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不死川実弥生誕祭2021年小話






*不死川がスヤァした後の話です。
*ほとんど名前変換出て来ていません。




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今日はわたしの大好きな人達を紹介します。

最初は、兄達についてです。
私は4人兄妹の末っ子で上には3人の兄さんがいます。
一番上の兄さんは優しくて、兄弟で一番力が強いです。
どれくらい強いかというと、薪割りをするとき休みを入れないで何十本も連続で切ルことができるし、硬くて開けられない瓶の蓋を簡単に開けることができます。
一緒に買い物に行くと兄は私の何倍も何倍もたくさんの荷物を持ってもへっちゃらな顔をしています。この前、私の下駄の鼻緒が切れてしまった時にはたくさん荷物を持っているのに兄は私の事をおんぶして家まで運んでくれました。重くなかったのと聞くとそんなに変わらなかったと笑っていましたが。その時の買い物はお米とか味噌とか重いものばっかりだったので正直ちょっとむっとしました。
一番上の兄は少しそういうところが抜けていると思います。

次は二番目三番目の兄達についてです。
二人は双子と言うそうで生まれた日も時間も同じらしいです。双子は顔も似るらしくて近所の人たちはほとんどどっちがどっちかわからないとよく兄達を間違えてしまいます。だけど私にはどこが似ていると思うのかよくわかりません。
それくらい二人は似ていないと思うからです。
二番目の兄は静かでお勉強が一番出来ます。わからない所を聞きに行くと少し黙った後にスラスラと教えてくれます。教え方もとっても分かりやすくて将来学校の先生になれば良いのにと思うのですがたくさんの人の前でお話ししたくはないからちょっと嫌だからと言っていました。
三番目の兄はおしゃべりで剣術が得意です。町外れの剣道場があるのですがそこの先生からウチに来ないかと誘われるくらい上手いです。兄は剣術が好きなので入るのかなと思っていたのですが断ったらしくなんでと聞くと自分は自分のやりたい時にやるのが好きなんだと言っていました。
二人の違う所は他にも一杯あるのですが今回はここまでにしたいと思います。二人の似ているなと思う所は、たくさん食べる所と動物が大好きな所です。
あと二人を絶対に見分ける方法があります。
泣き黒子が二番目の兄は右側に、三番目の兄は左側についているのです。

さて今度は我が家と仲良くしてくれる人たちについて紹介します。

まず宇髄さん。
宇髄さんは背がとっても高くてお話しする時は見上げないとお顔が見れないくらいです。初めて会った時、こんなに背の高い人がいるのかとちょっと驚きました。ぽかんと宇髄さんを見ているとちょっと見ない間に派手にデカくなったなとぐしぐしと私の頭を撫でながらからからと笑っていました。
その様子を見て私はちょっとだけ安心しました。だって宇髄さんは眼帯もしているしお顔がキリッとしているので怖い人なんじゃないかと思っていたからです。
宇髄さんには奥さんが3人います。3人ともとっても綺麗でとっても優しいです。よく我が家にお饅頭を持って来てくれます。良く温泉旅行に行くらしくてそこで買ってくる物なんだそうです。この前のはヨモギが入ったお饅頭で美味しかったです。
でもそれもしばらくはそれがなくなりそうです。何故なら宇髄さんのおうちに赤ちゃんが出来たからです。我が家も今からソワソワとしています。
次は煉獄さんのお家に着いて
実は三番目の兄が剣術を知るきっかけになったのは小さい頃に煉獄さんお家に行った時らしいです。その時何があったのか私には教えてくれませんが今でも兄はたまに煉獄さんの所に剣を習いに行っています。
お母さんがお礼をと、兄に手紙とお土産を持たせているのですが手紙以外受け取ってくれません。昨日、私がやりたいから教えているのだと、先輩である自分を立ててくれと言っていたと兄が言伝をもらって返って来ました。
お母さんは少し考えた後に手紙を書いて飛ばしていました。
きっと煉獄さんのお家に向けて送ったのだと思います。
飛ばしたと言うのは鴉に渡したと言うことです。
うちにいる鴉はとても賢くてお願いしたところへ必ず向かってくれるのです。私もお願いして手紙を届けてもらっています。
鴉はよく炭治郎さんのお家のところから手紙を持ってきます。
炭治郎さんは妹の禰󠄀豆子さんとそしてお友達の善逸さん、伊之助さん達と暮らしています。お友達と一緒に住むのってどんな感じなんでしょう。きっと毎日が賑やかなんじゃないかなと思います。炭治郎さんからの手紙を我が家はいつも楽しみにしています。手紙には皆の事が事細かに書いてあり読んでいる私たちも楽しくなってくるからです。炭治郎さんは炭を焼く仕事をしていて、炭治郎さんの炭で起こした火で炊いたご飯はいつもよりうんと美味しくなります。
どうしてこんなに美味しくなるのかなと不思議に思ってそのことを手紙に書いたら。
ー皆の役に立ちますようにと願いを込めて作っているからかなー
という返事をもらいました。
周りのお家はガスだけにしたと言うところも増えて来ているけれど我が家はまだまだその予定はなさそうです。

