デュラララ!! | ナノ
14×10兄弟パロ注意

臨也が中学三年になって少し立った頃の春。
両親の海外転勤のため、臨也は小学五年生になった帝人と二人暮らしをすることになった。
愛する弟と暮らすのには臨也にはなんてことない、寧ろ嬉しくさえあった。
まだまだ甘えたい盛りの帝人は、親代わりの臨也に甘えてくることもある。
臨也は毎日が至福の時であった。
今日もぱたぱたと忙しげに廊下を走る音に目を覚ます。
臨也は昨夜も夜遅くまで帝人の寝顔を見つめていたものだから、睡眠不足で重い頭を持ち上げて、隣に寝ているはずの人物がいないことに気づき、ああもう朝かと欠伸を一つ吐く。
足音が部屋の前で止まったところで、臨也は口許を緩めふかふかの羽毛布団に顔を埋める。
静かに扉が開き、スリッパの音がベッドへと近づいてくる。
小さな手が身体を揺する感覚に顔を布団から出すと、愛しい弟の少し困ったような表情があった。
人形のように眠った顔も可愛いけど、困った表情も可愛いなあ…。
いやらしい笑みを手で隠し、出来る限りの爽やかな笑みを浮かべる。

「おはよう。どうしたの、可愛い此処に皺が寄ってるよ?」
「おはよう…。…え、とね」

どこか申し訳なさそうな表情を浮かべる帝人を怪訝に思っていると、臨也は背後に隠れている手紙が目に入った。
嫌な予感がして苦笑を浮かべながらそれについて問うと、帝人は意を決したように臨也にそれを差し出した。

「これ、僕のクラスの女子から…」
「捨てていいよ」
「でも…」
「俺には帝人だけいてくれればいいんだ」
「臨也兄さん…」

頭を優しく撫でれば帝人は照れ臭そうに笑う。
無邪気に笑う帝人、涙を流す帝人、拗ねる帝人、怒る帝人。
挙げたら数え切れないが、臨也が見てきた帝人の中で、この表情が好きだ。
臨也は帝人の友人関係、日々の行動の至るところまで調べ尽くしている。
帝人は友達というものは作るものの、心を許せる親友までは作らない。
臨也も友達…というよりかは知り合いが多数いるが、悪友と呼べるのは岸谷新羅だけだろう。
これは折原家一族の特徴かもしれないが、帝人にも信頼できる親友がいた。
だが、五年になる前に何処かへ引っ越してしまったらしい。
帝人から引き離そうと何かしら考えていた臨也だったが、そのことを泣きそうな表情の帝人から聞いたとき、果てしない程の喜びに包まれた。
これで帝人を独占できるのは俺だけだ、帝人は俺のものだ、と。
いずれ帝人は俺の異常さに気づき、俺から離れようとするかもしれない。だけど絶対逃がさない、離さない。
帝人は俺のモノなんだから。

「臨也兄さん、もうそろそろご飯食べないと遅刻しちゃうよ?」
「ああ…、そうだね」

名残惜し気に帝人のさらさらな短髪から手を離し、力いっぱい抱きしめた。
帝人も抱きしめ返してくれる。
この小さな温もりが離れてしまう日がくるのだろうけど、今だけは……。

(ずっと離さないから)


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次出来れば裏行きたい

2010/4/19
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