デュラララ!! | ナノ
 カーテンで陽射しが遮られ、今だに朝を迎えられていない部屋で、小さな身体がベッドをぽふぽふと叩く。部屋の主はまだ眠りについたままだ。
 十にも満たないであろう少年は頬をぷくっと膨らませ、ベッドへとダイブした。
「デリー!朝です!起きてくださいーっ」
「んあ…?」
 少年もとい帝人は、一瞬目を開けたデリ雄に目をきらきらと輝かせたが、デリ雄は再度布団に篭ってしまった。帝人は思わず地団駄を踏む。
「もーっ、起きて!起きないと最終手段に出ますよ!」
「おー、やれるもんならやってみろ」
「…!起きてるじゃないですか!」
「あ、やべ」
 わざとらしくそう呟いたデリ雄は、悪戯な笑みを浮かべ、横向きに寝転ぶ。
「帝人も一緒に二度寝するか?」
「しません!しーくんが朝ご飯出来たからデリーを呼んでこいって言ってたもん!僕、お腹空いた!」
「つれねえなあ…」
 デリ雄はそう言いながらも帝人を布団の中へと引きずり込む。初めは暴れていた帝人だが、布団の心地よさに思わずうとうとと瞳を瞬かせる。
「ちょっとくらいなら静雄も怒らねえよ」
「うに…ちょっと、だけ……」
 スースーと息をたてて眠りだした帝人に、デリ雄はクックッと笑う。
 柔らかな皮膚にキスをしていると、扉が壊れない程度に勢いよく開かれた。
「おい、お前ら好い加減に…」
 部屋に入ってきたのは静雄だ。先程まで料理を作っていたのか、いてものバーテン服の上にエプロンをしている。
 静雄は今目の前で起こっている状況を考えて停止した。
 我が子のように可愛がっている従兄弟が自らの双子の弟であるデリ雄の布団の中で一緒に眠っており、さらにキスまでされている。
 静雄のリミッターが切れたのは、ほんの五秒後だった。
「何やってんだ手前!!」
 デリ雄の胸倉を掴み、帝人から離す。物を投げ付けなかったのは褒めてほしい。
「何って、キスに決まってんだろ?お前は相変わらず堅いな」
「黙れ!」
 口で争っていると、隣から場違いなかわいらしい声が聞こえる。
「むにぃ……あッ!」
 帝人はガバッと起き上がり、静雄の姿を見てあわあわと焦る。
「僕、寝てないです!」
「…あ?」
 明らかに寝ていただろうとデリ雄はぷっと噴く。静雄は「何笑ってんだよ」と今にも噛み付きそうな険相になる。
 帝人はその姿を見て、瞳をうるうると潤ませた。
「ふぇ…、しーくんごめんなさい。怒らないで…」
「あ、いや、帝人に怒ってるわけじゃないんだぞ?」
「帝人泣かすなよ」
 飽くまで愉快そうな笑みを浮かべるデリ雄に、静雄の血管が切れた。
「何が楽しいんだ?ああ゛?!」
「しーくん怒っちゃヤです!」
 ぴええ、と泣き始めた帝人に、静雄は渋々デリ雄から手を離した。そのまま帝人へと手を伸ばし、ひょいと抱き上げる。
「帝人、泣くな」
「ふぇっ、泣いてないです…」
 帝人はぐしぐしと涙を拭うが、さらに涙は溢れる。静雄は自らの服の袖で帝人の涙を拭ってやった。
「男なら泣くな」
「泣いてないですもん…」
 涙は枯れたが、目尻は赤く染まっている。
 強く拭い過ぎたかな、と人差し指で赤くなった目尻のシワを伸ばしていると、隣からデリ雄が割り込んでくる。
 静雄が「なんだよ」と文句を言おうとしたが、デリ雄の次の行動に声を張り上げることとなる。
 デリ雄が帝人の目尻にキスをしたのだ。しかも離れる際に舌で嘗めあげた。
 帝人は擽ったそうにしただけだったが、静雄が受けたのはその程度の衝撃ではない。
 ニヒルな笑みを浮かべたデリ雄に、静雄は今度こそベッドを持ち上げた。



静雄さんど…と言い張る
とにかくしょたらぶ


2011/3/8
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