×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -




一人
薄日をまつ






これは昨日Twitterにて投下し続けたものをまとめ書き記したもの。
ただの自己満足、鬼滅の刃をまだ深く考察読み込んでいないためほころびが酷いと思われる。

原案【ご都合血鬼術で盛られた感じの風を介抱しにいったら、押し倒され、そのまま夜を越え身籠り鬼殺から逃げてシングルママになった元柱の話】





**

姓は花藤(はなふじ)名を夏風と言う。

この者稀血の持ち主、藤の花の匂いに近い香りがする血を持った。いわゆる魔よけの力を持つ血の持ち主。遥か昔に家は没落しておりそれを知るものはいない。
荒ら屋、馬小屋の方が綺麗に思える小屋に母と弟一人と住んでいた。
夏風は父親の顔を知らない、その事について聞くと母は酷く彼女を殴った。
母はその美貌から客を取り何とかその日を暮らしているがその金を姉弟に使う事はなく、夏風は自分で畑を耕し、弟との食扶持を稼いだ。周りの者は彼女に手を差し伸べることはなかった。遊郭でもない場所で女を売っているところの家の子だそう言って誰もが見て見ぬふりをしてる。
夏風には夢があった、いつか乳飲み子の弟をつれここから出て生きていく事それが今の彼女が生きている糧だった。

突然転機が訪れる、ある夜の事。いつものように母が小屋で客を招いていたようなので外に行こうとしたら呼び止められ、此処に居ろというのだ。
何だろうと思っていると母親はいつになく機嫌がよく隣にいる客の男は嫌な笑みを浮かべてこちらを見てる。
逃げないと、と思った時には天井が見えていた。そこで理解する(自分は母親に売られたのだと)叫ぶ声は塞がれ、この世が地獄なのかと思った。あばれ手に掴んだ火箸で男の目を刺した。この時のことはよく覚えていないだけど気が付くと男は事切れており、母も頭を押さえて蹲っている。手には石が握られていた。
震える手で弟を抱き上げ飛び出す。外は大粒の雨が降っており彼女の泣き叫ぶ声も何もかも消すような勢いであった。
近くの林に身を隠し、朝日が昇る頃、怪我をした母を置いて来てしまったことに気が付き家に戻るとそこは赤い景色が広がっていた。あの後鬼が来たのだそう直感する。
客であった男の残骸、母のものであったそれを見た時、自分が殺してしまったのだと膝をついた。

ここにいれば自分は捕まるかもしれない、そう思い、家にある金目のものをすべて持ち生まれ育った場所を後にした。
夏風が齢10歳のころである。
何とか大きな町にたどり着き食扶持を稼ごうとするが、汚い子供を雇おうとするところはそうそうない。
なんとか頭を下げ住み込みで働ける場所を見つけそこで弟二人で生きていくことにした。
女将は意地悪くボロ雑巾の様に扱い、与えられたのは屋敷の外にある納屋だが、あの場所と比べれば極楽だと感じた。
約2.3年の時がたつ、乳飲み子だった弟も自分の事をねぇねと呼ぶようになり、あぁ幸せだと思う。この子だけは地獄なんか知らずに生きていってほしいそう思っていた。
思っていたのだ。
ここ最近雇い主の旦那から嫌な視線を感じると思っていた、あの目どこかでと考えていた時に思い出す。あれはあの日のあの男の眼と同じだ気が付いたときにはそいつは自分の上に乗り上げていた。何とか抵抗して女将の所に助けを求めに行くと横面を叩かれる。
責められたのは夏風だった。
旦那が言う、誘ってきたのはこいつだと。
女将が言う、この売女、恩をあだで返しやがって。
着の身着のまま弟をそこを叩きだされる、あぁもう死にたいそうつぶやいた時に誰もいないところから「なら俺に食わせろ」そんな声が聞こえる。
目の前には人でも動物でもないバケモノがそこに居た。震える足を動かしてそれから逃げるもすぐに追いつかれてしまう。腕を大きく切りつけられてしまい血が止まらない、するとそれが途端に苦しみだしたのだ。
何が起こったのかわからないが泣く弟に手を伸ばし逃げ出そうとしたら、それは激昂し弟を掴むとそのまま壁に叩きつけた。
弟の声が止まった、次はお前と言った時、それの首は落ちていた。
振り返るとそこには大きな男が立っており、もう大丈夫だと私に言った。
大丈夫?何が大丈夫なのか、弟が私の可愛い子が怪我をしているのです。助けてくださいそう彼に言うと男は弟を静かに抱き、そして首を振った。
「この子はもう助からない」
あぁ、私があの時逃げていなかったら、あの男の言う通りにしていたら。
この子はまだ私の隣で笑っていたのに、甘い柔らかな声で「ねぇね」と私の手をとったのに。
私が愛しい子を殺してしまったのだ。

