最近、僕に、召使ができた。
今までは世話係の偉そうな大臣につけられた不定のメイドや執事だったのだが、僕が「ちゃんとした召使いが欲しい」と言うと、大臣はニヤリと笑って、デリックという気違いじみた白いスーツを着たイケメンを押しつけてきた。
噂によると、何処かの伯爵家のご子息らしい。ただ、色恋沙汰で王族ともめていたのだとか。僕にとっての妹姫と寝たとか寝てないとか、子供が出来たとか出来てないとかメイドが言っていた。
僕は20を越えて正妻を迎えてもなく、夜の事情はあまり分からない。
ただ、王の妾、それもその妾と他人との間に出来たと言われている僕に、皮肉にも王族とそういう事情でもめ事を起こしている人物を押しつけられるなんて、父上も大臣もよっぽど僕が嫌いらしい。

しかし、正直僕はそんなことどうでもいいのだ。
…コイツが有能でさえあればの話だが。


「日々也様!月が高くなってきましたよ。浴場に向かいましょうか。」
「あぁ」
デリックに連れられて風呂場に向かう。服を手早く脱がされ、中に入る。いつもは、ここからは身体を洗ってくれる担当のメイドがいるのだが、今日は見当たらない。

「なぜ誰もいない?」
尋ねると、デリックが口元に手をあてていかにも不思議だなーという顔をしだした。
「あれ?おかしーですねぇー。いつもは居るのに。なんでかな、お休みかな。困りましたねぇー。このまま日々也様が素っ裸じゃあ風邪を召されてしまう。よし、仕方ないから、俺が洗わさせていただきます!」
「目が泳いでいるぞ」

白々しいにも程がある。どんな意図があるか分からないが、この馬鹿はわざわざメイドを来させなかった、ということだ。馬鹿だ馬鹿だとは思っていたが、やっていることの意味が不明で、全くもって理解できない。


「さぁ、日々也様!楽しいバスタイムですよ!」
「…」
「身体洗いましょうか!」
デリックが身体を洗うスポンジを手に取り、ボディーソープを泡立ててニコニコしている。
なんでそんなに機嫌がいいんだ…。
気持ち悪いので、背中を向けるとスポンジをあてられた。

「失礼します」
ごしごしと背中をこすられ、次に腕をスポンジが滑っていく。
やけに手際がいいな。ボーッしていると、腕を洗い終えた手が身体の表側に回ってくる。

「手を回さなくても、前に来ればいいんじゃないのか?」
「あー、遠慮します。自制的な意味で」
「?」

胸のあたりを何度か撫でると、するする手が下腹部に降りてきた。すると、突然スポンジを脇においた。

「どうした?まだ全身洗い終えてないぞ?」
「いや、デリケートな部分は手で洗ったほうがいいかな、って配慮です。」
そう言ってしゃがんだ気配を感じた。デリケートな部分?は?なんて考えているうちに、デリックが僕のあれを握った。
え、デリケートだが!確かにそこはデリケートだが!

「やめろ!そんなところは洗わなくていい!」
「いや、洗わないと不衛生じゃないですか。」
右手が必要以上に行ったり来たりを繰り返し、快感を与える。悲しいことに、少しずつ起ってきてしまった。仕方ない、これが男の性っていうものだ。
それにしても、コイツ、確信犯だな…!綺麗にしないと、なんて言いながら手は明確に快感を引き出そうと動いている。

「日々也様、勃起してきましたよ?」
「そんなに擦るから…っ」
「洗ってるだけなのに、感じてる日々也さまが悪いんです。」
くそっ、この馬鹿野郎…!後で覚えておけ!

「そもそも日々也さまがエロいのが悪い」
言ったと同時に、先端に爪を軽く立てられる。

「っ…あ」
イってしまった…。白濁がデリックの手を汚し、それを見た瞬間腰がぬけて後ろに倒れそうになる。
しかし、何か丁度支えになるものがあって転けずにすんだのだが、その「支えになるもの」がよろしくなかった。

「日々也様…」
デリックの声が、僕の尻の下から聞こえる。
まさか…!

「誘ってます…?」
信じられない、むしろ信じたくないことに、僕はこけそうになった拍子に、尻をデリックの顔に押しつけてしまっていた。

「俺はいつでも臨戦態勢ですよ。いいですか?」とか、下品な言葉を発しながら、尻を揉みしだき、先程僕が吐き出した精液を尻の穴に塗りこめ、これまた信じたくないことに、指の先っぽを埋めてきた。

「っあ、気持ち悪い!」
慌ててデリックから離れると、頭を蹴り飛ばした。後ろに倒れそうになったのを確認すると、急いで水を浴びて泡をながし、風呂場から出た。


服…を着たかったのだが、着方が分からなかったので、手近な所にあったバスタオルを被って寝室に逃げ込む。

信じられない!恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい!
デリックの手に射精してしまったことだとか、顔に尻を押しつけてしまったことだとか。穴があったら入りたい…!

ガチャ、と音がしてデリックが入ってきた。急いでバスタオルに包まって隠れる。本当に隠れたつもりでいるわけではない、合わせる顔が見当たらないから、隠れているだけだ。

「日々也さま」
「…」
「まさに、頭隠して尻隠さず、ですね。お尻やら何やらは丸見え。」
「なっ!」

その言葉に飛び起きると、デリックが笑いながら近づいてくる。少し身構えると、目の前に服を持ってきた。
「着ますよね?」
「あ、あぁ」


袖に腕を通し、ボタンを止めていくデリックの指を見つめる。
「日々也様、自分でパジャマも着れないんですね」
「うるさい」
「そういえば、精液も凄い濃かったですよ。もしかしてオナニーも…」
「だまれ」
「すみません。」

しばらく無言で、黙々と作業をする。ボタンを止めおわり、ベッドに横たわると、そっと布団がかけられる。
「あ。」
「なんだ」
間の抜けた声を出すので、返事してやると、またニヤニヤしだす。

「溜まってるときは何時でも言ってくださいね。いくらでも手伝いますので!」
「!?」
「じゃあ、よい夢を。おやすみなさい」

投げつけた枕は、閉まった扉に当たって落ちた。
くそっ、デリックの奴…!

その夜、僕が「いい夢」を見れなかったのは全部アイツのせいだ。







「あー日々也エロいなー。押し倒さなかった俺、偉い!今夜は右手が忙しくなるぜ!」
日々也にいい夢を、なんて言ったが、この夜、一番いい夢を見たのは俺だと思う。








―――――
デリックまじ変態
日々也まじツンデレ天使
日々也さんはきっとオナニーとかしたことないし、せっくすとか「何だそれ、食えるのか?」だと思います。
デリックさんはこの後自室で勿論日々也さんで抜いてます。
どこぞの俗なエロマンガみたいなシチュエーションですね…ごめんなさい
デリ日々まだまだ書きますよ!
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