stardust | ナノ
さて、わたくし上條ゆずるは只今非常に困惑しております。
記憶をどう辿ってみても部屋の中で倒れた覚えしかないのに、この状況だ。
目が覚めて、自分の身体が男になってる事に気づいたのはいいんだけど、も。
(なんで自分が男になってるのか、現実的にもっと考えた方がいいのだろうけど、これはこれで性転換ウマーな状きょ……おっと失礼。)
まあ、一言で言えば、ここどこだよ。みたいな。ね!
「さて、」
どうしたものか。
初めは眩しさで何がなんだかだったが、目が慣れてきて辺りを見渡せばここは病院でもなければ、自宅でもなかった。一体どういうことだ。
(まあ、身体が男になってる時点で私の住んでいた世界と違うのは明らかだけど。)
シンプルで中性的な雰囲気の家具が並んでいるこの家。生活感はそこそこで、ここはどうやらリビングのソファーの上、らしい。
(そう言えば、少し自宅のリビングと似ている気がする。)
「……。」
立ち上がりくるっと周りを見回す。
やっぱり、似ている。
それこそ家具は似て異なる物だが、配置はほぼ一緒だ。……なぜ?
ソファーに座り直して右手を顎に、うーん、と悩んでいるとガチャリとドアが開いた音が聞こえた。
(やっば…!)
この家の持ち主が帰って来た。これはヤバい。見つかったら不法侵入とかそんなので逮捕だ。もうヤバいどころじゃない。
どーしよ!とあたふたしている間に足音は着々とこちらへ向かっている。
ああもうだめだ。犯罪者な娘(息子?)でごめんなさいお母さん…!
「ちょ、お前もう起きてて大丈夫なのかよ!」
「あああ怪しいものじゃ…!‥え?」
「え?じゃねーよ。なんだよ有り得ない、みたいな顔して」
「え、あ、いや…」
どういうことだ。なんだ。なんなんだ。
いやこれ"有り得ない"な状況だよ。
事態が飲み込めない。いやいくら私でもそんな。こればっかりは無理が、ある。
そりゃあお前、これ、夢見る腐女子的にはこれが現実ならもんの凄い事だよ。発狂もんだよ。今なら死ねるよ。
だって、だってさ!
「し、しのぶ…ちん…?」
出会いは唐突に
「てめ、その呼び方やめろっつったろ!」
「いたっ」
(ちょ、ななな殴られた!忍ちんに殴られたよっ!ぎゃああ!)
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