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おいでませ、麦わら海賊船








チョッパーを仲間にして、ドラムを離れた次の日のころ。
名前は彼を連れてメリー号の中を一つ一つ案内していた。
二人してあっちへいったり行ったりとしている姿はここが海賊船の上とは思えない何とものどかな光景だった。
此処は保育所か何かかとその様子を見ながら誰かがこぼした。

「ここは女の子の部屋です」
入るときはノックしてください。じゃないと怒られるよと扉を指さして後ろに居るチョッパーに伝え、つぎはこっちと男子が使ってる部屋に向かう。
「ここが男の子の部屋です」
中に入り、ここがチョッパーの寝るところだって真新しいハンモックを指さす。おぉ!と彼は目を輝かせてそれを眺めた。男の子の部屋の決まりごとはウソップにきいてねと言う名前にチョッパーは一緒の部屋じゃないのか少し残念そうに答える。
「私は女の子だから女の子の部屋だよ。」
でも、たまにこっちに泊まりに行くよ、ウソップが何か面白い発明をしたときや、ゲームが盛り上がったときには彼女もそのままこちらの部屋で寝ることはよくある事だった。
しかし、そういう時は目が覚めるといつも使っている部屋に戻ってきているのが不思議なんだよねと頭を傾げる。
不思議なことがあるんだなとチョッパーも頭を傾げた。
「たぶん妖精が運んでくれているんだ」と真剣な顔をして名前はチョッパーに言った。
種を明かすと
夜遅くにレディー一人が野郎の部屋に居るのはいけないという考えのサンジが彼女を抱えて部屋に送り届けているだけの話だが。
初めて送り届けた次の日に名前が「妖精が運んでくれたんだ」と目を輝かせてナミやビビに話している姿を見て、誰も本当のことを言えなくなったのである。
この妖精の知識は、ナミから与えられた本によって影響されたようで、素直すぎるのも考え物だとそろそろ疑う事も覚えてほしいとのちに彼女は語った。
「この船には妖精がいるのか!」
すっげー!チョッパーは俺も会いてぇなとキョロキョロと探すように周りを見回す。
「船を大事に使えばきっと会えるよ」私みたいにね!と胸をはる名前はどこか誇らしげである。彼女が真実を知るのはかなり遠い先の話であった。

二人がようやく妖精の話を終え外に出ると、時刻はお八つ時を迎える頃に差し掛かっており、くぅと言うお腹の主張がささやかになる。
丁度いいからこのままキッチンとミカンの木に行こうと名前はチョッパーの手を引いてある人物の所に向かった。
「ナミちゃん、今日のミカンください」
それはこの船の航海士ことナミの所である。パラソルを指したベンチの下本を読んでいた彼女に名前はそうお願いする。
「あらもうそんな時間」
良いわよーとナミはひらひらと手を振って答える。名前が今日はチョッパーもいいかと聞くと今日だけねと次からは料金もらうわよとにやりとチョッパーに言った。
「なんで名前は無料なんだ?」
「だってこの子、ほとんど何も食べれないから」
まともに食べられるのがあのミカンだけだったのよ、さすがベルメールさんのミカンと少し誇らしげにナミはミカンの木を見る。
「すごい感動して美味しい、美味しいて言われると悪い気もしないから一日一個上げるようにしたの。」
チョッパーも良く味わって食べなさいと、言われ二人でミカンの木に向かい丸々と綺麗に輝くオレンジを二つ採った。
良い匂いだなとチョッパーは手に持つ大きなミカンの香りをかぐ。
「このままでも美味しいけど」
これをキッチンに持っていくよ。名前は向かいにある扉を開けその先にあるキッチンに足を進める。
そこではサンジが作業をしており名前達の足音にこちらに気が付く。
「名前ちゃん、ナミさんからミカンもらって来たの?」
二人がやって来た理由が解っているようで、慣れた手つきでミカンを受け取ると。座って待ってなと早速何かを作り始めた。
「何が出来るんだ?」
「いつも違うのが出てくるの」
ゼリーでしょアイスでしょ。暖かいのも出てきた。そう指折り数えて今まで彼に作ってもらったミカンのお八つを思い出す。
全部美味しかった、そう答える名前の様子に、チョッパーはどんどん期待を膨らませた。
そうして少し立った頃、二人の前に本日のお八つが出された。
「名前ちゃん、パンとかも食べれるようになったみたいだから」
ミカンのフルーツサンドだよと、よく噛んでねと一緒にミカンジュースも出してくれる。
綺麗に盛られたみておぉーと二人は感嘆の声を上げ、行儀よくいただきますといい口に運ぶ。
パンのほの甘さと、ミカンの酸味がバランス良く合わさり。美味しい、うまいと黙々と食べる様子を見て、サンジはそりゃよかったと顔を綻ばせた。
お八つ時、そしてキッチンから良い香りがしてくるとなるとやってくるのは、この船の船長だ、外からメシ―!と言う声と共に騒々しく扉が開かれる。
「あ、お前ら良いもん食ってるな!」
そう言って手を伸ばす彼にサンジの蹴りが入る。
「だから、てめぇは人のを盗るんじゃねぇ!」
いい加減マナーを覚えろ、この馬鹿。ガミガミと怒る光景を見ながら名前達は黙々と口を動かしてそれを眺めている。
「ルフィは船長なのに良く怒られるな。」
「せんちょーて大変だ」
この光景はメリー号にはいつも通りの光景なのだ。

