■夏の淡い誘惑

ある夏の昼下がり。
真琴は遙の家に遊びにきていた。

「今日も暑いね、ハル」

そう言って、真琴は自宅から持ってきたチューペットを、真ん中のくびれた部分でぽきっと折り曲げると、持ち手のついた方を遙に差し出した。

それは綺麗な水色。

「はい。ハルちゃん」

「…ちゃん、ずけで呼ぶな…」

不満そうにそう言いながらも、遙は差し出されたチューペットを受け取り、口に運んだ。

夏の懐かしい思い出とリンクした、水っぽい薄い甘みが口に広がる。

「…冷たい…」

「だね」

おいしいかと聞かれれば、それほどではない…ように思う。
アイスやシャーベットのようなコクも、ジュースのような主張もない、このなんとも言えない微妙な甘みが、二人は好きだった。

早くも溶け始め、先からこぼれ落ちそうになっていたチューペットの先を舐めてから、歯をたてて砕き、シャクシャクといただいていく。
途中、溶けてドロドロに柔らかくなったところで、上を向いて流し込むようにちゅっと中身を吸い取り食べ切る。

子ども向けの食べものだろうから、遙と真琴には小さすぎて、あっいう間にそれは空っぽになってしまった。

とっくに中身の無くなったポリ容器を、遙はまだちゅーちゅーと吸い込んでいる。何が出てくるわけでもないのに。それは、潰れてぺっちゃんこになっていた。

チューペットを食べる遙を横目で見ていた真琴は、なぜか胸がドクンと脈打つのを感じた。

ーハル…エロい……ー

夏は誘惑が多いな…
そう思う真琴だった。

ーーー

チューペット:なにそれ?と思われた方は文字クリックで画像ジャンプ。
地方ごと色々と呼び方があるみたいですね!


たぶんこれつづき…ある…予定です。

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