SS部屋 | ナノ
静帝

2011/01/25 13:21

上げるの忘れてた
試験まで一週間切ったぜ…



 寒風にぶるりと身を震わせ、あったかい缶コーヒーの熱を手袋越しに感じる。
 缶の開く音が聞こえ、隣に目を向ければ、静雄がコーヒーを口にしていた。
 帝人は帽子にマフラーに手袋、そしてコートを身につけているというのに、静雄はいつものバーテン服のままだ。寒くないのかと思い、静雄に少し身を寄せてみた。静雄はすぐに気付き、小さく笑った後、帝人の髪を撫でた。
「…寒くないんですか?」
 ずっと疑問に思っていたことを口にしてみる。静雄は缶コーヒーから口を離し、ベンチの上に置く。
「…帝人がいるから平気だ」
「なんですかそれ」
 呆れたように笑い、公園ということも忘れ、静雄の肩に頭を預ける。固い筋肉が頭に当たり、少し痛かったが気にしない。
 暫くその時間を楽しんでいたのだが、静雄が衝突に口を開いた。
「帝人ってよ、眼鏡みたいだな」
「眼鏡?静雄さん、視力悪いんですか?」
「いや、両方Aだ」
 先程の缶コーヒーの湯気で曇ってしまったサングラスを外し、ベストに引っ掛ける。
 サングラス越しではなく、直に見ると、なんだか恥ずかしくなり、二人で目を逸らす。
「…で、眼鏡ってなんなんですか」
「なんか、帝人といると濁った世界が綺麗に見えるんだよ。だから、お前といる時はサングラスはいらねえなあって思ってな」
 微笑みながら帝人の冷たくなった頬を撫でる。静雄の手は薄着に関わらず暖かい。
 帝人は顔を真っ赤にさせる。帽子で隠れて見えないが、きっと耳も真っ赤になっているんだろう。
 その姿を愛しいと思いながら、額に口づけると帝人は静雄の肩にその額を押し付けた。ぐり、と頭を何度か振る。
「……僕を口説いてどうするんですか?」
「惚れ直したか?」
「当たり前です」
 帝人はぽこっとグーで静雄の胸を叩く。静雄は気にする様子もなく、帝人の細い身体を自らの胸に閉じ込めた。


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