤に色づいていた。

触れ合う全ての場所から真琴を感じて熱いし、その上からお湯が降り注いで、頭も体ももっとだんだん熱くなっていく…

真琴が蓄える熱の中で、一際高温になっている場所…真琴の猛々しく反り勃つアレがお尻の割れ目にグリグリと当たるのを感じて、俺は体をよじった。

別に初めてというわけでもないし、いつもと同じ様にされているだけなのに、ここが風呂場というだけで何もかもが違って見えて、無性に恥ずかしくて仕方なかった。

真琴が俺の内腿に手をかけ、足をグイッと開かせようとした。

「あ…」

俺自身の中心もとっくに勃ちあがっていて、上を向いてゆらゆらと揺れていた。

真琴はその大きな手で、勃ちあがったソレを握ると、脚の付け根から先端までをねっとり絡みつくような手つきで何度も往復させて擦った。

湿度の高い空間で息をすることには慣れているはずなのに、息苦しくて堪らない…

「…っ…あ…んっ…!
あっ…あっ…」

ビリビリと突き抜けるような気持ち良さが体を走って、いろんなことが我慢できなくなっていく。手の動きがゆっくりになるタイミングで、ようやくはぁと息をつく…


「…ハル…ここ…もぅこんな…ぬるぬるしてる…」

「バカ…お湯浴びてて…わかるか…」

「わかるよ…ほら…」

真琴はそう言って、亀頭の先をきつく握って親指をあててグリグリと指先を動かした。

「や…っ…あ…っ…んっ」

さっきよりも強い刺激が加えられて、思わず逃れようと体をよじる。

「ハル…ハルが誘ってきたんだからね…」

「そん…なっ…誘ってなんか…ない…っ」

真琴は手を動かし続けながら、首筋に顔を近づけ耳元で低く言った。

「…だって…俺…引き止めたじゃない…」

「…っ…」

…確かにそうだ…
あの時、引き止めたのは…俺…

理由なんかなくて、ただ、真琴を呼び止めたかった…

俺は返す言葉が見つからず、黙ってうつむいて、シャワーのお湯が排水口に吸い込まれていくのをじっと見つめていた。


「ハル…」

甘い声で名前を呼ばれる。

「ねぇ…ハル…お願いがあるだけど…」

「………?」

顔だけ後ろを振り向く様に真琴をチラッと見ると、日頃は見せることのない、どこか思い詰めた様な張り詰めた様な眼差しが、濡れた髪の合間か

ら見えた。

「ハル…あの……口で……してほしい…」

最後の方は消え入りそうな声で、真琴は言った。
驚いた。
何を言うかと思えばそんなこと…

…いや、真琴にとってそんなことで済まされることではなかったのだろう。

ー口で…ー

いつも真琴は何のためらいもなく俺にしてくれる行為だけれど、俺自身が真琴にそれをしたことは、まだ一度もなかった…。

…嫌、なのではなくて、単純にやり方がわからなかったし…機会もなかった。
それに真琴に痛い思いをさせるのが嫌だった…。

ー真琴…こんなこと、考えてたのか…ー


無言のままでいると、真琴が沈黙を破った。

「ごめん…やっぱりいいや…忘れて」

そう言って真琴は、再び俺を握ったままで止まっていた手の動きを再開させようとした。

けど、こうやって真琴が口に出してまで言うのだから…
さっき見えた、思い詰めた様な真琴の瞳が頭をよぎる。

…自分を振り返ってみて、いつも与えられてばかりいる自分にハッと気がついて、
自己嫌悪する…

俺だって真琴に与えてやりたい…
真琴が好きだから…
俺ができることなら何だって…


…真琴…


「…わかった…やる…」

「え…?」

「上手く出来るかわからない…
痛かったら言え…」

ボソリと言い放つと、目を閉じてくるんと真琴の方に向き直って、真琴の足元にひざまずいた。

ゆっくりと目を開くと、目の前には真琴の雄らしいたくましいモノが上を向いて反り勃っていて、濃いピンク色をした丸い先からは我慢のきかない透明な先走りがぷっくりと漏れ出ているのがわかった。