声は降り出した雨にかきけされてしまった。
「怪我の手当てを」そういって私を連れ出した人は悲鳴嶼行冥。
のちの私の師範となるお方だった。

行く場所がない帰る場所もないそう言う彼女を鬼殺に連れてきたのは悲鳴嶼だった。
気になる事がある、あの時の夏風の話が本当ならば、彼女の血は鬼殺に必要なものではないかそう思ったのだ。
ほどなくして自分のもとで面倒を見ることになり、そこで発覚するのは、
夏風は剣の才能があった。抜刀術、突きの攻撃が他の誰よりも飛びぬけていたのだ。彼女はひたすらに刀を握り続けた、何かを断ち切るかのようにがむしゃらにその姿を止めることは自分はできず。夏風は鬼を狩りつづけ、独自の呼吸を編み出したのた。
「花藤夏風を当たらな柱に砂柱に任命する」
これを喜ぶべきなのか悲しむべきなのかわからなく、彼女本人いつもと変わらぬ様子であった。ただ一つ心配なのは顔色が日に日に悪くなっていることだった。そのわけを彼女は私に話してくれることはなかった。

*
「貴方の血を提供していただきたい、この話は誰にも内緒です柱にもお館様にも」
そう言ってきたのは鬼殺にいた研究者だった。私の血は藤の花、それ以上のものがあるそう言ってきた。
そうして渡したものは香り袋のようなものになり多くの隊員にわたる事になる、そのおかげで命が助かったもの、鬼を狩る事ができたと耳に入ったときはうれしかった。
日に日に要求される量は増えて行くがそれを拒むことはできなかった。こんな自分でも人の命を救えるのだと実感できたのだから。馬鹿な事だ、それで師範に心配を仲間達からもしっかりしろと言われる始末。
本当に私は救いようのない馬鹿だ。

血を提供した次の日、下弦の月ぐらいの鬼の討伐任務で負傷をした。いままで以上にとられる量が多かった為だろう油断した。呼吸器系をしのぶ曰く全集中の呼吸はもうできない。出来たとしても僅かの時間だけだ。
柱を降りたほうがいい、そう言う彼女の目は失望したような、悲しむような眼をしていたように見えた。
皆の目を見るのが嫌だった。下弦でもないものに柱が敗けた、何をしていた役立たずそんな声が聞こえてくるようで、師範にも顔向けができない、お館様にどんな顔をすればいいそんな思いでいっぱいだった。
二人は私を責めなかった、柱を降り、休養するようにと言った。その間もあいつは私から血を採取し続けた。
碌に動けず出来たとしても、下弦以下の鬼を狩る。まるで平隊員と同じ任務にしか行けない、私は何故此処に居るのだろう。

【不死川実弥負傷、至急援護に向かうべし】
それは、弱小な鬼を狩ったあとカラスからそう通達された。近くで任務についていた不死川は血鬼術にかかったという知らせだ。
不死川実弥、私とほぼ同期で入った男で誰よりも鬼を憎みその首を落としていた。
私はこいつにあこがれていた、その姿勢を心を、ぶれる事のない信念を自分にはないものを持っていたそいつが。
柱を降りる前は良好とは言わずとも言葉を交わす仲であった、だけど今は違う彼は私に失望した。下弦でもない鬼に敗けた私に、ろくに功績を残さず柱を降り、なお鬼殺に縋りつくわたしに。
きっとあの真っ直ぐな目は私を見ることはないそう思っていたのだ。

倒れている不死川を背負い、近くに藤の家がない為、宿屋に入る、介抱していると目を目覚ました彼に大丈夫かと聞こうとした時に肩を掴まれ布団に引き倒された。その眼は二度見たことのあるもので、ようやくどのようなものを盛られたのか理解する。
やめろそう言って押さえつけようとした時に脳裏によぎるはあの時の事
【役立たずなんだからこれくらいはして私を助けろ】
【学もないお前を拾ってやったんだこれくらいの役に立て】
【役立たず】
動けなかった、抵抗したら彼をこれ以上負傷させるかもしれない。優先すべきはこいつの方だ。なら自分が我慢すればいいじゃないか。役に立てよこれくらい。
だから私は目を閉じた。彼に触れことはできなかった、もし記憶が残ってたら本当はやさしいコイツの事だきっと自分を責めるだろう
耐えろ、声を出すな。そう言い聞かせ夜が超えた。外の雨の音が一段とよく聞こえてくるそんな夜だった。

