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ごつごつとした指が帝人の細い首筋を伝う。
帝人はクスクスと笑いながら、静雄のがっしりとした身体へと腕を回した。

「いいんですか?こんなところでイケナイことしちゃって」
「構わねえよ、続けるぞ」
「もう、静雄さんは性急なんですから。そんなんじゃ女の子に嫌われちゃいますよ」
「俺には帝人がいればいい」
「あ、そうやって純な女の子をたぶらかすんだ」
「俺が口説いたのはお前だけだよ」

帝人は飽くまで笑いながら静雄の広い背中を撫でる。
帝人は静雄の言葉を信じる気はない。
そもそも、この関係はいつ切れてもわからない、不安定なモノなのだ。
会ったらキスをして、身体を繋げる。
愛の言葉を囁くことはあるけど、それに信憑性は感じられない。
何故こんな関係になったのかはわからない。
初めは確か、帝人が不良に絡まれているのを静雄が助けて、そのままお互い何かに誘われるように唇を貪り合った。
麻薬のように心地よく、依存性は強い。
お互いどちらかが飽きればこの関係は終わる。
―…もし、別れを告げるなら、僕からがいいな。急に突き放されるのは嫌だ。
静雄も似たようなことを考え、帝人に深く深く口づけた。

―…今この瞬間だけは俺のモノだ、俺だけの…。

お互いの存在を確かめ合うように額をコツン、と突き合わせる。

「好きですよ」
「ああ、俺も好きだ」

甘い恋人のようにフレンチキスを繰り返し、二人だけの空間を作り上げる。
お互いが相手の言葉を冗談だと思い、幸せだと言わんばかりの偽りの笑みを浮かべた。


2010/9/27
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