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15


空の様子は変わらないけれど
先ほどよりも空気が冷たくなってきている気がした。
背を伸ばし小窓から中の部屋の様子を見ると、苦しそうに眠るナミちゃんとそれを見守るビビや船長たちの姿が見える。

何度も中の様子を見ている私にダンベルを片手にゾロがやってきた。
「そんなに気になるんなら行って来いよ」
「まだ体よくないから、ビビがだめって」
彼の言う通り、自分も中に行きたかったのだけれど、
もし、移ってしまう病気だったら真っ先に罹るのはシロちゃんだからと部屋に入ってはいけないとビビやサンジに固く言われてしまったのだ。
「ならおとなしくここで待っとけ」
お前が焦っても何の意味もないだろと言って、ゾロは柵に腰を掛け筋トレを始めた。
その隣に行き腰を下ろし、前を見ながら、ナミちゃん早く良くなるといいねと言うとそうだなと返ってきた。


*


「まっすぐじゃないともう」
少し前からメリー号がまっすぐ進んでないように思えて、ゾロに尋ねると。
そんなことねえ、大丈夫だ。との答えが返ってくるがどうも信じられなかった。
何故なら太陽がさっき見ていた場所と違うのだ。
その事を言うと、「太陽は動いてんだから見える場所変わるのは当然だ」と返される。
確かにそうなのだけれど、前に見えていた太陽が少しの時間で真横に変わるのはどうしても腑に落ちない。
でも、私より航海に慣れている彼が言うなら大丈夫なのかと思っていると、部屋からナミちゃんが出てきた。
まだふらふらとしている様子だ。そばに駆け寄り体調を聞く。
「ナミちゃん、大丈夫?」
「えぇ、もう平気よ。」
そう答える彼女の様子はさっきよりも悪くなっているように見える。
でも、と口を開く私にナミちゃんは、本当に体調の事は心配いらないからと良いわねと念を押し、「この話はおしまい」と何か変わったことなかったと話を切り替えた。
まだ納得できないけれど、とりあえず私は空気が冷たい気がするのと先ほどのやり取りのことを伝える。
すると、ナミちゃんはさっきよりも顔色を悪くさせて航路を見てそして、慌ててゾロのほうへと向かった。

「もうっ!!あんた一体何を見ていたの!!?」
「何って…船はまっすぐ進んでたぞ」
「ええ、直角にまっすぐね指針もってないシロが気づいてなんであんたが気づかないの!?ちゃんと見てよ!!!」

どうやらゾロよりも私のほうが正しかったらしい。
頭が痛いとつぶやきながらもナミちゃんはみんなを呼び指示を出し始めた。
その姿は誰から見ても無理をしているのはわかる。船長やサンジ、ウソップが休んで医者を探そうと説得するがナミちゃんは首を縦にふらない。
ふらついている彼女の手をとると、とても熱い。汗もすごい、とても立っていられるとは思えなくて、やっぱり休もうと提案してみるが、
「大丈夫よシロ心配ないから。あんたの為にも、早くアラバスタに行かないと」と交わされてしまう。

そこへビビが険しい顔を部屋から出てくると全員に「この船を最高速度でアラバスタへ向かわせてほしい」と言った。
「当然よ!約束したじゃない!!」とナミちゃんは答える。船に一瞬の沈黙が走った。
ビビはさらに続ける
「一刻も早くナミさんの病気を治してそしてアラバスタへ!!それがこの船の最高速度でしょう!!?」
「そおーさっ!!それ以上のスピードは出ねぇ!!」
船長も納得した答えで、この船の行く先は決まった。
活気づく中、ふらりとナミちゃんが私にもたれてくる。
「……、悪いシロ、ビビやっぱ私……ちょっとやばいみたい」
そのまま私に体を預けて気を失ってしまった。

突如として現れたサイクロンを背に、船は医者へと進む。