デュラララ!! | ナノ
「―…ん」
――あれ?なんだろう、この違和感。
 奇妙な水音に、やけに熱い身体、そしてどこか遠くに聞こえる喘ぎ声。
 このマンションで隣の住人の声が漏れることは有り得ない。
 意識が覚醒していくと、暗い部屋だが、黒い人影が帝人の下半身と重なって見える。
 無意識のうちに喘いでいた口を腕で押さえ、自分の下半身を好き勝手舐めている頭を押す。
「ひゃ…ッ誰ですか…ぁっ」
 びくともしないそれに、枕下に 置いてあるナイフで正当防衛と言い聞かせ、勢いよく刺したが刃が折れた。
 頑丈な身体に異常な力。
 思い当たる人物は一人しかいなかったが、認めたくなかった。
 横に置いてあるリモコンで電気を付ければ、部屋が一気に明るくなる。
 そこには金髪の青年が自分のモノを銜えていて、見なかったらよかったと激しく後悔した。
「なにやってんですかッ…ぅあっ」
 静雄は無言で帝人のを刺激してくる。帝人も必死に抵抗するが、静雄には無に等しい。
 尖端に歯を立てられ、帝人は声を抑えながら静雄の口内に熱を吐き出した。
 精液を最後の一滴まで飲み干そうと先程歯を立てられた尖端を吸われ、帝人はびくびくと身体を跳ねさせる。
「濃いな…」
 かあっ、と顔を真っ赤に染める帝人にククッと笑う。
 最近は仕事や静雄との鬼ごっこに疲れてそのまま寝てしまうことが多く、自分で抜くことはなかった。
 しょうがないじゃないかと自分に言い聞かせる。
「なんで貴方が此処にいるんですか…」
「昼、逃げただろ」
「当たり前じゃないですかッ!男にキスなんか、気持ち悪い」
「気持ち悪いのにイったのか?」
 今日の静雄はやけに饒舌だ。
――もしかして風邪でもひいているんじゃないだろうか。それで昼キスしてきたり、今もこんなことを。
 ずいっと顔が近付いてきて、帝人は反射的に後ずさる。
「嫌がらせならもう十分でしょう。早く帰ってください、そして寝てください」
「何言ってんだ、これからだろ?」
「何が―…」
 獣を思わせるような目に、帝人は顔から血の気を引かせ、四つん這いになり逃げようとしたが、腰を掴まれる。
「なんだ、自分からそんな体勢になりやがって」
「…ッ離せ!僕はノーマルだ!」
「知るか」
 静雄は帝人が『僕は』と言ったことに否定しなかった。
 代わりに帝人のナカへ指を一本挿れた。悲鳴を上げたが、静雄は気にしないといった様子でナカを抉る。
 屈辱以外の何物でもない行為に、帝人は目尻に溜まった涙を拭った。
「やめ…」
「ああもう面倒臭いな。もう挿れていいか?」
「ッふざけるな!」
 帝人が声を張り上げる前に静雄は前を寛げていて、帝人の返答はそもそも聞く気がなかったらしい。指が引き抜かれ、熱いソレが宛がわれる。
 まさか前の童貞を捨てる前に後ろの処女を奪われるとは思わなかった。しかも、帝人のこの世で一番大嫌いな男に、だ。
 無理矢理入ってくるそれに、わざと力を入れてやれば、前をぐっと掴まれて甲高い悲鳴とともに力が抜けた。その隙にと奥まで貫かれる。
 鉄の匂いと激しい痛みに、肌が裂けたのかと嫌でもわからされた。静雄は窮屈さに眉間に皺を寄せ、息を吐く。
「ッ狭いな…」
「当たり前、でしょう…」
「情報屋っていうのは他人と寝たりして情報を得ているのかと思ってた」
「残念でしたね…初めてですよ」
 振り向きながらべっと舌を出したが、静雄は寧ろ嬉しそうな表情をして、帝人は眉間に皺を寄せた。
「喋れるくらい余裕あんだから、もういけるよな」
「はっ、ちょっ…ぐッ」
 規格外なそれが容赦なくナカを突いてくる。
 自分の欲望に忠実なそれは、帝人に快感なんて甘ったるいモノは与えなかった。
 痛みに堪えようと必死に荒い息を繰り返していたが、それでもありえないところから感じる痛みはとてつもないモノだった。
