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もちもちと食感を楽しみながらわらび餅を頬張る帝人を見ながら、静雄も柔らかいそれを咀嚼する。
今月はパソコンが故障したりと出費が嵩み、暫く朝ご飯を抜いているらしい。
静雄はそんな帝人のために、たまたまコンビニで売ってたわらび餅を買ってきた。
買った後で栄養があるものの方がよかっただろうか、と思ったが、買った後に言ってもしょうがないと考えを消した。

「帝人はわらび餅好きか?」
「はい、昔よくお母さんが作ってくれたんです」
「手作りか…?」
「?はい」

自分の買ってきたわらび餅を見つめ、帝人がおいしそうならまあいいかと気にしないことにした。

「ごちそうさまでした」
「あんなんでよかったのか?」
「美味しかったですよ」
「明日はもっと栄養のあるもん買ってくるからな」
「…明日も来てくれるんですか?」
「え?いや、帝人が嫌ならいいんだが…」
「いえ、楽しみにしてますね」

にこりと笑った帝人に、頭をわしゃわしゃと撫でれば、驚いたのかきな粉ののった容器が宙に浮いた。


「ああっ、畳がッ」「…わりい」「いや、静雄さんが悪い訳じゃないですから」


2010/8/10
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