■ ( ; _ ;)\(^-^ )
今日は鮫柄学園水泳部では、定例の個人100m自由型のタイム測定が行われた。
その測定本番で凛はターンに失敗し、その後もいつもの調子を戻せず、結果は散々なものであった。
部活を終え、ルームメイトの似鳥と一緒に足取り重く寮に帰宅した。
「…ただいま…」
凛は小さく言うと、2段ベッドの下の段にたたんであった布団の上へ、ドサッとうつ伏せに倒れこんだ。
「…おかえりなさい。センパイ。」
凛に続けて部屋に入ってきた似鳥が、言葉を返した。
「…センパイ、今日はお疲れ様でした。」
「…………」
「…その…タイム測定…残念でしたね…ターンのとことか…」
わかってる…
わかってるから…
似鳥に悪気は全くなく、でもハッキリと結果を言葉にされて、凛は瞼が熱くなるのを感じた。
「…っ……くっ…そ……」
涙が溢れた。
ー…なんで…?ー
ー…俺はアイツに追いつけない…ー
ー…こんなに厳しい練習を重ねて努力しても…?ー
ー…近づきたいのに…ー
ー…俺はたぶん天才じゃないから…ー
ただ惨めで情けなくてくやしくて…
凛の様子に気付いた似鳥は、そっと凛の背中に触れた。
その背中は無防備で、いつよりもずっと小さく弱々しく見える。
「…センパイ…ごめんね…」
そう言って似鳥は凛の背中を抱きしめた。
「…いっぱい泣いていいんですよ…」
ー僕の前だけで…ー
続けたかったその言葉は、最後まで言わなかった。
言葉を胸にしまってから、似鳥は凛の頭にポンと手を置いて、ヨシヨシと頭を撫でた。
「…っ…うっ…うっ…」
似鳥に触れられて、昂ぶった感情は抑えきれず、凛は声を出して泣いた。
似鳥は素直に泣きじゃくる凛の背中をぎゅっと抱きしめ、ただ頭をやさしく撫で続けた。
それは優しくて暖かい手だった。
ーーー
りんちゃんは泣き虫さん
↓
( ; _ ;)\(^-^ ) 泣かないでヨシヨシ
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