デュラララ!! | ナノ
※帝人が身売りしてます

「…足りない」

また、どう見繕っても食費が足りない。
臨也さんからの連絡もないしまた昼ご飯抜こうか、と計算をし直そうと電卓を取ったところで携帯が鳴る。
画面を見れば先程考えていた人の名前が表示されている。
ワンコールで切られたそれに従うようにパソコンを開き、メールをチェックする。
そこには日時と場所のみを書いてあるだけのメールが一通届いていて、当面の食費はいけるかも、と台所に置いておいたきゅうりをかじる。

「今日の午後8時に西口公園、か」

制服から着替えて置かないと、と押し入れから服を取り出してブレザーを壁に引っ掛けてあるハンガーに掛けた。

約束通りの場所へ向かえば、一人の男性が立っている。
声を掛ければ、向こうは帝人の上から下まで見た後、にこりと貼付けた笑顔を浮かべた。
早速歩きだした男に、帝人もその後を追う。
何処に行くかだなんてわかっている。
俗にいう、ラブホテルという処だ。
帝人は別にこの男と恋愛関係にある訳ではない。
ただ、身体を売ってお金を貰うだけだ。
所謂売春といわれる行為をしているのは、ネットビジネスに行き詰まっていた時、臨也に声を掛けられた。
何でも相談してみなよ、と言われ、気まずいながらもお金について言ってみれば、「帝人君さ、可愛い顔してるんだし、売春しちゃえば?相手が男の方が後腐れしないし、君みたいな純粋そうな子って結構売れるんだよね」と真顔で返され、一瞬冗談かと思った。
勿論断った。
そこまで自分は堕ちていない、と。
だが、その日を境に苦境だったネットビジネスがさらに悪くなった。
今思えば、裏で臨也が何か手を回したのかもしれない。
だが、当時の帝人にはそんなこと思いも付かなかった。
初めは貯金で賄っていたが、ついにそれも底を着いた。
このままじゃだめだ。
両親に泣きつくにしても、自分で生活費はなんとかするといってしまった手前、家に帰ってこいと言われそうで、なんともできなかった。
そんなときに思い出したのは臨也の言葉。
できることなら、頼りたくなかった。
電話を掛けてみれば、待っていたと言わんばかりの言葉を並べられ、やっぱりこの人が手を回したんだな、と悟った。
その日から、臨也に知らない男を何人も紹介された。
もう何人に身体を開いたのだろう。
一方的に快感を得るための行為は気持ち良くなんて微塵もなかった。
ただ、気持ち悪かった。
だが十分過ぎるほどのお金が貰えるのも確かで、やめられなかった。
今日も金を渡された後、疲労した身体で男と別れる。
もう顔なんて覚えていない。
おそらく、向こうも自分の顔なんて忘れただろう。
札の枚数を数えながら、今日は久しぶりに肉が食べれると口許が緩む。
スーパーにでも寄って帰ろうかと時間を確認しようと携帯を取り出せば、腕がありえないほど強い力で引かれ、慌てて振り返る。

「竜ヶ峰…」
「し、静雄さん…」

嘘、見られた。
信じられないモノを見るような目で見られ、心の一部が弾けるように痛んだ。
おそらく、今のを見られていたのだろう、静雄の力は緩まない。

「今のはなんだ」
「何って…、」
「身体を売っていたのか?」
「…」
「答えろ、竜ヶ峰」
「…あ、なたには…関係ないでしょう…」
「…竜ヶ峰、」
「僕が一体何しようと貴方には関係ないじゃないですか、構わないでください!」
「…ッ」

ばき、と鈍い音がした。
音がした方を見れば、腕が変な方向に曲がっている。
それとともに急激な痛みが襲い掛かってくる。
どうして、と言う前に首が長い指で締め付けられる。
酸素が肺に取り込めない。
意識も段々薄れてきて、帝人は静雄からしてみれば簡単に意識を飛ばした。
帝人が目を醒ませばベッドの上に寝かされていた。
先程のことは夢かと思ったが、曲がっている腕にそれが現実だと思い知らされる。
ガタ、という音がしてそちらへ目を向ければ、静雄がタオル一枚で部屋に入ってくる。
寝たふりをしていると、服が素手で引き裂かれて目を開く。

