太陽と月がざわめく魔法みたいな時間。街は春の雲。
ある日のこと。相対性理論をききながら陸奥A子を読んでいたわたしは、ふと自分が乙女チック村の住人であることに気がついてしまったのだった。
わたしの持つ身体は男のそれである。それはまだ誰も知らぬことである。わたしはまだ階段を降り始めてすらいないから(階段か梯子か選ぶことが出来るけれど、梯子は落っこちそうで怖いので、わたしは階段を選んだ)。
すべては明け方の夢。もうすぐ融けて覚めるのだ。だけどこれは本当の話。いつまでも起き上がれないわたしの話。
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