今まで話して来た人たちは全員が全員のことを知っているというちょっと変わった縁があります。
昔お勤めしていたところが一緒だったのとお母さんは言っていました。歳が結構離れているけど皆同じお仕事の場所て不思議です。それだけ長い事やっている所なのかと聞くと今はもうないらしいのですが、こうして今も皆仲良しなのは素敵です。きっといいお勤め先だったのかなと思います。
言い忘れていましたが、お母さん達のお勤め先を管理していた産屋敷さんの家に今度お呼ばれしてします。
理由は祝言があるからです。お母さんがいつも行くお医者様の所から帰ってきてそう教えてくれました。担当してくれている先生の祝言らしくとってもお母さんはとってもとっても喜んでいて、皆に会えるのがすごく楽しみです。

最後に私のお母さんについてお話しします。

お母さんは怒ると誰よりも怖い人です。
人を起こった分、自分のことも叱る人です。
そして、その何倍も何十倍も優しい人です。
お母さんに抱きしめてもらうと嫌なことも悲しいこともサラサラと砂のように消えて無くなってしまうのです。そんな不思議な力を持っています。
それはあなた達を愛してるからよと言っていました。
暖かくて強くて、私たち兄弟は皆、お母さんのことが大好きです。
私は特にお母さんの笑顔が好きです。
お花が咲いたようだからです。
特に父のことについて話してくれる時、
「優しい人だった」
そう言って笑っている姿はとっても可愛いです。

私は父の事を良く知りません。生まれる前に死んでしまったからです。
一番上の兄は
強くて、真っ直ぐな人だったと尊敬していると言っていました。
二番目と三番目の兄は
ぼんやりだけど覚えているのは、ぎゅっと抱きしめられた事だそうです。
熱くてがっしりとしていて。でも声はすごく穏やかな人だったと言っていました。


お母さんは今でも父に恋をしているのだと思います。
それはこれからもずっとそうなんだろうと思います。

だからもう誰とも結婚をするつもりはないようです。
それがいい事なのか悪い事なのか私にはわかりません。

だから、私は父があまり好きではないと思ってしまうのです。





「ーーーおしまい。どうでした?」
「どうでしたってよォ、そこで終わりなのかよ」

原稿用紙から顔を上げると目の間にいる男の人はガクッと肩を下げる。
今まで読んでいたのは学校で出された物で先生に提出をする予定のものだ。何度か書き直したそれの最終確認として聞いてもらっていた。
「そもそもなァ…なんで俺に聞かせるんだ?」
「だってここに書いた人たちに聞いてもらうの恥ずかしいじゃないですか、藤花の精さんが適任かなって」
「……その呼び方やめろ」
「だってお名前教えてくれないから」
ー藤花の精ーとは私が勝手に読んでいる名前だ。由来は今自分たちがいる藤棚で出会ったから。ここは家の近くにあるちょっと隠れ家的な兄達にも知られていない私の秘密の場所。なんだか無性に一人になりたい時にここに寝そべって藤の花の群れを見るのがお気に入りだった。
この人と出会ったのは少し前の事。
その日もぼーっと寝そべっているといつのまにか寝ていたようで。ゆさゆさとユル起こされたのだ。誰にとは言わずもがなこの人である。
目を開けると見知らぬ男の人が覗き込んでいたのだ思わず飛び起きて距離をとった私を見てクツクツと喉を鳴らして笑っていた。
「元気があるようで何より、こんな所で寝てるからよォ屍か何かかと思ったぜ」
「ちょっと寝ちゃっただけです!」
恥ずかしいやらびっくりしたやら、髪についた葉や、服についた土を落とす。自分しか知らないと思っていた場所に人が来るなんて思いもしない。
「そうかィ、もう少しで日が暮れるその前に帰んな」
夜は鬼が出るからよォと揶揄われてしまいちょっとムッとした。
「鬼なんているわけないじゃないですか、そんなのもっと小さい子しか通じないですよ」
「ー…嗚呼そうか、そうだなァーーもうそうだった。」
「…なんて?」
「なんでもねェ独り言だ。鬼が出ないにしろ早く帰んな夜は危ねェ事には代わりねぇよ」
空は夕日に染まっており私は藤棚を出ることにする。振り返ってあなたは帰らないのかと聞くとその人はーもう少しした後に帰るさと言って藤棚を見上げていた。