賑やかなお八つ時を終え再び、メリー号の案内に戻る。
と言ってももう大方の場所は教え終わっているのでこれど終了でもいいのだが、何か聞きたいことあるかと名前はチョッパーに尋ねる。
それを聞いて、大事な事を忘れていた、と彼は「医務室どこだ?」と彼女に聞いた。
名前は目を何度か瞬かせ、ないよと答える。
「えっ」
「医務室ない」
「手術室も?」
「手術室ない」
「本当か?」
「本当」
しばしの沈黙が流れる。
まじかぁとチョッパーの落胆の声が空に響いた。


落ち込む彼を連れて名前はゴーグルのメンテナンスをしているウソップの元へ足を運んだ。
「ウソップ―」
お願いがあるのと真剣な面持ちで彼の正面に座る。
その様子から、何か困りごとかとウソップもゴーグルから彼女たちに視線を移す。
「なんだ、二人して」
「ウソップは色々作れるよね」
おう、俺にかかれば、どんな発明だってしてやるさ、なんだ何作ってほしいのかと二人に聞くとコクリと頷かれる。
「なんだよ遠慮せずに言ってみろ、何だって作ってやるよ」
その言葉に二人はお互いの顔を見合わせ、うんと頷いた。
「医務室」
チョッパーの医務室作って。

それは大工の領域だ。
期待の眼差しを向ける二人に思わず突っ込むのは仕方のない事であった。
「無理なのか?」
「ウソップなんでも作れるって言ったのに?」
目に見えてしょぼくれる姿に、ウソップは罪悪感に襲われかけるが、限度があるだろう限度がとビシッと二人の頭にチョップを入れる。
「うちは医務室ないからな、欲しい気持ちはわかる、だけどな俺でもそれは無理だ。」
それは船大工ていうのが必要だ。
「船大工いないね」
じゃぁ無理か、そうだね。はぁーと深い、それは深ーいため息が二人の口から出る
「そう落ち込むなよ、ルフィのことだ、船大工だって仲間にするさ」
そしたら、頼んでみろよ。何とも無責任な励ましをする。
船大工を仲間にしても空間を生み出すのは無理という事をあえて伝えないのは優しさなのか、それともただの面倒くささなのかはわからない。
「そっかこれからも仲間増えるのか」
「当たり前だろ、どんどん増えるさ」
それは、すごく楽しみだねー。そうだな。さっきまでの落胆が嘘のように名前達はどんな人たちが仲間になるのかと話を巡らせている。
その様子を見てウソップは、悲しんだり喜んだりと忙しいやつらだとまたゴーグルの整備に戻った。

ちょっとずつ仲間が増えて行く