デュラララ!! | ナノ
「静雄…?」
「あ?」
 心地良い一時を他人に邪魔され、静雄は眉間に皺を寄せながら振り返る。だがそこにいる人物が誰かわかると、皺を少し解き、不思議そうに耳をひくひくとさせている帝人の頭をぽんぽんと撫でる。
「久しぶりだな、津軽」
「まさか散歩してて静雄と会えるとは思わなかった」
 津軽と呼ばれた青年は静雄と瓜二つの顔をしている。帝人はデリ雄を思い浮かべたが、彼はデリ雄と雰囲気が違いすぎる。津軽は蒼い和服を着こなしていて、落ち着いた様子だ。「むきゅ…」と呟くと、津軽は帝人へと視線を向ける。
「ああ、こいつは帝人だ」
「知ってる。幽とデリ雄から聞いてる。デリ雄は静雄がショタコンになったって言ってた」
「違えよ!」
 顔を真っ赤にしている静雄の頬を、帝人の小さな手が触れる。ぺちぺちと触れられ、静雄は少し落ち着いた。
「きゅー?」
「…もきゅ、きゅー」
「きゅ!?」
 津軽が突然帝人の声を真似だし、何やってんだコイツという目で見ていると、帝人は顔を輝かせる。
「帝人、どうした?」
「俺、動物の言葉わかるんだ」
「聞いたことねえぞそんな話!」
「そういう研究をやってるんだよ。今は帝人の話聞いてたから、うさぎと人間のミックスの鳴き声についての研究」
「…相変わらず難しいことしてんな」
 静雄は頭を使う系はさっぱりである。頭をぽりぽりと掻くと、帝人と津軽はもきゅもきゅと話始める。楽しそうな二人に、静雄は言葉が全く理解できないため、機嫌が低下する。
 苛々しながら残っていた牛乳を飲んでいると、突然帝人に腕を組まれ、静雄は牛乳を噴き出しそうになり、慌てて飲み込み噎せる。
「もきゅー!」
 静雄の腕に頬を擦り寄せる帝人に、静雄は津軽を見る。何を言ったかは静雄には理解できない。
「何言ったんだお前…」
「大きくなったら誰と結婚したいかって」
「な…ッ」
 静雄に擦り寄ったということは、帝人は静雄と結婚したいということだ。子供によくある大きくなったらお父さんと結婚すると宣言するのと同じなのだが、静雄はあわあわと慌てる。
「結婚とか、どこでそんな単語…!」
「もきゅ!」
「昼ドラだって」
「お前あんなどろどろしたの見て…いやそうじゃなくて、」
「嬉しくないのか?」
「もきゅー…」
 ぴるぴると瞳を潤ませる帝人に、静雄はうっと息を飲み、目を逸らしつつ、ぼそりと肯定を呟く。帝人はぴゃあとうれしそうに鳴き、すりすりすりとぷにぷにの頬をあてる。
 隣でにやにやとした笑みを浮かべている津軽に気付き、静雄は照れ隠しに帝人の頬をむにっと摘んだ。


2011/5/18
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -