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19


―ドクトリーヌあれ。
―ひっひっひ、随分と珍しいもんが落ちてるよ、そいつを載せな

何かに揺られている感覚がする。ドドッドドッという音ともきこえる。そうだこれはソリだ。確か私はビビとウソップと一緒にソリに乗って、医者のいる町へ向かってたんだ。それで途中で大きな白い波が見えて。それで…それで?
そこまで思い出してガバっと体を起こす。
「目が覚めたかいガキ」ひっひっひと笑い声がした。
そちらを見ると、ものすごい薄着をしているおばあちゃんがいる。たぶんばば様と同じくらいの人だ。彼女は私を見てハッピーかい?と言った。
「お腹さむくないの?」
「最初に言うことがそれかい、おかしなガキだよ。」
なんともないさ、知りたいかい若さの秘訣を。それが何なのかは良く解らないのでお断りした。ここはとあたりを見回す、ビビもウソップも居ない二人の事を聞くと知らないと言われる。さっきの雪崩ではぐれちまったんだろうね、道に落ちてたのは私だったらしい。
「なんであんな辺鄙な場所にいたんだ?」
その言葉に「いしゃー!」と声を上げる
あの雪崩からどれくらいの時間がたってるのだろう。ビビ達がどこにいるのかもわからない、船長たちも無事なのだろうか。あの雪崩にもしも巻き込まれていたら重病のナミちゃんは、ひとたまりもない。
頭の中で良くないことがどんどんと浮かぶ、もしもう間に合わなかったらとじわりと涙が出てくる。
泣いてないで訳を話しなと説明を求める彼女に、「いしゃ、ナミちゃん病気。みつけないと、でもいなくて。会えなくて、さがしてて、いしゃ。」と涙と鼻水を垂らしながら話す。
「なるほど、つまり医者を探してここまで来てたと」
そんなことかいと呆れたように笑わい、そしてこう続けた。
「私の名前はDrくれは。お前の探していた。医者だよ。」ひっひっひ、ドクトリーヌと呼びな。詳しい話は城に戻りがてらきくさ。
思いもよらない遭遇に驚きの声を上げる私を載せてそりはロープに上を駆け上がっていく。

*

山の頂上にあった城はとても大きくてきれいだった。
おぉーと感動の声を上げている私をドクトリーヌが呼ぶ
「お前さんも手伝っておくれ、二人にしてはちょっと荷物が多くてね。」
そりの運賃として働きな、と積まれた荷物を渡された。ん?二人?と立ち止まる。
もう一人はどこにいるのかと聞こうとした時に後ろから大きな影が私を覆う。振り返るとさっきまでいなかった人物?が荷物を抱えていた。人にしては毛むくじゃらだし、動物にしては人に近いような気がする。あと鼻が青かった。当然現れたその人に固まる、あいても固まる。
ドクトリーヌが「チョッパーどこに運ぶか教えてやんなと」彼に言う。チョッパーと呼ばれたその人は「こっち」とぶっきらぼうに私の前を歩きだす。それに続いて中に入った。
城の中もなぜか所々雪が積もっている。きっとどこかが開いてるからなのだと思う。寒さに何度かくしゃみをした。
そうしているとある部屋に案内され、持っていた荷物を渡すとチョッパーは
「おまえ座ってろよ。」と暖炉の近くにある椅子を指して自分は荷物をしまいに違う部屋へと行ってしまった。おとなしく言われた通りに座って、火に当たる。ぱちぱちとなる音が心地よかった。それにしてもチョッパーは何者なんだろうと考えていると、ドクトリーヌが部屋に来る。
「お前の連れの娘の様態だが本人を見ないと何とも言えないね。」
そうだ、ここで休んでいる暇じゃない。と窓の外を見ると山の端のほうに何かいるのが見えた。窓辺に駆け寄って目を凝らす、あの赤い服、そしてちかくに倒れている人の姿は、まぎれもなく町で見送った船長たちだった。
「せんちょ―!」と外へ向かうため部屋を出て、ぐるぐるとした階段を駆け下りると。
チョッパーが三人を城の中に運んで来てくれていた。
三人に声をかけるが反応がない、ナミちゃんを抱き起こすと燃えるように体が熱かった。
ぺしぺしとほほを叩くが起きる気配がない。
「無理に動かしちゃだめだ」と今ドクトリーヌを呼んでくるからまってろと走っていく。
二人が戻ってくるまで三人をひたすら呼び続けた。

「なんだいチョッパーそいつらは」
この山を素手で登ってきたらしい船長にドクトリーヌは呆れと驚きを隠せないようだったが、
てきぱきとした手つきで三人を見ていく。
私が抱えているナミちゃんをみて眉をひそめた。
「一番ヤバいのはどうやらその娘のようだね死にかけてる。」この島の病原体じゃないものに感染してるねとチョッパー幾つかの薬の準備をするように言う。
よく診てやるからその娘をよこしなと、ナミちゃんを渡すように伸ばしたドクトリーヌの腕をガシリと血まみれの船長の手がつかんだ。
「……!!大丈夫だあの血まみれのガキもこの娘もちゃんと治してやるから安心しな」
その言葉に船長は歯をガタガタさせながら仲間なんだと言った。
「ナミちゃんたちたすけてください。」
私も頭を下げる。
「わかった助けるよ。チョッパー治療だ!!!」

お前も手伝いなと言われたので、震える船長を背負って運ぶ。
言われた通りにお湯を張り中に船長を入れる。
部屋に戻るとドクトリーヌがナミちゃんの治療をしていた。近くによって様子をうかがう。
「抗生剤をうったからもう死ぬようなことはないさ」
まだ意識は戻らないだろうけどね、あとは安静にしておくことだと机に置いてあったお酒の瓶に口をつける。
「サンジは?」
「あのガキならチョッパーが手術してる、もう終わるさ」
これで全員一命を止めたようだ。さて残りはと、なぜかドクトリーヌは私の前に立つ
「あとはお前を診察するだけだ。」来てるもの全部脱ぎなと言った。
「どこも悪くないよ」
「そんなひょろひょろの姿で良くいうよ、いいからさっさとしな!」
その迫力に負けておとなしく言う通りにしする。何せ片手にナイフのようなものをもっていたのだから。これ以上何か言ったら刺される気がした。
正直研究所の人たちより怖かったのは言わないでおくことにした。


*

ドクトリーヌによりしっかりと検診を終えた私は最後に風呂に放り込まれた。
口に咥えている体温計が彼女の指示した温度になるまで出てくるなと言われてから早十数分が経過している。
やっとお湯から上がり戻るとドクトリーヌもチョッパーも居なかった。
部屋にナミちゃんの寝息だけが聞こえる。本当に治ってきているようで落ち着いた音だ。
そっと額に手を当てる。体温もだいぶ下がっているようで安心した。
「あ!お前風呂から出たらちゃんと髪乾かせよ!!」風邪ひくだろうと!とチョッパーの声がしたのでそちらを見るといなかった。
あれ?と思っていると、どこ見てるんだよと少し下から声がする。
目線を下げると、そこには私より身長が低くて、チョッパーと同じ帽子をかぶった青い鼻の動物?がいた。
少し考えてから、彼を指さしてもしかしてチョッパー?と聞く
「ほかに誰がいるんだ、さっきもこの姿だったぞ」
「さっきは慌てて気が付かなかった。ごめん」
びっくりした。でもそっちのほうが話しやすいね。そう言うとチョッパーは黙ってしまう。
どうしたのだろうと思っていると。
怖くないのか?俺のこと見て怖くないのか?と何か心配しているかのように私を見た。
質問の意味が分からなくて何が?と返す。
「俺、角があるし、青鼻だし、しゃべるし…それに」
人間じゃないし…。最後の言葉はとても消えそうな声だった。
チョッパーの言葉を頭で復唱するが正直怖いとは思わなかった。うーんと考える。
自分も角あるし、しゃべるし、人じゃないからなー同じかなーとしか思わなかったと答えると、
私の返事は予想外だったのかちょっと驚いていた。
それにね、とすこし声を潜めてチョッパーより、ドクトリーヌが怖かったというと彼はお前変な奴だな笑った。本当の事だからしょうがない。

シロていうのよろしくと手をだすと少し照れたように握手をしてくれた。
「トニートニーチョッパー」

みんなを助けてくれてありがとうチョッパー