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※パラレル設定






今日も今日とて、この手を紅に染める。
右手に巻いた包帯が、また、染まった。
浅黒く付着したそれが視界に入り、もう変えなきゃなー、なんて、呑気にそんな事を思いながら、染まった包帯に紅の瞳を落とした。そんな自分の瞳も、包帯に付いている血の色に酷く似た、紅。
肩にずしり、と銀色に鈍く光る鎌の重さが伝わった。
鉛のように重い肩から鎌を下ろすと、未だ刃の先に付着している紅を見つめる。




「シン、…」




不意に背後から己の名を呼ぶ声が聞こえた。
その声は落ち着いていて、でも何処か焦りを帯びている気がして。
それも俺だから判るのかな…なんて優越感を感じながら、視線を刃先から後ろに変えた。




「ナマエ?どうしたんですか、そんな心配そうな顔して」




振り向けば、其処には愛しい人。
自分より長身の癖に華奢な身体、白い肌にさらりと揺れるその髪がよく映える。心配そうに歪む顔がとても、きれい。(こういう時に、自分って変なのかな、って思う)
顔を見た途端、鎌に付いた侭のそれを気にしながらも走り寄る姿さえ愛おしく感じる。
その姿に不謹慎ながらも顔が緩んでしまった。



「‥なに、にやけてるんだよ。」


「いや、ナマエがかわいくて、つい」


「……そんな事より、もう真っ赤になってるじゃないか、一昨日替えたばかりなのに」


「(ふうん、交わすの上手くなったな)
はは、今回も量が、ね。でも大丈夫ですから」



自分のじゃないし気にしないで、と付け足すと彼は、そうか…と小さく呟くように返事を返せば視線を合わせて苦笑い。
あ、このひとなりに安心させようとしてくれてるんだ。…苦笑いになってるけど。



「大丈夫ですってば、俺が負ける訳ないでしょう?」


「………そうだな。うん、お前の事信じてるから、な」

そう言葉を紡ぐ姿は儚げで、でも自分を安らげるには十分な言葉で。
間が少し気になるけど、それは見ない振りでもしておこう。
軽く笑みを浮かべると、また視線を絡めて、彼は何処からか包帯を取り出した。
真新しい、真っ白な包帯(それ)は、まるで彼自身を表しているようで、穢してやりたいと思う自分はやはり歪んでいるのか。
彼は右手を取ると手慣れた手つきで包帯を外していく。
きれいな手だなあ、なんて思いながら、テキパキと汚れたそれを始末している姿を見ると、その手を穢してしまったような罪悪感。(俺って矛盾してるなあ、ってつくづく思う)




「また直ぐ汚れるだろうけど、」




思わず苦笑混じりにそう言えば、彼は手を休める事無く言った。
伏し目がちのその表情にとくん、と胸が鳴る。やっぱり、きれいだ。




「汚れても俺が取り替えてやるよ…、いつでも、な」




きれいに笑う、きみの笑顔が視界に入ればとても申し訳なくなった。
それが、あかく染まらない時なんて、ないのに。



…嗚呼。





End



 ※20050925
改※20080601





リメイクver.
元は昔マガで配信したシンアス小説でしたはいすみません訳判んないですよね

イメージとしては死神(BLEACH的な)。ですが、お好きな設定でどうぞ\(^_^)/





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