 帝人のうなじに熱い息を吐いていた静雄が息を止めたと思ったら、ナカに熱を吐き出してきて、帝人は下からではなく上から吐きそうだった。
 呼吸を落ち着かせている静雄に、吐き捨てるように「下手くそ」と言えば、ナカから頼りなくなったそれが抜けた。
 はあ、と小さく溜息を吐けば、仰向けにされ、再度貫かれる。
 その瞬間、感じる処に静雄のそれが当たり、咄嗟に口を塞いだが、目の前に顔があった静雄にはわかったらしい。ニヤ、と笑うとそこばかりを突いてきた。
 口を押さえていたのだが、それでも我慢出来なくなり、自分の腕に噛み付いた。
 電子音が聞こえてきたかと思えば、静雄の手には携帯が構えられていた。しかも最悪なことにムービーらしく、帝人の手が届かないところにすると、そのまま撮り続けている。
「下手くそだって言う割には感じてんじゃねえのか?」
「…ッ殺す、社会的に殺してやる!」
「その前にこの映像、お前の大好きなネット上に流してやるよ」
「…ッ出た瞬間に徹底的に消してやる」
「ハハッ、でも誰かの目には入るだろうな」
 ギリ、と唇を噛み締め、自慰とは比べモノにならない程の快楽に堪える。
 静雄の扱いは一応心得ているつもりだ。静雄の機嫌がよくなる方法。
「ぁ…っ、静雄さん…」
「…ッ」
「静雄さんっ、あっ、そこやだ…っ」
 普段、帝人は決して静雄の名を呼ばない。だから、どうしてもやばくなったら『静雄さん』と呼べば、静雄の機嫌はいつもよくなった。現に、静雄の動きが明らかに優しくなった。
 静雄さん静雄さんと繰り返し呼べば、静雄はムービーを止め、もう一度録画を押して帝人の口元に近づける。
 目的はわかっている。「静雄さん」と言えば、静雄は満足したように携帯を閉じ、それを隣に投げた。そして、帝人との行為に専念する。
――絶対終わったら丸くなったフリして消してやる…!
 帝人はそう決心しながら、早く満足させて終わらせてやるために、静雄の首に腕を回す。
「ひ…っ、ん、ああっ」
「ン…、気持ちいいか?」
「あっあっ、」
「なあ、帝人」
「ひああっ、きもち、です…っ」
 内心、何度も死ねと叫びながら静雄の望む言葉を吐き出す。静雄は口元を緩めると、帝人のイイ処へと腰を激しく動かす。
 陸に打ち上げられた魚のようにびくびくと身体を跳ねさせる。
「やっやだっ、も…ッ」
「ああ、俺ももう出る…」
 帝人の達した時の締め付けで静雄もどくどくとナカに再度熱を吐き出す。
 もう終わったと息を吐けば、静雄はまた腰を動かす。
「また…ッ」
「もう一回…」
「や、嘘…ッ」
 開いた唇は静雄のそれに塞がれる。静雄のまるで慈しむような目を見つめながら、帝人は荒い息とともに、気を失った。

「…………死にたい」
 早く終わらせるつもりが、帝人が静雄に甘えてくることに上機嫌になり、帝人が気絶した後も何度か犯されたらしい。身体は綺麗になっており、帝人は深い溜息を吐く。
 隣で満足そうに寝ている静雄に舌打ちしながら、問題の携帯へと目を向ける。
――今ならいけるんじゃないか?
 静雄は心地よさ気に鼾をかいて眠っていて、起きる気配がない。そっと降り、静雄の携帯を色々と操作する。
 フォルダが幾つかに分けられていて、『犬』の下に『帝人』というフォルダ名を見つけて動きを止めた。何も考えずに中身は確認せずにフォルダごと消す。
 ムービー用のフォルダも『帝人』というのがあったので、先程の醜態とともに消した。
 そっと振り返れば静雄はまだ眠っていて、溜息を吐きながら静雄から少し離れたところに眠った。


2011/2/26
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