dr | ナノ
※20×12


かわいらしい顔が、じっと己の顔を見上げる。
静雄は目をキラキラと輝かせる帝人の期待を背に、手に持っていたビールをぐっと口の中へと注いだ。
だが、それを一瞬で終わり、中の残っているビール缶を机の上に置いた。

「どうしたの?」
「苦い、無理だ」
「ビールって苦いんだねえ」

静雄はついこの間成人式を迎え、所謂大人の仲間入りとなった。
だが、酒というものはなんだか手が出しにくく、大人達が酒を飲む中、12歳の帝人と一緒にジュースを飲んでいた。
別に飲めないままでもいいだろうと思っていたのだが、帝人が酒というものに興味を持ち、どんな味だか教えてほしいと言い出した。
無視してもよかったのだが、帝人は弟のように可愛がってきたので無下にするのも忍びなかった。
酒を飲んでみると言えば、母親や父親、近所のおじさんまでもがいろんな酒を分けてくれた。
帝人は飲むんじゃないぞと言い聞かせ、つまみを分けてやる。
次は酎ハイに手を出したが、それはジュースのようで、あまり違和感がなかった。
それが悪かったのか、ごくごく飲んでいると、頭がクラクラとし出す。

「静雄お兄ちゃん大丈夫?」
「あ?」

鯣をカジカジしながら見上げる帝人に、静雄はひっくと身体を跳ねさせる。
目の前が次第にぼやけてきて、手探りで帝人の姿を捜す。
身体が手に触れ、少し押せば帝人は床に転がった。
静雄は慌てて怪我がないかと確かめる。

「静雄お兄ちゃん顔真っ赤ー」
「そりゃ、飲むの初めてだからな」
「あはは、りんごみたい」

りんごりんごと笑う帝人を擽れば、にゃーっとかわいらしい悲鳴を上げる。

「もー、くすぐったいよぉ」
「当たり前だろ、擽ってんだから」
「やぁ…っ」

静雄の手が帝人の小さなそれに掠めた瞬間、帝人が身体がびくんと跳ねた。
静雄はその反応に驚きつつ、もう一度ゆるりと手を添えればかわいらしい顔が快感に歪められる。
帝人当人はよくわかっていないらしく、目尻をほんのりと染めながら、静雄をちらりと見上げる。

「静雄お兄ちゃん、そこやだ…」
「此処か?」
「ひぁっ…、いじわるしないでっ」

ほろ酔い程度なのだが、静雄の気分は凄くよかった。
高揚感に溢れ、帝人が反応を見せればとても心地よくなる。
悪戯に帝人の幼いそれを刺激してやれば、びくびくと身体を跳ねさせながら静雄の腕を退かせようと押す。
勿論静雄にはそんなもの触れているくらいにしかならず、静雄は調子に乗って帝人のをぎゅっと握った。
はふはふと呼吸を整えようとする帝人がかわいくて深く口づける。
ちゅ、と吸い上げると、先程帝人が食べていた鯣の味がして苦笑を浮かべる。

「…ん、ふ…、静雄お兄ちゃんやだ…っ」
「んー?」

半ズボンをずらし、下着から帝人の幼いそれに小さく笑うと、ふぅと息を拭きかける。
それだけで帝人の身体はびくりと跳ねた。

「帝人はかわいいなあ」
「静雄お兄ちゃん…っ、やだっやだっ」
「可愛い…」

静雄の視界はぐるぐると回ったままだ。
帝人は段々と意識が朦朧としてくる。
尖端に爪を立てた瞬間、帝人の幼いそれから白い液体が少量飛び出た。
帝人は達した後、目を虚ろにしながら息を整える。
もっと気持ち良くしてやりたい。
その一心で帝人の服に手を掛ければ、部屋の障子がガラッと開かれた。
静雄がそちらへと目を向ければ、実の弟である幽が相変わらずの無表情で見つめている。
静雄は酔いが段々と醒めてきて、自分が一体何をしていたのかを理解すると共に冷や汗が背筋を伝う。

「…これって両親呼んだ方がいいのかな。それとも警察?」
「ま、待て」

何かを言い繕うとするが、弁解の余地がない。
帝人は力の抜けた静雄の腕から抜け出すと、幽の後ろに逃げ込んだ。

「静雄お兄ちゃんの馬鹿…僕嫌だって言ったのに…僕、静雄お兄ちゃん嫌い!」
「帝人…ッ」

ダッと静雄に背を向けて走り去って行く様に、静雄はただ帝人の名を呼ぶことしかできなかった。
幽はあーあ、という目で見つめている。

「……俺、もう酒絶対飲まねえ」
「うん、そうした方がいいよ」

ガクッと肩を落とした静雄に、幽は自業自得だと呟いた。


2010/8/25
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