…ゴクッ…


思わず生唾を飲んで、喉が鳴った。
真琴のゆらりと勃ちあがる真琴自身に手を添えて、そっと握る。

いつも真琴が自分にしてくれているのを思い出しながら、ゆっくりと口を近づけて、唇で先端に触れた。
真琴がピクッと体を震わせる。

舌で先走りを吸い取る様に、先端の割れ目を下から上へ舐めてから、形の良い亀頭を口に含むと、シャワーのお湯もいくらか一緒に口に入った。

大きく口を開いてやっと入るぐらい真琴のソレは大きくて、硬いだけでない弾力のある感触…


ー真琴の…ー


そう思うだけで頭がカッとなって、体の奥底からグラグラと熱が湧き上がってくる。

なんだかすごく興奮した…

「あぁ…ハルぅ…っ」

甘ったるくて切ない声がザーザーと流れるお湯の音の合間に混じって、その声が俺をさらに煽る。

「……ど…しよ…ハル…っ 気持ち…いい……っ」

「…っ…ん く…っ」

俺は夢中で真琴を貪った。

風呂場中に響くシャワーの音、はぁはぁと息の上がった真琴の吐息、ぴちゃくちゃと淫乱な水音。

真琴がビクビクと体を震わせる姿が、気持ちいいと声をあげる姿が、たまらなく愛しかった…。

限界まで口に咥え込んで、息ができず思わず顔を歪めてしまう。
けれど、苦しさの裏側に潜む刹那的な充足がそこにはあって…なんとも言えない快感を与えてくれる。


「ハ…ハルっ… っ…も…強…すぎ…」

熱っぽく名前を呼ばれて、チラリと上目遣いで真琴の様子を伺う。白い湯気の中に見える真琴の頬はピンクに染まり、ハの字眉の眉間にシワを寄せて、目はいつもよりももっとトロンと垂れ下がっていた。

潤んだ瞳と目が合う。
感じている真琴の顔がいやらしくて、俺は自分の股間がジンジンするのを感じていた。

ーもう俺もあまり長くは持たないかも…ー

人が自分の行為で乱れていくのを見るのは、こうも自分までもが掻き乱れていくものなのか…


「ハル…っ、も…出ちゃい…そ…」

「う…っ…ん…」

「…ハルの口に…出ちゃう…よ……
出して……いいの…?」

「んっ…」

絶頂が近いことを切なげに告げる恋人…
真琴を咥えて舌を絡ませたまま、コクコクと頷く様に顔を縦に振る。

「だ…ダメだよ…ハル…
ハルの…口で……なんて…っ」

真琴がうわ言の様に言いながら、顔をブンブン横に振った。
こんな時でさえも真琴は真琴なのだ…

ー真琴…お前になら、俺はもっとめちゃくちゃにされてもいいのに…ー

絶頂を導くために、さっきよりも強く唇で全体を擦って、口内で裏側の筋を吸いあげる様に顔と舌を動かした。
真琴が俺の頭をぐっと掴む。


「あ…ハルぅ…っ そこっダメ…っ!
…あっぁー…っ!!!」

悲鳴にも近い声をあげたと同時に、口に咥えた真琴自身がビクビクと大きく波打つ様に震え、口の中へドロリと濃い液が押し寄せてきた。


「うっ…ん…」

ちょっと生臭くて、青臭い味が口一杯に広がって、思わず息を詰める。

口端からは収まりきらなかった白濁の液が溢れ、顎を伝ってポタポタとタイルの床に落ちていった…。


何もかもが初めてすぎて、それ以上は体を動かすことができなくて、鼻から息をするのがやっとだった…

さっきまで大きく肩で息をしていた真琴が、口一杯に精液を含んだまま身動きできずにジッと固まったままの俺の様子に気づいて、慌てた様子で言った。

「あ…ハル…ごめんね…っ
飲まないで…出しちゃっていいから…ね…!」

「…ん…」

さすがに…飲み込むことはできなかった…
真琴が放ったものを排水口に向かって口からドロドロと吐き出して、それからシャワーのお湯で口をゆすいだ。

「…真琴…ごめん…」

なんとも言えない罪悪感にかられて謝ると、真琴が俺を力いっぱい抱きしめて言った。

「ハル…ごめんね…ありがと…
ハル…大好き…」

僅かに声が震えていた。

「…」

好きでもないヤツにこんなことできるわけない…

「…俺だって…真琴が好きだ…」

与えることと、与えられることとは異なる様でいて実は同じことなのかもしれない…
ぼんやりとそんなことを考えていた。

自分が放出するのとはまた違った達成感が、俺を満たしていた。


「じゃあ…次は…ハルの番…だよ…」

真琴はそう言いながら、俺の後孔にそっと触れた…



---

(つづく)

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