自然に思い出されるのは彼女の言葉。
「ねぇ、ゆずちゃん、生きてる価値ないよ」
それは紛うことなく、女の子が女の子に向けた言葉でしかなくて。
きっと桜の花弁ほどの質量もなかったに違いない。
だからこそ、おそろしいほどの重さと生臭さを、はらんでいた。
柚子は喉に何かが貼り付いて取れなくなったみたいに声が出なかった。
名誉のための反論すらできない。確かに生きてる価値、ないのかも。
なんて嘲笑ってみたけれど、何の解決にもなりはしないと解っていた。
自身を嫌うことに失敗した柚子は、だけど今は海の中にいるのだから。と思った。
もう死んでるも同じじゃない。息なんてとっくの昔に止めてしまったのだし。
あの光射す海面まで浮き上がる方法が、まだ見つからないから。




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