「私、酷いの」
「そうなのか?」
「そうなの、醜いと言ってもいいわ」
私の病室に誤って訪れたばかりに、彼は私の暇潰しに付き合わされるようになったの。私って、とても悲観的で被害妄想激しいの。だから、きっと、彼もつまらないわ。だけど彼は毎日私の病室に来るようになったのよ、変わっているわ。
「ゆずきはゆずきが嫌いなのか?」
「そうね、私は私を嫌いよ。でもね、他人もすごく嫌いなの。だから貴方のことも嫌いだわ」
「そうか」
「だって羨ましいんですもの。妬ましいんですもの。だから、嫌いよ、嫌い」
「そうか」
「だからね、私は酷いの。醜いのよ」
「うん?」
「だってそうでしょう? 人に、誰かに、何にでも、嫉妬するだなんて醜いわ」
ああ、こんな話を聞かされる彼だって厭に思っているに決まっているわ。だから私は厭なのよ。
「でも俺は好きだよ、ゆずきのこと」
「あら、趣味が悪いのね」
「そうかな?」
「そうよ。でも貴方だって私を厭になるのよ」
「それは、」
だってそうなんだもの。決まっているもの。好きだと言われること事態が珍妙なのよ。ああ、そう言えばこの人少し変だったわ。
「もし、そうなったら哀しいな」
「いずれ、なるわ」
「それは困ったな」
「平気よ。だって厭になったらもう気にも止めなくなるわ」
「平気じゃないよ」
少なからず驚いた。だって彼、私を今初めて否定したわ。私を否定する人なんてこの世の全てがそれだと思うのだけれど。彼はいつも私の話を聞いて違うとは言わないのよ。
「平気じゃないんだ」
その言葉を素直に受け止められない程度には、私はひねくれているのよ。物事全てに拗ねているの。只その事を、彼の言葉を、信じられない自分が厭というよりも哀しいと思ってしまったわ。なんだかとても不思議ね。
超絶悲観少女