■夏の帰り道 〜つづき〜
真琴と遙は、しばらく抱き合いお互いの体温を感じあっていた。
どの位時間が経ったのだろう。
海風が二人を包む。
真琴は今日はこれで最後と思ってもう一度遙をギュッと抱きしめてから、遙を解放した。
遙は真琴の顔を見上げた。
そして何を思ったのか、今度は遙の方から真琴めがけて唇に喰らいついた。
真琴は思わず後ろによろけながら、それでも遙からのキスをしっかりと受け止めた。
「…んっ…ん…はっ…ぁ…」
遙はいつになくせっかちな様子で、自分から舌を差し入れて、真琴の口内を貪るようにかき混ぜた。
真琴の大きくて厚みのある唇と、遙の薄く整った唇が深く重なりあう。
ぴちゃくちゃと舌の絡まる甘い音と口端から時折漏れる熱を帯びた吐息が混ざって鼓膜が刺激される。
体の内からドクドクと湧き上がる熱い何か。
「…真琴…やりたい…」
「…ハル…何言ってんの。明日はいよいよ鮫柄との試合だよ。それに、ここ浜辺だし…
せめてハルの家まで我慢し…」
最後まで言い終わる前に遙が言葉を遮った。
「…今…ここでが…いい…っ!」
遙がここまでわがままを通そうとするのは珍しい。ことに情事には淡白気味なハルが…。
「…わかった。
…でもここじゃさすがにまずいでしょ。どっか移動しよう」
辺りを素早く見渡した真琴の目線の先には、整備された堤防の奥にあるテトラポットがあった。
「…うん…」
真琴と遙は足早ににその場に向かって歩いた。
真琴が先に堤防に登り、長い脚で段差をヒョイとジャンプしてテトラポットに乗り移ると、後ろで待つ遙を振り返って手を差し伸べた。
「ハル。おいで。」
夕陽は海に沈んでもうほとんど見えなくなって、夜が訪れようとしている。空は薄暗がり。
先ほどの夕立のせいで、テトラポットのコンクリートがしっとりと濡れているのがわかった。
遙は真琴の差し伸べた手を目指しテトラポットを飛び越えた。
どちらからともなく、二人は再び唇を重ね、お互いを求めあった。
「…ふっ…ん…」
遙が息継ぎの度に漏らす吐息は、真琴の心も体もただ熱くさせるだけだった。
体は抱き合いキスを交わしながら、真琴は遙の制服の白シャツをたくし上げ、骨太で長い指をした大きな手で、遙の胸をやさしく撫でた。
遙は体をビクンと震わせ、真琴の腕の中で自由に動けないもどかしさで、堪らず体をよじった。
ー今日はいつになく体も素直だなー
真琴は思った。
「…ハル。かわいい…」
真琴はそう言って胸に置いていた手を滑らせ、遙の綺麗に筋肉のついたお腹や腰骨を通ってズボンへ移動させ、服の上から遙自身を握りしめた。
「あっ…」
遙が声を出してうつむく。もう立っていられない様子の遙だ。真琴はそんな遙の様子に目を細めてから、テトラポットのやや平坦な場所に座り込むと、遙を自分の脚の太腿の間に座らせた。ちょうどバックから遙を包み込むように。
それから、真琴は遙の熱を持って立ち上がる中心のソレをズボンの上から何度も何度も撫でた。
遙はすっかり力が抜けてしまった様子で、真琴の厚くて広い胸板にもたれ掛かった。
「…ズボンとパンツ…染みてきてる。あんまり汚れちゃったら帰りに困るし…脱がすね」
遙のズボンはまるでお漏らししたのかと思う位、先走りでビッショリと濡れていた。
歳の離れた双子の兄妹がいるせいか、面倒見良く細かいこともよく気づく真琴。
こんな時まで、そんな気遣いが発揮される。
遙は自分がそんな状況になっていることを言葉にされて、恥ずかしくて仕方なかった。
頬を赤らめて遙はコクと小さく頷いた。
真琴は言葉のやさしさと裏腹に、荒々し手つきで遙のシャツを脱がした。次にベルトを外してズボンを下着ごと脱がし、最後に真琴自身のシャツをバサリと脱ぎ捨てた。
真琴が時折見せる雄の姿。
ー俺だけが知ってるー
遙は自分だけに見せるいつもと違った真琴を見るたびに、何かぽっかりと空いていた部分が満たされる様に感じた。
剥き出しになった脚から湿ったコンクリートの冷んやりザラザラとした感触が伝わり、ここがテトラポットの上だということを思い出させる。
薄暗がりで見る遙の引き締まった背中。
露わな姿になった遙を、後ろから被さるように強く抱きしめてから、真琴は遙の足をゆっくりと開かせた。
遙の中心で上を向く若い分身が露わになる。真琴はそれを手で握り込んで、上下に大きく動かした。
「…ぁ…う…んっ」
動きに合わせて、遙が熱を帯びた声を漏らす。
指がカリの部分に引っかかる度に遙はビクリと体を震わせる。
先端からは我慢のできない先走りが溢れ出していた。
「ハル…ここ弱い…」
ーそんなこと、今さら言わなくたってわかってるくせにー
恥ずかしい…。遙はますます頬を紅潮させそう思った。
真琴は少しずつ手の動きを早め、遙を攻め立てる。
体中がじっとりと汗ばむ。
真琴の吐息と遙の吐息が入り混じる。
早く開放したいとこみ上げる波が少しずつ押し寄せ、遙を追い詰め呑み込もうとする。
「…まこ…と…もっ…でる…」
遙は真琴の腕をギュッと握りしめ、小さく震えながら呟いた。
「…うん。ハル、いいよ…」
真琴がひときわ強く遙の先端を擦る。
「…あっ…や…ばぃ…!