「なんだ、起きてたのか」
「静雄さん…なんで……」
「誰にでも身体売ってんだろ。じゃあ俺にも買わせろよ」
「…え?」
「なあ、竜ヶ峰よお」
「…ッやだ」

逃げようとすれば、頭をベッドに押さえ付けられる。
圧迫感に、殺されてしまうんじゃないかと涙を一滴流せば、口内に指とともに何かを突っ込まれる。
吐き出そうとしても指が奥へ奥へと入ってきて、最終的には意味のわからないそれを飲み込んでしまった。
静雄はそれを見届けるとにや、と口元を緩ませ、帝人に噛み付くように口づけた。
すべてを飲み込むようなそれに、意識が遠くなる。
服を引きはがされ、胸の尖端に歯を立てられると高い声がでた。
思わず口を塞ぐが、そこばかりを攻められると隙間から声が漏れる。
いつもならこんなことされても何も感じないのに、どうして…。
自身を強く掴まれ、悲鳴が上がった。
痛い、痛いはずなのに反応しているそれに目を丸くする。

「気持ちいいのか?」
「違っ…もう離して!」

今までは見知らぬ人間だったから堪えられた。
だが、今自分の上に乗り掛かっているのは誰だ?
いつも見るサングラスこそないものの、池袋に住んでいたら嫌にでも目に入る、そんな人。
獣のように自分の身体を貪っている。
冷えていく思考に対して熱くなる身体。
さっきの飲まされた薬のせいか、と冷静な頭で考える。
唇を塞がれ、入り込んできた舌に噛み付くが、静雄は気にしないといった様子で帝人の口内を堪能する。
力が緩んできた処でナカへと指を押し入れる。

「緩いな…、もう俺のも入るんじゃねえか?」
「や…やだっ、ひっ」

熱い何かが下半身に押し付けられ、思わず奇声を漏らす。
見たくなくて顔を横に反らせば、顎を掴まれ視線を合わさせられる。
恐怖を含んだ目で見上げれば、身体を俯せにさせられ、枕に顔を埋める。
何の合図も入ってきたそれに、息をのむ。
そうだ、今僕を犯しているのはいつもどおりの知らない人だと思い込めばいい。
ただ、相手が満足し終えるのを待てばいい。
急激に襲いくる快感に唇を噛んで堪えていれば、「聞かせろ」と口に無理矢理指を突っ込まれた。
好き放題腰を動かし、帝人の身体を貪る。
我慢せずに達すれば、静雄もその締め付けが効いたのかナカに熱を吐き出され、気持ち悪さに眉を寄せる。
やっと終わったと相手が抜くのを待つが、静雄にその気配はない。
どうしたのかと振り返ろうとすれば、ナカを再度貫かれ、悲鳴にも似た声を上げる。

「も…終わっ…」
「一回で足りるわけねーだろ、これはお仕置きなんだからよ」
「ひっ…うああッ」

最奥を貫かれ、再度熱を吐き出す。
「早漏だな」と鼻で笑われ、意味はわからなくても馬鹿にされたのはわかる。
羞恥に顔を染めれば、また腰を動かされ、媚声をあげた。


「…ッぅあ…んくっ」

もう何回イかされたのかわからない。
気絶しようにも気を失えば無理矢理にでも起こさせられる。
思考もままならないなか、何度目かの精を吐き出した静雄が不意に身体を起こし、繋がった状態のまま帝人を仰向けにする。

「竜ヶ峰…」
「ごめ…なさ…、も…許して…」
「もう二度としないって約束するか?」

ただただ解放されたくて、首を何度も縦に振る。
「じゃあこれで最後にしてやるよ」という科白に、帝人は虚ろな瞳のまま全身の力を抜いた。


『折れた骨と曲がった指』
(折れたのは骨だけじゃなくて)

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2010/5/19
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