翌朝、茶を啜っていると隣から不死川が起きてくる。痕跡はすべて消しておいた、何とか夢だとか幻覚だとかで誤魔化せないだろうかと思っていると。
彼は昨日の事を覚え折らす、自分が毒で倒れたことまでしか記憶にないという、神に感謝した。
「解毒を打って、転がしておいた」
そういって何事もないかのように茶を飲む私に不死川はそうかといって宿を出ていった。
そこでやっと嗚咽がもれる。辛かった怖かった。でも以前に襲われた時とは違う事が一つあった。
それは、少なからず、私は彼を少なからず好いていた。
この思いもこの夜の事も私が墓場までもっていこう。
そう心に刻んだ。




「身籠ってます」
しのぶの言葉が良く理解出来なかった。事の始まりはあの研究者の血の効力が薄くなってるどういうことだと言う怒りの声から始まる。
説明を求められても自分にも何もわからず、何か体に異変があるのかと蝶屋敷を訪ねた。
身籠ったつまり子供がいるのだ、私の腹の中に、心当たりは数か月前のあの夜だけ。何故だ、元から月の障りの周期は安定しておらず来ない月なんてよくあった。一度くれば次は数か月後とい事が普通で、続けてくるなんて皆無に等しいものだった。だからあの時、前の月で来ていたからそう来ないだろうと思っていたのだ。なのになぜ、今なんだなんで…そんな思いで頭をおさえる
「心当たりはあるんですね」
そう尋ねる彼女には何も言えなかった。私に子供ができたことは瞬く間に広がり、皆父親を訪ねた。それには決して答えなかった、他の柱から聞かれても、師範にきかれても。お館様の言葉でもそれだけはいう事が出来ず、次第に周りは、行きずりの男の間にできた子という事で認知されつつあったのだろう。
碌に任務にも行けず、男に現を抜かす人物そういう目で周りは私を見た。構わないそれでも、子を堕すことはできなかった、この手で家族殺すなんてそんなこともう二度としたくなかった。
具合が悪く蝶屋敷に入院しているとあの男がやって来た。
人当たりのよさそうな笑みを浮かべそいつは生まれたら子供を渡せというのだ、
血の効力が薄くなったのは恐らく子供に行ってしまったのだろう。だから子供を提供しろ。これは鬼殺隊の為だそう告げる
嫌だと断るとが貴方が役立つ方法はもうないのですよ?これは決定したことです。そう言って部屋を立ち去る。
決定した。それは皆が納得した事なのか、お館様も師範もこの事を知りそして決めたのかそうおもうと体の震えが止まらない。
出来ない、大勢の人の為と言うが代わりにこの子を差し出すなんてことできず。
その日の夜、私は鬼殺隊から姿を消し、そこからだいぶ離れた藤の家がない町に流れついた。
親切な方が営む食事処で住み込みで働かせてもらえることなった。
そこの人は私が身重なのと何かわけがある事を察してくれ、何も言わずにおいてくださった感謝してもしきれない。
数ヵ月後そこの方たちの手助けもあり、無事赤子を出産した。
私によく似た男児だ、よかった、少しでもあいつの影があれば辛くなるそう思う自分にほとほと嫌気がさす。ふにゃふにゃと泣く子供はどことなく弟の面影がある。
弟の【翠(すい)】にちなんで【翡翠(ひすい)】と名付けた。
「大丈夫今度こそ私が守るよ」
部屋にある押入れの奥底にしまったはずの日輪刀がカタりと鳴った気がした。


翡翠が生まれて約数ヶ月が立った頃。もうすぐ私がここにきて一年になるそんな日に
鬼殺隊服を着た三人の男の子たちがこの町にやって来た。
何の因果か女将さんを助けたらしく此処に泊まって行きなさいと言われたらしい。
落ち着け、見た目からして恐らく今年の選別の子たちだ私の事は話には聞いていても、顔は解らない大丈夫、落ち着け。
そう震える手を押さえていると、女将が私を呼びこの子たちの世話を頼んで来た。それに動じる様子を見せることなく三人を部屋に案内する。
去るときに頭に傷がある男の子がこちらを見ていた事に気が付かなかった。

「あのどうしてそんなに俺たちに怯えているのですか?」
夕食の食器を下げようとした手が震えガチャリと大きな音を立ててしまい、彼の言葉の裏付けとなってしまう。
それと同時に風呂に向かっていた筈のイノシシ頭の子がどうしてか、隠していた日輪刀をもって部屋に駆け込んできた。

「もしかしてあなたは、鬼殺隊?」

あぁもう逃げられない。