あぁっ!!!!」
遙はついに込み上げる快楽の波に身を呑まれ、眉間をぎゅっとキツく寄せ、大きく体を震わせた。
真琴の大きな手の中に、白い精液が幾度と飛び散った。
暫く真琴は肩で息をする遙を眺めて、それから遙の顔をグイと持ち上げキスをした。
「…ハル、かわいい…」
心底そう思うと、もっと独占してやりたいという気持ちが真琴を突き動かした。
真琴は遙のお尻を掴んで開かせ、先ほど遙が開放した精液の着いた指先で、まだきゅっと閉じている後孔に触れた。
遙はピクッと体を震わせた。
中指の先で孔の周りや中心を、まるで壊れものを扱う様にやさしく撫でた。
精液でぬるぬるとしたそこが、徐々に熱を孕んでいくのが、指先から伝わる。
「…ぁあっ、…ん…っ」
遙の口先から、我慢しきれなかった喘ぎ声が漏れる。
そんな遙を見て、真琴もそろそろ我慢できなくなったのか、真琴は中指の先を孔に力強く押し込んだ。
「…!…ゃ…あっ…!」
遙が声をあげる。
幾度か指先を回転させると、くちゅっと甘い音をたてた。
そのまま真琴はゆっくりと中指を根元まで進める。
真琴の骨ばった指が、遙の敏感な部分を押し広げる。
遙の内壁から真琴の指に体温が伝わる。
「…ハル、指入った。中…あつい…」
「う…んっ…」
真琴の言葉で、遙はさらに体がかっと熱くなるのを感じた。
真琴は遙の中に収まった指をゆっくりと動かし始めた。時には指先で円を描き、次は指を上下に引き抜いては差し込んでみたり、途中からは2本目として人差し指も加えて、遙の孔を攻めた。
遙のそこは甘くくちゅくちゅと音をたて、それ合わせて遙も喘ぐ。
「…あっ…あっ…あ…んぁ…!」
真琴の胸板にもたれ掛かった遙が顔を上に向けてきたので、真琴は応える様にキスをした。
お互い深く舌を絡めての濃厚なキス…
「…ん…っ…く…んっ…あっ…」
真琴はそろそろ自分も限界だなと感じていた。
「…ハル。いれていい…?」
「…ん…」
遙はコクリと頷いた。
真琴は遙の後孔に、もうだいぶ前から立ち上がりっぱなしで熱を蓄えた自分のソレをあてがった。
自身の先走りの漏れる先端と、遙の精液や汗でぐっちょりと濡れた孔が触れ合う。
遙が体をぎゅっと強張らせるのがわかった。
そんな遙をうっとりと見つめる。
「…ハル。力脱いて…」
真琴はそう言うとゆっくりと腰を動かし、遙の中へと進んでいった。
「うっ…ん…っ…!」
遙が声を漏らす。
遙の中はきゅうきゅうで熱くて、真琴は堪らなく遙がかわいいと感じ、抱きしめる腕にさらに力を込めた。
「…入った…」
そう言うと真琴は、間髪いれずに腰を動かし始めた。
真琴も遙も、お互いもう限界が近いと悟りあった。
真琴は遙を脚の太腿を跨がせる形に座り直させた。
最初こそゆっくりと動かされていた真琴の腰は、次第に動きを早めていく。
真琴の先走りでねっとりと潤った遙の孔は、真琴のソレでいっぱいに満たされ、真琴が動く度にぐちゃぐちゃと音をたて、耳の奥まで響く。
「…まこ…と…、も…でそ…っ」
遙がか細い声で言う。
真琴はそんな遙の姿がかわいくてぎゅっと抱きしめる。
「…うん。俺も限界…」
そう言って真琴がひときわ強く腰を動かす。
「…あっ…まこ…とっ!!!!!」
「…ハルっ…!!!!!」
…お互い名前を呼び合った。
と同時に遙の先端から飛び散る白濁の精液。
真琴は遙の強烈な締め付けを根元で感じながら、ドクドクと遙の中で精液を放った。
遙は自分の中に出された熱を感じ、とろけるような充足を感じていた。
暫く余韻に浸ったあと、後始末をして服を着た。
時計は9時を過ぎたばかりだった。
「遅くなっちゃったね。帰ろうか、ハル。」
そう言って
「明日は鮫柄との練習試合あるし…ね」
とさっきまでの雄々しさを感じない、やさしい物腰で言った。
ーさっきまでの真琴は…ー
そう考えると何か途端に恥ずかしくなってしまい、遙は頬を赤らめてうつむいた。
ーまぁ顔色なんてこの薄暗さじゃ見えないだろうけどー
二人は夜の海辺を後にした。
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テトラポットってのが書きたかったのです(*^^*)
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