デュラララ!! | ナノ
 次の日、帝人はまた静雄に呼び出された。今度は静雄の家に。
 静雄は昨夜も遅くまで仕事だったんじゃないか、と思いながらも、タクシーを呼ぶ。
 インターホンを鳴らせば静雄はすぐに顔を出した。その顔はなんとも言えない程不機嫌で、帝人は首を傾げる。
 首を傾げた帝人が可愛かったのか、顔を押さえた後、入れと中へ促した。
「静雄さん、何かありました?」
「…昨日」
「昨日?」
「来良の餓鬼と話してた」
「…ああ、臨也君ですか」
「何考えてんだ」
「?」
「あいつ、前にお前に薬飲ませて、襲おうとしたヤツだろ」
「静雄さんだって僕を襲ったじゃないですか。しかも未遂じゃなくて本当に」
「そ、それとこれとは」
「同じです。じゃあ僕も静雄さんを無視しましょうか?嫌ですよね」
「…」
 むすっとした表情で黙る静雄に、帝人は(この人はまるで子供だ、臨也君と同レベル位の)と考える。
 昨日臨也にしたのと同じように頭を撫でれば、静雄はまだ不機嫌そうな表情をする。
 昨日の帝人の臨也と話しているところを見たと言うのなら、頭を撫でたのも見たはずだ。
 帝人はならばと静雄の額に口づける。静雄は目を丸くした状態で固まっている。
「これは臨也君にはしてませんよ」
 小さく微笑めば、静雄は顔を真っ赤にして帝人に抱き着いた。そしてそのまま帝人を押し倒す。
「え、ちょっと」
「いいか?」
「いいかって、何朝から盛ってんですかッ」
「いいな」
「よくないッ」
 ぐぐ、と頭を押し上げ、自分から身体を離させる。
 静雄は不服そうな表情をしていたが、そんなものは知ったこっちゃないと言わんばかりに帝人は静雄の下から脱出した。
「…静雄さん、別に性行為をやめろというわけではありません。その………僕だって、気持ちいい、ですし……」
「じゃあ、」
「でも一つ、条件があります」
「何だ?」
 パァ、と顔を明るくした静雄に、ちくしょうかわいいと思いながら、帝人は言葉を紡ぐ。
「僕が攻めをやります」
「無理だ」
「即否定しないでください!僕だって男なんですからね!」
「お前に攻めは無理だ」
 実力行使で再度静雄に押し倒される。
 両腕を床に押し付けられ、抵抗するにも静雄の力が強すぎて意味をなさない。
「狡、いですよ…」
「じゃあ片手で押し付けてやろうか?まああんまり変わんねえだろうけどな」
「人を非力みたいに…」
「非力じゃねえか。見ろよ、この腕の差」
 静雄のはがっしりと程よい筋肉がついていて健康的に焼けているのに対して、帝人のは細くて力を入れれば今にも折れそうな感じで、日に焼けてないせいで白い。
 まるで大人と子供のようで、帝人はほんのりと頬を膨らます。
 静雄をそれを見るとくすりと笑い、両手を纏めて片手で帝人の頭上に押し付ける。
 そして、余った方の手で帝人の頬を挟むように触れると、そのまま帝人の膨らませていた頬を押して萎ませた。
「帝人、いいか?」
「…いいわけ、ないでしょう」
「…帝人」
「…ああもうわかりましたからその捨てられた犬みたいな表情やめてください!」
「いいのか?」
「…はい」
 渋々首を縦に振れば静雄は一際顔を輝かせ、帝人の手を解放し首筋に鼻頭を擦り寄せる。帝人は舐められ、擽ったくて身をよじらせた。
「ん…」
「帝人、好きだ、好き、大好き」
「…あんまり恥ずかしいこと言うのやめてください」
「じゃあ帝人も言ってくれ」
「……好き、だと、思います」
「曖昧だな」
「だっだって、自分でも自分の気持ちがよくわからないんです!ずっと嫌いだったのに、嫌いだったはずなのに、静雄さんにどきどきして、僕にも…ン」
 唇を衝突に塞がれ、帝人は言葉を止められる。息をしようとすれば舌を入れられ、絡まる。乱暴な愛撫にも下半身が疼いて、目をぎゅっと閉じる。不意に身体を横抱きにされ、静雄の肩に掴まる。
 そのままベッドへと運ばれ、マットレスにぼふんと優しく受け止められた。
 静雄は帝人に覆いかぶさると、ポロシャツの釦に手を掛け脱がしていく。
 性急な愛撫を落ち着かせようと膝を立てれば、静雄の硬度の持ったそれが当たり、帝人はなんともいえない気分になる。
――…そうだ、これが僕のナカに入るんだ。…怖い、けど前はよく入ったよな。
 帝人が思考に頭を働かせていれば、静雄はむすっと顔を歪ませて帝人のそれを軽く握った。
 非難染みた悲鳴を上げれば、「俺のことだけ見てろ」と独占欲の塊の言葉を吐き出す。そこで、帝人は少し彼をからかってみることにした。
「安心してください、僕は静雄さんのことを考えてましたから」
「そう、なのか?」
「はい。静雄さんのココ、おっきくなってるなあって」
 つん、と突いてやれば、静雄は顔を真っ赤に染める。
「あれ?また硬くなりましたね」と意地悪気に言ってやれば、静雄は湯気が出そうになるくらい頭を熱くさせる。
「帝人…」
「はい?」
「舐めるか挿れられるか、どっちがいい?」
「は?」
 ガチャガチャと自分のベルトのバックルを緩める静雄に、帝人は顔を引き攣らせる。
 即ち、帝人が静雄に奉仕するか、ナカに挿れられるか、どちらかを選べというわけだ。
「ま、待ってください。早過ぎます」
「俺はもう我慢できねえ」
 剥ぐように帝人の下着を脱がせ、ベッドの下へ捨てる。
 脚を胸に着くほど押し上げられ、指をナカへと挿れられ、掻き回される。
「ひっ、まだいいって言ってません!」
「ごめん」
「ひぁっ、ちょっ本気で…」
「もういいか?」
「ま…まだッ」
 指を引き抜かれ、静雄の膨張したそれが構えられる。
――そもそも僕の意見を聞くつもりなんかなかったんじゃないかッ!