なんとなく気になって翌日もそこに行くとその人は前の日と同じようにそこにいた。
次の日もその次の日もその人は変わることなく藤棚の中にいた。
そうして私はその人の事を藤花の精と呼ぶことにしたのだ。


「明日提出しないといけないんです、感想聞かせてください!」
お願いしますと頭を下げると、頭上から藤花の精がはぁとため息を吐くような音が聞こえる。
「最初の方はいい内容も聞いてて飽きない、だがあんまり個人の情報を細かく書くようなことはやめておけ。ちょっと濁す方が良い」
「あ、わかりました!」
「最後が…なんつーかよォ……」
「うん」
藤花の精はそこで口を閉じる。頬をかいたり宙を見たり居心地が悪そうでどうしたのかと思いながら続きの言葉をまった。
「……か?」
「え、もう一回」
「だから……お前は父親が嫌いなのか?」
あの終わり方なら多分そう思われても仕方ない。何度も書き直してもうまくまとめられなかったのだ。なら話題を出さなければ良いのだろう。
だが、お母さんの事を書くならば絶対に書かなければならないそう思った。
藤花の精の言葉にちょっと違うと首を振る。
「わからないと言うのが近いかな。だってあったことも見たこともないんだもの」
「……写真は」
「確か産屋敷さんの所にあるみたいだけど」
今度お邪魔したときに見せてもらうことはできるけどいざ見て、顔が分かっても今もってる感情が変わるのかとはそう思えない。

「だって、私何も知らないんだもの。」

兄達が強い人だったと。
周りの人たちが怖かったけどいい人だったと言う。
そんな父を私は知らない。
知っているのは優しくて温かい人だったと話す母の事を置いていってしまったと言うことだ。

「あんなにお母さんが恋をしてるのに置いて行ってしまたんだもん」
「そうだな……。」
「覚悟はしていたと言ってたけど、やっぱり会えないのは辛いんだよ」

たまにこっそりとひっそりと母は自室にある箪笥の中の物をみつめて少しだけ泣いていた。多分兄達は知らない。自分もたまたま、本当に偶然見てしまったそんな束の間の光景
一番上の段にある鍵のついた場所、そこに入っているのはおそらく父の遺品が入っているのだろう。

「私、お母さんが好き」
「おゥ」
「誰よりも尊敬してる」
「ああ」
「だから、お母さんの事悲しませるの人は好きじゃない」
「……当然だよなァ」
そうだ自分の大事な人を悲しませる人なんて好きなわけがない。でも自分の大事な人がその人の事を大切に思っているから困っている。もうあんな顔を見たくない。どうにもできないからこそただ耐えるしかないそんな顔しないでほしい。
それを解決できるのはたった一人しかいないのだ。

「だから、あってあげてよ…」

なんで私の前なのと藤花の精ーー否、父を見た。
彼は少しだけ目を見開き、そしてまた再び悪ィとこぼす。その言葉にカッと頭が熱くなる。

「なんで!会うだけじゃない!」
「無理なんだ」
「どおして?!なら私連れてくるから!今ここに!」
「だから、無理なんだよ」

ー夏風には俺が見えないー

「多分見えるのはお前だけだ」
「なんで…」
「なんでだろうなァ…俺がお前の顔を見ることができなかった未練がこうなったのかもなァ」

神様つーのは本当に悪趣味だよな。そう私の頭を撫でる手は宇髄さんよりも小さいでも兄達よちもずっと硬くて重たかった。

「お母さんの事今でも好き?」
「足りめェだ」
「……どんな所が一番好き?」
「笑った顔が一等好きだ」

そう話す父の顔の雰囲気を私は知っている。
これはうん。
恋をしている顔だ。

「まだ会える?」
「多分、この花が咲いている間はなァ」

そう見上げた藤の花はもう散りかけていた。
きっと多分数日で彼は消えてしまうだろう。
そして多分もう会うことはできないのだと思った。

「あなたの……お父さんの事ちょっと知れてよかった」
「そりゃァ……あぁ。俺もだ。お前の顔を見れてよかった」

ーさぁ、日が暮れる。もう家に帰んなァー

いつものように彼はそう言って私のことを見送った。




サワサワと風が吹いたような気がしたうっすらと目を開けると。
そこにあの人はいた。
月明かりに照らされた白銀が綺麗できっとこれは夢なんだなと思う。
ー実弥と呼びたかった名を呼ぶとその人は私を見て笑う。
頬を撫でる指が愛おしい。
聞きたかった声が夏風と私の名前を呼ぶ。
泣きたくなるくらいに幸せだと思った。
夢でもいい、もう一度この人に会えた。
それが何よりも嬉しくて、悲しかった。




ーだから、私は父があまり好きではないと思ってしまうのです。
ー追伸。

でも、みんなから聞かされる言葉と思い出で私は少しずつだけど父のことを知っていけば多分きっと父のことを好きになると思います。