 一気に根元まで貫かれ、甲高い女のような悲鳴をあげる。
 呼吸を整えるまでは待ってくれるようで、ゆっくりと深呼吸した。
 静雄はそわそわとさせていて、制すようにぺちっと額を叩けばじっと帝人を見つめた。それがまるで待てを命令された犬のようで、ぷっと噴き出せば、静雄は眉間に皺を寄せて、ゆるゆると動き始める。
 首に腕を回し、しがみつくようにすれば、静雄は激しく動き出す。
「ひっ…ああっん、しず、あ、」
「ッ帝人…」
 キスをしようと腕の力を抜き、静雄と向かい合えば、静雄から赤い液体が噴き出す。
 それを帝人は顔面に被り、え?と動きを止める。静雄は慌てて鼻を押さえた。
 その血の正体は静雄の鼻血で、帝人は落ち着いて隣にあったティッシュでそれを拭う。
「…静雄さん、そんなに興奮したんですか?」
「…五月蝿い、お前がエロいのが悪い」
 責任転嫁な科白に呆れを抱きつつ、静雄の顔に付いた血も拭く。
「…なんだか萎えました。もうやめます?」
「嫌だ」
「…ですよね」
 鼻にティッシュを詰め、なんともマヌケな状態で腰を動かす。
 だが、やれば気持ち良くなるもので、萎えていた帝人自身が硬度を取り戻していく。
「ひぅっあ…、っあ」
「帝人…ッ」
 口づければティッシュが上唇に掠り、少し笑ってしまう。
 静雄はその反応に容赦なくピストンを繰り返す。
「ン、…あああっん、ひゃあっ!だ…やら…激し…ッ」
「ああ…」
 帝人が耐え切れずに熱を吐き出せば、その締め付けで静雄も絶頂にたどり着いたらしく、即座に帝人のナカから抜け出し、腹に熱をぶちまける。
「はふ…」と息を漏らす帝人に、今度はもう片一方から鼻血が溢れ出した。
 それによって、帝人の腹の凹んだ処に溜まった精液と混じり合い、ピンクへと染まる。
「もう、なんなんですかッ!」
「いや、だってお前エロい」
「知りませんよッ」
 腰をゆるゆると動かしながらも鼻血をティッシュで拭い、帝人の臍に溜まった桃色のそれも拭き取る。
「まだヤる気ですか…」
「もっと、お前が欲しい」
「ぁっ、ちょっ…待っ」
 腕を引かれ、正常位から対面座位になる。
 先程より深い繋がりに、帝人は「ひうぅ…」とか細い声を零した。
「…可愛い」
「ッひゃん!」
 帝人の腰を掴み、持ち上げ落とす。そんな淡々とした作業なのだが、先程より快感が増す。
「あうっ、…はっあんっ」
「気持ちいいか?ああくそ可愛い」
 深く口づけられ、喘ぎ声がくぐもったものに変わる。
「や…ッそこ…ン、ふああっ」
 目の前が照明に当てられたようにチカチカとする。何度も意識が飛びそうになるが、強い快感に意識を引き戻される。
「も…やっ、ふ…」
「な…泣くな!これで最後にするから」
 無意識のうちに零れ落ちていた涙が静雄の舌で拾われる。
「ひっ…ああああっ」
「…ッ」
 ドクン、と静雄の白濁がぶちまけられる。
 あれほど血流が集まっていたものが熱を吐き出したことで少し頼りなくなる。
 だが、それは帝人のより何回りも大きく、ナカから抜けていったそれを見、帝人は少し眉間に皺を寄せた。
「ど、どうした?やっぱり切れたか?」
 血が出ているかどうかを帝人の脚を持ち上げて秘部を曝させるという格好にさせたので、帝人はもう片一方の脚で静雄の金色の頭を蹴った。

「僕はこうなると思ってたよ」
『おめでとう!よかったな、静雄。長年の思いが実ったじゃないか!』
 帝人と静雄は、まず新羅とセルティに二人が付き合うということを報告しに行った。
 新羅はやっぱりという表情で、セルティはまるで自分のことのように喜んでいる。
「長年?」
『ああ。実は静雄は帝人のことが一目惚れで、ずっと相談を受けていたんだ』
「そうだったんですか」
「……」
 静雄は恥ずかしいのか、帝人から目を逸らしている。
「まあ、僕達二人は君達を祝福するよ!」
「あはは、ありがとう」
 セルティがお祝いに何か料理を作ると申し立ててくれたのだが、生憎帝人はこれから仕事があり、文句を言う新羅は無視し、セルティに謝る。
 セルティは『気にするな』と言ってくれたが、また食べに来ると言えば影が少し嬉しそうに揺らいだ。


2011/3/3
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -